misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ Amazonビデオ 『4ブロックス / 4BLOCKS』

Amazonプライムビデオで見ました。1昨年くらい前に、同じドイツのドラマ『ユー・アー・ウォンテッド』(ここに書いています)を見ましたが、今回はHBOの『ザ・ソプラノズ』のようなお話しです。

意識したかどうかわかりませんが、主人公の通称は『ザ・ソプラノズ』と同じ"トニー"、二人のトニーの身体のフォルムもちょっと似ている気がします。以下ネタバレ含みます。

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4 Blocks Startseite

アラブ移民のアリ "トニー"ハマディは、26年間家族と共にドイツに住んでいます。 彼は移民が多く住んでいるエリアの一つ、ノイケルン区の犯罪組織のボスなんですが、妻と娘を守るために、裏社会からは身を引き、合法的なビジネスマンになろうと考えています。そして、永住権の取得を間近に控えた今、新しいビジネスへ転換するための準備をまさに進めようとしているところです。

トニーの妻カリラは永住権を誰よりも心待ちにしています。夫が裏家業で稼いだ金で裕福な生活を送っていることに甘んじる一方で、一刻も早く夫が堅気になることを望んでいます。今まで「普通の職業につけなかったのは、私たちは教育を受けられなかったから」と言う彼女の言葉に嘘はないのでしょう。

#移民だから教育を受けられなかったというよりは、ドイツに移り住む前のことを言っているように受け取りましたが、どうなんでしょうか。

 

ある日、車に隠し持っていたコカインが見つかり、義弟のラティフが逮捕されてしまいます。実の弟だが、短気で予測不能アッバスにはファミリーを任せられず、トニーはリーダーの座から離れることができません。暴走する手下、シマをめぐるターキッシュ・ギャングとの抗争など、組織のことで手一杯なのに、妻からはなぜ組織から抜けないのかと責められます。トニーは家族と組織の板挟みで心安まる日はありません。

そんな時、トニーは旧友ヴィンスと十数年ぶりに再会します。何も知らないトニーはヴィンスを認め、後に頼るようになりますが、視聴者は早い段階で彼が何者なのか知らされます。

むさ苦しくて男臭い、ヒップホップとラップの音楽がノリノリのこのドラマ、私は結構好きですが、潜入捜査官としてのヴィンスは、さすがに詰めが甘すぎです。潜入を得意とするアメドラで学習済みの私からすると、まずあり得ないようなミスをしてしまいます。

ところが、そのことが彼のその後の運命を決めたわけではありませんでした。人はときに意外な行動をとるものです。

 

ジャーマンドラマとはいえアラブ系がメインなので、ほとんど知っている役者はいませんでしたー。ただ、二人だけはすぐにわかりました。

一人はトルコ側リーダー役の、以前ここに書いたロナルト・ツェアフェルトです。垂れ目で優しそうなルックスなんですが、今回はヘアスタイルをバイキング風(と私が勝手に思っているだけなんですが)にして、強面のギャングを演じています。

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もう一人は、Netflixで配信されているドラマ『ダーク(DARK)』に出てくる刑事役のオリヴァー・マスッチ。こちらでも同じく刑事をしています。ドイツのマッツ・ミケルセンと密かに思っていますが、ダメでしょうか。

 

国内外のTV賞を数多く獲得したこの作品、シーズン2が制作されるようです。

 

海外ドラマ Netflix『タブラ・ラサ 隠された記憶』

アクセスするたびに新しいドラマをリコメンドしてくれるNetflix。次々に新しい作品が公開されていますね。最近はヨーロッパのドラマが増えて嬉しいです。

こちらはベルギーのドラマ。最初に見たときは何語?と思いましたが、オランダ語らしい。ベルギーは南北で別々の言語が使われていて、オランダ語が6割、フランス語が4割、そしてドイツ語が1%未満なんだそうです。これらが国の公用語というのだから、驚きです。

さて、全9話から成るこのドラマ、ジャンルはサスペンス・スリラー と言ってもいいですかねー。私は新しいドラマを見るとき、カテゴリがかなり気になります。SF、スーパーナチュナルものが苦手なので、そうとは知らずに見ていて、途中でそれだと気づいたときほどショックなことはありません。

