misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ Netflix『エイリアニスト / The Alienist 』

このシリーズは豪華キャストが共演していることで、公開される前から話題になっていました。なので、公開と同時に見始めたんですが、最後まで見るのに時間がかかってしまいました。なぜなら、このドラマを見始めると必ずといっていいほど、寝落ちしてしまったからです。それで1話を何日もかけて見たりしていたんですが、しばらくは見るのをやめていました。

物語としては昨年の『マインドハンター』と少し似ているかもしれません。マインドハンターは1970年代でしたが、こちらは更に1896年にまで遡り、現代の犯罪学の起源を探ります。ゴージャスでゴシック様式のコスチュームは『リッパー・ストリート 』のよう、そして街の雰囲気は『The Knick』のようです。

また、『マインドハンター』でもそうでしたが、実在の人物と架空のキャラクタが混在して出てきます。たとえば、セオドア・ルーズベルト(大統領になる前の警察本部長として)、J.P.モルガン(モルガン財閥の創始者)やビフ・エリソン(ギャングのボスらしい)など。さらに『リッパー・ストリート 』(1889年)のアメリカ人外科医ホーマーが試みたように、ここでも革命的な新技術として指紋法などを取り入れる姿が描かれています。

ね?もろ好みって感じがするでしょう?でも、見ていると寝てしまうんですよねー。疲れているだけでしょうか。

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エイリアニスト | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

シリーズは、ウィリアムズバーグ橋の建設現場で、まだ少年の女装した男娼の遺体が発見されたことから始まります。殺人事件のニュースを聞きつけると、精神科医ラズロ・クライズラー(ドイツ出身のダニエル・ ブリュール)は、友人でニューヨークタイムズイラストレーター、ジョン・ムーアルーク・エヴァンスを現場に出向かせます。

ムーアは夜間活動(売春婦とのロールプレイング!)から引き離され、殺人事件へ向かいます。ムーアから入手したイラストを見たクライズラーは、自分の患者であった少年とその妹が殺された事件を思い出し、同一犯の仕業だと確信します。

 

新たに警察本部長に任命されたセオドア・ルーズベルト(ブライアン・ジェラティ)は、当時の腐敗した警察体質の改革を望んでいる唯一の公務員です。殺人犯が再び凶行に及ぶ可能性が高いと考えた彼は、クライズラーたちに秘密裏に調査することを許可します。ルーズベルトとクライズラー、それにムーアはハーバード大学時代からの友人でもありました。

#シャーロックホームズのように警察外部への捜査協力はフィクションではよくあることです。シカゴPDで降板したブライアンがルーズベルトをしていて嬉しくなりました。PDのときにはすごく若いと思っていたのですが43歳なんですね。

 

クライズラーはチームを組み立て、本格的な捜査に乗り出します。チームに参加するのはハンサムな友人ムーアとサラ・ハワードダコタ・ファニング、大人になりましたね)。サラは、初のNYPDの女性職員で、ルーズベルトの秘書をしています。彼女はタイプライターで書類を作成するよりも、刑事のように事件を追うほうが合っているようです。当時のこれ見よがしの女性ハラスメントにも動じず、自宅でコルセットをはずした後、優雅にタバコを吸っているような女性です。そして双子だけれども全く似ていない捜査官、アイザックソン兄弟(ダグラス・スミスとマシュー・シアー)によって、最先端の法医学専門知識が提供されます。 

#チームメンバー、一人ひとりを見れば、かなり魅力的です。こんなチームで仕事がしたいものです。

素敵なんだけれど、キャラクタの魅力が最大限に引き出せていない気もします(ってかなり上から目線です、すみません)。自分を知ることが大事なのはわかりましたが、それぞれが辛かった過去に向き合うために時間を費やします。#それってそんなに必要なことだったんでしょうか?

私は、どこかミステリアスで静かなメイドのメアリー・パーマークオリアンカ・キルヒャーが好きでした。彼女は話せないので誰とも対話はしませんが、他のキャラクタがする散文的なスピーチや独白よりも、彼女の表情のほうがずっと奥深い情感が伝わってきました。#皮肉ですねー!

 

関連記事:

海外ドラマ Netflix『マインドハンター』
海外ドラマ『リッパー・ストリート』シーズン3まで
海外ドラマ Hulu『The Knick/ザ・ニック』

 

海外ドラマ Hulu『ヒューマンズ』

このドラマ『ヒューマンズ』が、アンドロイドを描いたものということくらいは知っていました。それで、SFが少々苦手の私は避けていたんですが、ついに見たいクライムドラマがなくなり、Huluのポータル画面のスライドショーにあった(新しくシーズン2が配信となったから)『ヒューマンズ』を見てみることにしました。

いつもながら、何も知らずに見たわけですが、アメドラと思い込んでいたら、舞台はロンドンでした。それで俄然興味が湧いてきました。私のイギリスドラマに対する信頼は高まっているようです。実際、見始めたら、ほんとうに途中でやめられなくなりました。このドラマに入り込んでしまうと、思いがけず泣いてしまうことがあるかもしれません。

 

調べてみると、これはスウェーデンドラマ『Real Humans』をリメイクしたものだということがわかりました。そして、ハラハラ緊迫するシーンはまるで『MI-5 英国機密諜報部』みたいだなぁと思っていたら、脚本がMI5を担当していた人と同じなんですね。

 

ドラマの中心は 「シンス」と呼ばれるアンドロイドで、これが素晴らしく良く出来ています。何人かの人間とシンスが同じフレームに収まっているシーンでも、どれがシンスなのかは一目瞭然です。

スェーデン版のトレーラーをYouTubeで見たのですが、オリジナルのほうがアンドロイドの見た目が作り込まれていて、よりSFっぽく感じました。こちらの英国版は、シンスが絶妙に人間らしく作られています。

これは、可能な限り人間に近づけた近未来ロボットというコンセプトなのかもしれません。さらには、シンスの言動もさもありなんと思えるのだから、いかによくできているか想像がつくでしょう?私はSFを見ている気がしませんでした。

以下、少々ネタバレ含みます。 

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Humans - All 4

弁護士のローラ(キャサリン・パーキンソン)が仕事で家を空けている間、夫のジョー・ホーキンス(トム・グッドマン・ヒルは、家事の手伝いと3人の子どもの世話のため、人間型AIロボット"シンス"を購入します。ローラが常々「シンスは子どもの教育によくない」と口にしていたにもかかわらず、です。

ローラが出張から戻ると、シンス(ジェミマ・チャン、魅力的です)がいて、家の中がきれいになっていることに驚きます。そればかりか、末っ子の娘ソフィー(ピクシー・デイビスが自分の知らないシンスに懐いていることにショックを受けます。ティーンエイジャーの長女マティー(ルーシー・カーレスはローラとは別の理由で、シンスに対して良い印象を持っていませんが、マティの弟トビー(テオ・スティーブンソン)は、一緒に暮らす魅力的な女性を持つことに興奮します。

その後、家族で話し合った結果、とりあえず使ってみて、ダメなら返品しようということになります。そして、シンスの名前をアニータと決めました。

 

謎の青年レオ(コリン・モーガン『魔術師マーリン』いい味出してます)とマックス(アイヴァン・ジェレマイア)は離ればなれになった仲間を探しています。マックスはシンスなんですが、どこかシンスらしくありません。

フラッシュバックシーンでは、レオたちが森の中にいたとき、いくつかのシンスが何者かに拉致されてしまいます。その後フレッド(シンス)は、シンスが人間的な性質を持つことを恐れている科学者グループによって検査されます。そして、アニータ(そのときの名前はミア)はリサイクルされたようです。

 

一方、ロンドンの別の場所では、かつてはシンス開発に携わっていた元科学者ジョージ・ミリカンウィリアム・ハート、役にぴったり)が、壊れている旧式シンスのオディ(ウィル・テューダー、素晴らしい!)を大切にしています。なぜなら、オディは、今は亡き妻のことを思い起こさせてくれる唯一の存在だからです。確かにオディは妻との思い出を記憶領域に保存しています。

しかし、地元の保健機関は古いシンスを回収し、無料でアップグレードするといいます。ジョージは新型モデルの介護用シンスレベッカ・フロント『ルイス警部』)を受け入れたものの、オディが廃棄されないよう彼を隠します。

 

私は、今シーズンの最初と最後とで、中産階級のごく普通の家族ホーキンス一家に寄せる印象が変わりました。それは、はい、より良いほうに。いくつか謎や疑問が残っていますが、それは次シーズンで解消されるでしょうか。