とは言っても、全く見ないわけではありません。『ウォーキング・デッド』だって見ているし、Netflixの『ストレンジャー・シングス』だって見ました。映画『スター・トレック』や『スター・ウォーズ』も好きです。でも、最初からそれ前提で見ているのと、そうでないのとでは全く違います。

なんで、こんなことを書いているかというと、このドラマを見ているとき、何度も自問したからなんです。

#非現実的セカイの話しじゃないのよね?もしそうなら、見るの止めるけど・・

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Tabula Rasa | Netflix Official Site

タブラ・ラサは、精神科病棟に閉じ込められている記憶喪失の女性ミーをめぐる心理的スリラーです。ミーは、訪ねてきた刑事から、失踪したトーマスと最後に会った人物が自分だと聞かされます。ミーは何が起こったのかを覚えておらず、彼が誰なのかわかりません。けれども、トーマスが見つかるまでは、病院から出ることができないというのです。

ミーの記憶喪失は、病院に入る前日の出来事がトラウマとなって引き起こされたわけではないんですね。それよりずっと前に起きた交通事故が原因で、前向性健忘症になっています。映画『メメント』を思い出す人もいるのではないでしょうか。

彼女は自分が誰であるかはわかっていて、事故前のことは覚えていますが、それ以後の新しい情報を保持することはできません。

トーマスを見つけるために、ミーは失われた記憶を呼び戻し、パズルを解いて暗い迷路を抜け出す必要があります。ですが、最近の過去を思い出そうとすればするほど、彼女は自分の周りの人だけでなく、自分自身にも不信感を抱くようになります。

 

私(たち)は、ミー視点のセカイを見せられていることが多いにも関わらず、どうみても彼女がパラノイアにしか思えないので、つい周りの人を信じてしまいます。実際にはどういう展開になるでしょう。後半くらいから、面白くなります。

ビジュアルがホラーなので、怖いものがダメ!という人以外におすすめです。

 

海外ドラマ BBC『ライン・オブ・デューティ/Line of Duty 』

このドラマ、、実をいうとかなり前に一話目を見てそのままになっていました。メインキャラがレニー・ジェームズで、これがウォーキング・デッドモーガンにしか見えなくて・・。しかし、時を経て再度見始めたら、これがドハマリしてしまいました。

ロンドン旅行に行く前に見ていたのですが、旅行の準備もせずにNetflixでシーズン1から4まで立て続けに見ました。シーズンが進むほど面白くなり、中毒のように見ていました。そして、私のお気に入りリストの上位にランクインしました。

以下、少々ネタバレ含みます。

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BBC One - Line of Duty

このシリーズ(以下LoD)は、スティーブ・アーノット巡査部長(マーティン・コムストン)、ケイト・フレミング巡査(ヴィッキー・マクルーア)、そしてテッド・ヘイスティングス警視(エイドリアン・ダンバー)で構成される、警察内の汚職を明らかにする不正防止ユニットAC-12の物語です。

私が今までに見た警察ドラマでも、内部監察が出てくるものは結構ありました。当然、どれも身内である警察官から忌み嫌われていました。AC-12もしかり。なので、なかなかこのチームに入りたいと思う人はいないですよね。実際、エリートコースに乗っていたアーノットがなぜAC-12に所属するようになったか、そのいきさつがシリーズの最初で描かれています。

どこか負け犬感漂う、後ろ暗い仕事だったりするわけですが、そういった負のイメージも最初のうちだけ。LoDを見ているうちに、いつしか彼らを応援し、ときに叱咤し、気がつけばこのショーにどっぷり浸かってしまうと思います。

 

LoDは1シーズンごとに新しい人物が投入されます。彼らこそ、シーズンのメインキャラクターです。最初はトニー・ゲイツ警部レニー・ジェームズ、それに続いてリンゼイ・デントン警部補(キーリー・ホーズ)、その後は、ダニエル・メイズがダニー・ウォルドロン巡査部長、続くシーズン4ではロズ・ハントリー警部(タンディ•ニュートンがAC-12の捜査対象となります。

 

タンディ•ニュートンブリティッシュ・エアウェイズの機内安全ビデオにも出演していました。また、HBOの『ウエスト・ワールド』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされていましたね。

キーリー・ホーズは言わずもがな、その集中力のある演技は素晴らしいものです。ダニエル・メイズは映画中心で活躍している実力派俳優です。ロンドン旅行中、たまたまテレビでやっていた『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』を見ていたら、LoDとはまったく違う役どころで出ているダニエル・メイズを発見し、思わず娘と顔を見合わせて笑ってしまいました。


このドラマの特徴と言ってもいいと思うんですが、登場人物は1つのシーズンに縛られません。デントンはS2の捜査対象者でしたが、S3ではS2から実際の年月が経過した姿がリアルに描かれています。私は、S3でデントンが再登場したときにはかなり驚きました。

シーズンごとのメイン・プロットとシリーズを通して連続するプロットが巧妙にパッチワークのように繋がっていて、どれも見逃せません。

ですので、シーズンを途中から見るのはおすすめできません。1からシーケンシャルに見たほうが楽しめます。ありがたいことに、Netflixでは最初からシーズン4まで連続で視聴可能です。

私はこのドラマに集中するあまり、同じキャラクタを憎んだり同情したり、信じたいけれど疑ってみたり、最悪のことを想像して手に汗握ったり、感情の振り子が大きく揺さぶられました。

このドラマの最大の見せ場は、事件現場ではなく、激しい攻防戦が繰り広げられるインタビュー・ルームです。タブレットでページをめくることに、これほど真剣に見入ってしまうとは思いもよらなかったです。身内をインタビューするので、AC-12のメンバーで質問できるのは容疑者よりも階級が1つ以上上というルールも、リアルで面白いです。

 

LoDを見ているとき、私は特にヘイスティング警視に注目していました。初めはそうでもなかったんですけれど、夫として、チームのリーダーとして、彼の真摯な姿に心打たれました。スティーブとケイトのメンターに相応しい人です。

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しかしですね。あの「H」問題のことが気になってしまいます。「H」とは 犯罪組織と悪徳警官を結ぶネットワークのボスのイニシャルで、ヒルトン警視長とヘイスティング警視は、お互いを「H」だと非難する場面があります。フリーメイソンのこともあり、私はイヤーな予感がしました。

ヒルトンが死んでしまった今、彼が果たしてほんとうに「H」だったかどうかは、謎に包まれたままです。そもそも彼は自殺だったでしょうか。上流階級の逃亡は、ありがちといえばそうなんですけれど、おそらく殺されたのではないかと。

だから、今後の展開がとても気になります。間違ってもヘイスティングは「H」ではありませんように。

それから、気になっていているのが、マニート。AC-12の知性派ヒロインとして、信頼できる人です。夜にオフィスに来るよう頼まれたマニートは、子どもを抱っこしながら仕事をこなし、ヘイスティングから感謝されていたのが印象に残っています。

そのマニートヒルトンにAC-12のインサイダー情報を渡していたのですから、驚きました。彼女はヒルトンに何か弱みを握られていたのだと思います。彼女は逃げるように早めに産休をとり、その後については不明です。ヒルトンがいなくなった今、無事に産休から復帰してほしいです。

 

娘はスティーブに対し「なぜモテるのかわからん」とつぶやいていました。いや、かわいいと思うけどなぁ。次シーズンが待ち遠しいです。

 

ロンドンと海外ドラマ

ずっと仕事で忙しかったので、まとまった休みをとり、娘と一週間ロンドンに行ってきました。旅行の様子は別ブログに書きます。

mina66.hatenablog.com

 

今回の旅行絡みで、ドラマのことをちょこっと書きたいと思います。

ロンドンで見るドラマ

現地の日曜夜に、ITVで『Endeavour(刑事モース)』を放送していました。これはラッキーと、ドラマを観るべく、シャワーも浴びて画面の前でスタンバイしていたんですが、毎日歩き続けた疲労がピークになっていたこと、そして英語だった(当然ですが)ことで、途中から眠ってしまいました。

たぶん、私が見たのは最新作のS5, EP5だったのだと思います。軍隊の話し(ざっくりしていて申し訳ない)で、モースが(私の知らない)女の子とイチャイチャしていたのは覚えています。日本で放送されるまで時間がかかるだろうに、、もったいないことをしました。