現在、シーズン2がHuluで週1配信されています。引き続き、私も見るつもりです。

 

海外ドラマ Netflix『SAFE 埋もれた秘密』

これもNetflixのポータル画面でやっていた予告編を見て、そのまま本編を見たパターン(まんまとNetflixの戦略にはまってますねー)です。マイケル・C・ホールを見つけて、「再生」ボタンをクリックしました。

ちょうど少し前から、Amazonプライムで『シックス・フィート・アンダー』(以下、シックスフィート)を見始めたところでした。シックスフィートは2001年から始まったHBO作のドラマシリーズで、スパドラで放映されていたらしいですが、当時はまったく知らなかったです。舞台となる葬儀屋を営むフィッシャー家の次男をマイケル・C・ホールが演じています。なんか不思議なドラマです。

ホールの知名度はどちらかというと『デクスター 警察官は殺人鬼』のほうが高いかもしれません。シックスフィートが終了した後、2006年からスタートしたシリーズで、8シーズンも続きました。デクスターと妹のデボラを、顔も中身も濃いなぁーと思いながら見ていました。

さて、SAFEは何の情報も持っていなかったので、最初は少々混乱しました。アメリカの俳優マイケル・C・ホールのほかにアマンダ・アビントン(『シャーロック』)が出てきたからです。ここはアメリカ?イギリス?どっちなのと。その後に、プール付きの立派な家に住むマーシャル家のパパ、ジョジョ(ナイジェル・リンゼイ)がこてこてのブリティッシュ・アクセントで話すのを聞き、たぶんイギリスなんだろうね、という結論に至りました(間違っていなかったです)。

英国俳優がアメドラやアメリカの映画に出ることは多いですが、その反対のパターンは珍しいような気がします。そして、ホールとアビントンって、かなり意外性のある組み合わせだと思いませんか。

ホールはアクセントを変えて英国に溶け込もうとしていましたが、ネイティブの人から見たらどうだったんでしょうね。もちろん、私の英語力では何の違和感もありませんでしたがー。

以下ネタバレしないように書いていますが、ストーリーには触れています。

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SAFE 埋もれた秘密 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

妻レイチェルを病気で亡くした外科医トム(ホール)はゲーテッド・コミュニティにある高級住宅地で2人の娘を育てています。妻の葬式の回想シーンで、トムは娘ジェニーにそっと謝っていました。それに対する娘の返事は「そうね(Yeah, right)」。母の死を通して、父娘の間には亀裂が生じたようです。

ある日、16歳の長女ジェニー(エイミー・ジェイムス・ケリー)とそのボーイフレンドのクリスはパーティに参加した後、行方がわからなくなります。翌朝、娘が帰宅していないことに気づいたトムはパニックになり必死に娘を探します。幸運なことに、彼には助けてくれる友人ピート(マーク・ウォーレン)がいました。ピートはトムと同じ軍にいたこともある同僚で、二人はまるで刑事のバディのように(実際には二人とも医師なんですけれどもね)、パーティ後のジェニーの足取りを追います。

そしてもう一人の友人は、ソフィー・メイソン(アマンダ・アビントン)、こちらは本物の刑事です。メイソン家とは何年も前から家族ぐるみで付き合っています。現在、夫と別居しているソフィーはトムと友人以上の関係になっており、二人はジェニーの捜索に関する情報を共有します。

最近になり、ソフィーに新しい部下(ハンナ・アータートン)が増えました。エマは都市部から転勤してきた若い女性です。自ら移動願いを出したその背景には、何か明確な狙いがありそうです。

 

物語の進行がもたもたしないのがいいです。各エピソードの最初には、それまでの回で解き明かされた事実が映像でフラッシュバックされ、またエピソードの終わりはクリフハンガーというパターンがわかりやすいです。

後半からは謎を知りたい一心で一気に見ました。私は、後々になってジョジョが白状したことで、犯人がわかってしまいました。皆さんもわかりましたか?