それから、『Marcella(女刑事マーチェラ)』の2ndシーズンが放送されていました。2年ぶりに次のシリーズが制作されていたんですね。もう少ししたら、Netflixで配信されるのではないでしょうか。 はい、これは日本で見ます。

もう一日多く滞在できていれば『Shetland(シェトランド)』の最新作も見れました。が、モースと同じ理由で最後まで見れたかどうかは怪しいです。これもAXNミステリーで放送してくれるのを待つことにします。

 

飛行機の中で見るドラマ

今回飛行機はブリティッシュ・エアウェイズBritish Airways)を利用しました。行きの機内では映画もテレビ番組も少なかったんですが、帰りはなかなか充実していました。テレビドラマの中に Boxset という、シーズン丸ごと見れるものがありました。結構なラインナップで、『The Walking Dead 』や『Game of Thrones 』(どちらもシーズン7)もありました。

それで、私はこの1つ前の日記に書いた『Doctor Foster(女医フォスター)』のシーズン2を全部見ました。これは英語ができなくてもいけると思います。フォスターの息子トムは、偶然にも行きの機内で見た映画『ダークタワー』でジェイクを演じていました。思春期の男の子を見事に演じています。 

それから久しぶりに『Ripper Street』のシーズン5も見ました。シーズン4を見ていなかったので、S4で重要人物が死んでいたことにショックを受けました。

また、はじめて見ましたが『The Detectives: Murder on the Streets』は地味だけど、面白そうでした。マンチェスターを舞台にしたドキュメンタリーのようです。

 

ドラマのロケーション

ロンドンといえば、様々なイギリスドラマの舞台になっているので、ロケーションめぐりもいいなと思いロンドンに行く前に調べておいたんですが、実際には時間が足りずに行けませんでした。もっと長くいれれば良かったんですけれど。

ロンドンではありませんが、『ルイス警部』『刑事モース』の舞台、オックスフォードには行ってきました。オックスフォードではどこを見てもテンションが上がりました。

 

以下は行こうと思っていて行けなかったところです。次回チャンスがあればぜひ行ってみたいと思っています。 

・『ロンドンスパイ』London Spy:ランベス橋(Lambeth Bridge)

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二人が出会った重要な場所でした。

 

・『刑事ジョン・ルーサー』Luther:サザーク橋(Southwark Bridge)

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この橋は、ルーサーのアイコンでもあります。

 

・『シャーロック』Sherlockウォータールー橋(Waterloo Bridge)

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宿泊したホテルの近くだったんですけれどもね。

 

海外ドラマ BBC『女医フォスター Doctor Foster』

AXNミステリーのHPを見ていて、面白そうなドラマを見つけました。 すでにシーズン1は放送済みで、シーズン2が今月の放送予定になっています。それでシーズン2が放送される前にどこかでシーズン1が見れないかと探したところ、Huluで配信していたので早速視聴しました。

なんですが、AXNミステリーでは、2月24日(土)にシーズン1と2が一挙放送されるようです。HPに書いてあるドラマ紹介をそのまま引用します。 

最高視聴者数1000万人!2015年に放送開始された新ドラマの中で視聴率No.1を獲得! 英国アカデミー賞主演女優賞受賞、ミニシリーズ部門作品賞ノミネート! 英国の諺“さげすまれた女の恨みほど怖いものはない”を物語る、愛する夫に裏切られた女の復讐劇!
https://www.mystery.co.jp/programs/doctor_foster

本国イギリスで視聴率が高かったのも首肯けます。一話見たら釘づけになること必至、怖いもの見たさで続きを見たくなります。以下ネタバレ含みます。

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http://www.bbc.co.uk/programmes/b06ds22h

開業医として働くジェマ・フォスター(サランヌジョーンズ)は、夫サイモン(バーティ・カーヴェル)のマフラーに一本の金髪を見つけたことから、彼の浮気を疑うようになります。思い込んだら一直線、夫の携帯電話チェックまでに時間はかかりませんでした。そして、夫を尾行するためには自分の患者を払いのけることも厭いません。

夫の不貞を確信したときのジェマのうろたえぶりがすごい。一度は夫を家から放り出そうとしますが、「わたしはできる女、ほかの女とは違い取り乱したりしないの」と冷静を取り繕います。

そんな「できる女」ジェマは、医師という職業の倫理規定のほとんどに違反し、詐欺、脅迫することには抵抗はないようです。よくドラマに出てくるお馴染みの鉄壁の守秘義務はどうなっているのだ、と突っ込みたくなります。

夫のサイモンといえば、典型的過ぎる浮気亭主(といっても実際にはこういう男性にお目にかかったことはありませんが)。彼の発言がいちいちおかしい。「同時に二人の女性を愛してしまった」ですって。はいはい。本当は若い子がいいんだけれど、妻のほうが圧倒的に経済力があるから、悩みますよねー。子どももいますし。

 

サイモン役のバーティ・カーヴェル は、英国内の女性を敵に回したんじゃないかしら、などと心配になってしまうくらいはまり役でした。サランヌジョーンズは、デスパレート・バロメータ(実際にあったら、見てみたいですけれど)が振り切れている様子が実に素晴らしかったです。

 

ちょっと関係ないですけれども、ドラマのオープニングがLudovico Einaudi のピアノ曲で嬉しくなりました。ドラマ中、挿入される音楽も素敵です。

 

海外ドラマ HBO『BIG LITTLE LIES ビッグ・リトル・ライズ』

これはママヒエラルキーのおはなしかしら、と思い込み敬遠していました。しかしゴールデン・グローブ賞エミー賞のダブル受賞で話題になったのをきっかけに、私もHuluで見ることにしました。実際に見てみると、私が思っていたような、ただのママ友の話しではなく、どちらかというとミステリ要素が濃いドラマでした。

 

それにしてもキャストがゴージャスですねー。 二コール・キッドマン、ウィザースプーン、ウッドリー、ダーン、ゾー・クラヴィッツ、そしてアレクサンダー・スカルスガルドという映画スターの名が並びます。しかも主役級のそうそうたる顔ぶれです。映画とドラマの俳優がきっちり分かれていた頃には考えられなかったことです。

以下少々ネタバレ含みます。

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https://www.hbo.com/big-little-lies


赤と青の光の点滅、激しい呼吸の音でスタートします。小学校のチャリティイベントで誰かが殺害されたらしい。

 

探偵よろしく、関係者が証言を重ねます。保護者の夫婦関係、仕事、噂話など思い思いにコメントします。誰もが他人のことに興味津々で、好き勝手なことを言っていますが、裕福そうなこの町の表面下で何が起こっているのかは誰も知りません。

マデリン・マッケンジー(ウィザースプーン)は、本人は素のまま生きているんでしょうけれど、トラベルメーカーでもあります。ジェーン・チャップマン(ウッドリー)は、モントレーに最近引っ越してきた若いシングルママです。マデリンの最も親しい友人はセレステ・ライト(キッドマン)。若い銀行家ペリー(スカルスガルド)を夫に持ち、二人の熱い関係は町の他の夫婦たちの羨望になっています。

セレストとペリーは美男美女の高身長カップルで、海沿いの豪華な家に住み、ラルフローレンのポスターから飛び出たような双子の息子を育てています。一見、非の打ち所のない家族のように見えます。

 

豪家な家は、セレストだけではありません。マデリンの自宅も、後に登場するレナータ(ダーン)の家もため息が出るほど素敵です。マデリン家の巨大なキッチン・カウンターにはフルーツが盛られたバスケットがあり、レストランのようなおしゃれな料理が並びます。レナータはキャリア・ウーマンなので、それを反映した家なのでしょうか。白いパティオにプール、高価そうなソファ、家の中でひときわ存在感を放つ白い階段はスタイリッシュという完璧さ。そしてどちらも大きな窓から海を眺めることができます。

このショーは細かいところまできっちり計算されていますねー。インテリアやファッション、どれをとってもこだわりを感じます。

 

マデリンには娘が二人がいるんですね。小学校に入学したばかりのキュートなクロエと、10代のアビゲイルアビゲイルは最初の夫との間にできた子で、元夫の再婚相手、編み込んだ髪と硬い腹筋を持つヨガインストラクターのボニー(ゾー・クラヴィッツと親しい間柄になっています。