なので、その後の展開として、犯人がもっと悪あがきするかと期待していたんですけれど、そうはならなかったですねー。

#私はこのドラマを見ながら、"Everybody lies." と言うDr.Houseの顔を何度も思い浮かべました。 

 

年齢を重ねると、からだのフォルムってやっぱこうなるよねーと先日書いた『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』を自嘲気味に見ていた私ですが、マイケル・C・ホールは、シックスフィートからあまり変わっていないようでした。

そのホールは、このドラマに続きはないと公言しているようですが、ぜひ次シーズンを作ってほしいなぁ。トムの友人ピート(パフォーマンス良かったです)の今後も見たいですし。

 

海外ドラマ『ブロードチャーチ3〜殺意の町〜 最終章』

WOWOWで放送していたのを録画して見ました。最初に見たときは、次シーズンがあるとは思えませんでしたが、シーズン3まできましたね。そして、このシーズンをもって終了でしょうか。もっとデイヴィッド・テナントとオリビア・コルマンの名コンビを見たい気もしますが。

以下ネタバレあります。犯人は書いていませんが、ストーリーには触れています。

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Broadchurch | BBC America

アレック・ハーディ(テナント)とエリー・ミラー(コルマン)は、親友の誕生日パーティーの後に49歳のトリッシュ・ウィンターマン(ハッピー・ヴァレーのS2で浮気相手の女性にひどい目にあう刑事の妻だった人です)をレイプした犯人を追います。

トリッシュが多くを話さない代わりに、レイプキット、証拠収集、聴取、知人からの厳しい扱いなど、レイプ被害の余波がドキュメンタリー・タッチで描かれます。被害者は打ちひしがれて一気に何歳も歳をとったように見えます。

実際、最初に画面に登場したトリッシュを見たとき、実際の年齢よりも上だと思いました。なので、あとから実際の年齢を知ったときは驚きました。

 

ハーディはせっかち(犯人が野放しでいることに焦っているということもあります)で、いつも気分が悪く何かに怒っているように見えます。一方で庶民的で人情派のミラーは、必要なときに彼を叱ったり慰めたりします。二人とも十代の子どもを育てるために、ときに悩み、自分のやり方で努力しています。

二人がトリッシュの自宅を訪れたとき、ミラーが別の部屋に行っている間にテナントが早速トリッシュに話しをきいているのを見て、ミラーは苦言を呈します。「まずはお茶を入れて飲むの!」。私もそう言おうと思っていたところです。

 

最初のシーズンで起きた11歳のダニー・ラティマーの死は海辺の町を震撼させましたね。あれから時を経た今でも町はダニーのことも忘れていません。

ダニーの父親マーク(アンドリュー・ブキャン)は、無力感と前シーズンで出た無罪判決に苦しんでいます。そのことで、妻ベス(ジョディ・ホイータカー)との距離は広がります。ベスは他の人を助けるためにケアワーカーとして働き、トリッシュのカウンセラーをし目的を見出そうとしています。 

 

今シーズンの事件の被害者トリッシュと親友キャスとの間で交わされる会話は興味深かったです。ある事実が判明してからのそれは、同姓としてかなり苦々しい思いで見ていました。女性同士の友情、裏切り、確執、そして寛容は、かつてエリーとベスが今の関係を築くまでにどれほど多くの時間が必要だったのかを思い出させてくれました。

 

もし、見逃した方がいたら、5月30日、31日に再放送が予定されています。
WOWOWオンライン

 

関連記事:海外ドラマ『ブロードチャーチ 殺意の町』 

 

海外ドラマ Netflix『Happy!』そして『ウェット・ホット・アメリカン・サマー: キャンプ1日目』

Netflixのトップ画面に表示された予告編を見たら、釘付けになりそのまま1話目を見ました。何も知らずに見たのですが、主人公が『Law & Order SVU』のクリストファー・メローニだと気づくのにそれほど時間はかかりませんでした。

漫画が原作なので、いかにもアメコミっぽくて楽しめます。けれども、小さくてポップな青いユニコーン(というか見た目はロバ)が出てくるからと油断して、子どもと見てはいけません。クレイジーで、グロテスクで、大人シーンが満載です。監督・脚本が同じだけあって、映画『アドレナリン』を彷彿させるようなシーンもあります。

このドラマを見続けたのは、タイプキャストから大きく外れたコミカルなメローニが見たかったから。もろ好み、好きです。彼の走り方もコミックそのもの。すごくハマっていると思います。

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Happy! | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

お金のために暗殺の仕事を請け負っている元警官ニック・サックス(メローニ)は堕落した生活を送っています。一仕事を終えた後に心臓発作で倒れたニックは、病院で小さい青い馬が飛んでいるのを見ます。話しをきけば、ヘイリーという名前の女の子が誘拐されたので、助けてほしいと言うではありませんか。

最初こそ、死に際に見る幻覚だと相手にしなかったニックですが、あることをきっかけにその存在を確信するようになります。その馬の名前は「Happy」!

ニック以外にはHappyが見えないので、誰かがいるところで会話する必要があるときは「今から、見えない馬と話すぞ」なんてお断りを入れるあたりがかわいい。

私は目的がメローニなので、画面にニックが登場しないシーンは少々退屈でしたが、最後まで見ました。ラストがどうなるか想像できていたにも関わらず、 ヘイリーと会ったときの彼をどうしても見たくてー。最後のシーンは最高にかわいいです。え?もちろんクリストファー・メローニが。

 

実はコミカルなメローニは、Netflixで配信している『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』というとんでもドラマでも見ることができます。これは2001年に米国で公開された同名映画をドラマ化したミニシリーズで、サマーキャンプ初日を描くドタバタコメディです。

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ウェット・ホット・アメリカン・サマー: キャンプ1日目 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

キャンパーの中に、明らかに40代くらいの俳優が若者として(ええ、ティーンエイジャーの恰好をしています)混じっているので、何も知らずに見ると少々混乱するかもしれないです。これは2001年で演じていた俳優がそのときの役をやっているからなんです。

しかも、そのメンバーがとってもゴージャス。映画公開時には無名だった俳優たちしっかり出世したというわけです。あのブラッドリー・クーパー(『アメリカン・スナイパー』)やポール・ラッド(『アントマン』)、エイミー・ポーラー(『インサイド・ヘッド』)など、もっといます。それもみんなしょーもない役どころで。ほんと、何やっちゃってんのよ(と、画面に向かって何度言ったことか)。

それだけじゃありません。あのジョン・ハム(『マッドメン』でエミー賞受賞)、クリス・パイン(『スター・トレック』シリーズ主演)、ジェイソン・シュワルツマン(有名なコメディアン)クリステン・ウィグ(『ゴースト・バスターズ』)など、すごい顔ぶれがゲスト出演しています。

悪趣味なんだけど、ゲラゲラ笑いながら見ました。心をデトックスしたい方はどうぞ!

海外ドラマ『イン・ザ・ダーク』そして『アブセンシア』の苦悩する男たち

BBC作のUKドラマ『イン・ザ・ダーク』と、アメドラ『アブセンシア』は、両方ともフーダニット型のミニシリーズです。主人公はどちらも女刑事、そして、パートナーの男性は苦悩します。

 

イン・ザ・ダーク In The Dark 

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BBC One - In the Dark

スパドラで見ました。上の写真を見て、この女性が誰だかわかった人は、「リッパー・ストリート」ファンではないでしょうか。スェーデン出身のマイアンナ・パーリングです。

全4話、2話で1つの話しになっています。英ベストセラー作家マーク・ビリンガムの小説が原作です。すっかり忘れていたんですけれど、ドラマ『刑事トム・ソーン』もビリンガムでしたね。

さて、『イン・ザ・ダーク』の主人公はマンチェスターの刑事ヘレン、同僚で恋人のポールと暮らしています。最初のエピソードで、ヘレンは妊娠したことをポールに打ち明けます。ポールは心から喜び、幸せオーラが全開しているようでした。

そんなとき、ヘレンの故郷で連続少女誘拐事件が起きます。その容疑者が、ヘレンの親友リンダの夫だったことから、リンダの力になろうと帰郷します。しかし、そこにはヘレンが忘れたくても忘れられない過去がありました。

妊娠中の恋人を心配してついて来たポールは、ヘレンの異変に気づきます。ついにヘレンが暗い過去を打ち明けたとき、彼はヘレンを温かく抱きしめます。

しかし、後にヘレンがお腹の子の父親がポールなのか浮気相手(これまたイケメンの同僚なんですが)なのか、わからないと打ち明けたときには、彼は平常心ではいられなくなります。ショックと怒りでヘレンを拒絶します。