学校初日レナータは、娘のアマベラの首の後ろに噛まれた痕を見つけます。アマベラが同級生のいじめを告発したとき、レナータは学校や他の親に対して激怒します。そのことがきっかけになり、誰かの死を招くような出来事が起こります。 

何者かに虐められている娘の母親としてのダーンは破壊力がありますねー。怖いものなしのあの髪型と服装はローラ・ダーンにしか出来ない気もしてきます。自分の上司だったらちょっと引くかもしれないけれど、案外友だちになったら頼もしくて楽しいかもしれません。

 

このドラマの原作は、オーストラリア人のリアーン・モリアーティのわりと最近の小説ということを知りました。今度読んでみようかしら。

ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)

ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)

 

別の小説『The Husband’s Secret』もブレイク・ライブリー主演で映画化するのだとか。

 

海外ドラマ Netflix『ゴッドレス -神の消えた町- Godless』

Netflixのオリジナルドラマがすごく増えましたね。『マインド・ハンター』も良かったですが、こちらも面白かったです。犯罪ものばかり見ている私にとって、西部劇のドラマは新鮮でインパクトがありました。

あとから知ったのですが、この作品は映画監督のスコット・フランク(『誘拐の掟』)が脚本、監督した作品なんですね。彼の映画も好きです。

 

広々とした平野でのショット、銃撃戦と疾走する馬たち、砂埃の多いメインストリートでの対決・・、これぞ西部劇と感じられるシーンが満載です。人間ドラマあり、アクションあり、サスペンスありとエンタメがギュギュッと詰まっています。 以下ネタバレ含みます。

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https://www.netflix.com/title/80097141

追っ手から逃れてきたガンマンのロイ・グッド(映画『マネーモンスター』の犯人役ジャック・オコンエル)は、未亡人のアリス・フレッチャ(『ダウントン・アビー』の ミシェル・ドッカリー)の牧場で一夜を過ごすことにします。

予期せぬ訪問者を見つけたアリスは、ためらうことなく弾丸を打ち込みます。けれども彼は死んではいませんでした。アリスの先住アメリカ人の義母の助けを借りて回復し、その後すぐにアリスの息子(サミュエル・マーティ)と交情を結びます。

しかし、そうしている間にも、何年も前にロイを息子として迎え入れていた盗賊のリーダー、グリフィン(HBO『ニュースルーム』のジェフ・ダニエルズは、ロイを執拗に追っていました。それは、ロイがグリフィンを裏切り、盗んだ金を横取りし、挙句の果てに彼の左腕を撃っていたからでした。

アリスの住んでいる場所からほど程遠くないところにラ・ベルという町があります。そこは鉱業事故のためにほとんどの男性を失い、女性たちで成り立っている町でした。メス・アグネス(『ウォーキング・デッド』の医師デニース役のメリット・ウィーバー、上の写真の向って左)は、ラ・ベルの前町長の未亡人で、今では夫に代わりツイードとズボン姿で事実上の町長として働いています。

彼女の兄であるビル・マクニュースクート・マクネイリーは、町の保安官で妻亡き後二人の子どもを育て、最近は視力が衰えてきています。保安官助手のホワイティー・ウィン(トーマス・サングスター)や、彼が恋しているアフリカ系アメリカ人のルイーズ、グリフィンの動向を記事にしたい一風変わった記者A.T.(ジェレミー・ボブ)など、どれひとつをとってもその描き方に無駄がありません。グリフィン一味を追う連邦保安官としてサム・ウォーターストンも登場しています。

グリフィンは獰猛で悪人である一方、彼には魂があり、聖書の言葉を信じています。グリフィンは、最初はただただイヤなヤツだったんですが、後に牧師のような慈悲深いふるまいやリーダーとしての資質を知ることで、ジェフ・ダニエルズのパフォーマンスと相俟って、見方が変わってきます。ロイを追ったのも、息子のような存在に裏切られたからで、そこには悲哀さえ感じました。

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舞台は19世紀なんですけれど、このドラマが持つテーマは現代風です。特定な人種やジェンダー、階級に縛られることなく、選択できるし行動できるというメッセージがあるように思います。