私は「ポール、どうする?」という気持ちでこのドラマを見ていました。3話目では、ヘレンは臨月に入っています。大きなお腹を抱えたヘレンは、ポールとの暮らしを続けていました。

ポールは、目の前にいる恋人を無条件に愛したいと思いますが、子どものことを考えると複雑な心境になります(当然ですわね)。彼は一層仕事にも励み、子どもをどうするか決意したように見えました。

 

ドラマでは、生まれた赤ちゃん(お腹の大きさから双子かと思いましたが、実際には一人だった)の父親は明かされませんでした。シーズン2はあるのでしょうか。

 

 アブセンシア Absentia

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https://www.absentia.tv/

もともとは3月にWOWOWで放送していたみたいなんですけれど、見逃していました。最近再放送をしていたので、録画しました。こちらは全部で10話、全編通して暗いでーす。

私は見たことがないんですが、人気ドラマ『キャッスル』のスター、ケイト・ベケットが主演です。そして、さすがはアメドラ、シュッとした俳優たちがキャスティング(というと、UKドラマはそうじゃないみたいですが)されています。

FBI捜査官エミリーは連続殺人事件の捜査中に失踪、その6年後に瀕死の状態で発見されます。6年というのは長いです。その間に、同じくFBI捜査官である夫ニックは、別の女性と結婚し、8才に成長した息子フリンは実母のことは忘れ、新しいママに懐いています。

ニックは新旧の妻たちの間で苦悩します。もちろん、エミリーも新しい妻もそれぞれの立場で苦しみます。私は「ニック、どうする?」という気持ちだけでこのドラマを見ていました。ニックはこのとんでもない状況に、なんとか対処しようと努力しているようでした。

彼は犯人逮捕のために必死になりますが、途中からは間違った犯人を追うようになります。

そうなると、ニックに同情を寄せていた視聴者はもはや彼の味方ではいられなくなります。そんな視聴者を代弁するように、エミリーの父親が歯に衣着せぬ言葉でニックを責めます。

私は物語半ばに仕掛けられたミスリードにもうまく乗れず、ドラマがまぁまぁ長く感じられました。それにね、なんといっても、現実離れしていてねー。拉致後、6年も生かしておいて、そのあと開放します?

もし次シーズンがあるとすると、ニックには今の妻との間に子どもが生まれ、エミリーには新恋人ができて(あのボストン警察の刑事では少々力不足でしょうか)、FBI捜査官としてバリバリ仕事をしているというのはどうでしょうか。誘拐時のフラッシュバック・シーンはなしで。

 

海外ドラマ 『ザ・テラー 極北の恐怖 / The Terror』

Amazon プライムビデオで見ました。ある日、作品リストにインパクトのあるサムネイル画像が追加されて、気にはなっていたんですが、ジャンルがホラーだったので、見ようかどうしようかとしばらく逡巡するも、結局は見てみることにしました。 そして意外にも強く引き込まれました。見る人によってとらえ方は様々だと思いますが、私はホラーというよりはむしろ遭難した男たちのサバイバル物語として見ました。

 

19世紀に129人全員が行方を絶った英国のフランクリン探検隊のことを知っている人もいると思います。英国艦のテラー号とエレバス号は、北極探検で北西航路を探索するために航海に出発します。しかし、その船は1845年に出発してから再び姿を見せることはありませんでした。2隻の難破船は、2014年と2016年まで発見されず、1世紀半の間、さまざまな憶測を生みました。

19世紀に消えた北極探検船テラー号ついに発見 | ナショナルジオグラフィック

 

このドラマは、このフランクリン遠征にインスパイアされたダン・シモンズの小説をベースにした10話完結のAMCミニシリーズです。実在の人物に基づいているキャラクタは登場しますが、プロットは脚色されています。

#AMCといえば『ウォーキング・デッド』ですよね。最近シーズン8の後半をFOXで放送していましたが、途中から見ていません。面白いですか?見続けることに忍耐を強いられているような気がしてならないのですが。

以下、ネタバレ含みます。

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The Terror Season, Episode and Cast Information - AMC

エレバス号には遠征隊を率いる隊長ジョン・フランクリン(キーラン・ハインズ)と副官のジェームズ・フィッツジェームズ(トビアス・メンジーズ)が乗船しています。一方のテラー号の艦長はアイルランド人のフランシス・クロージャー(ジャレッド・ハリス)です。航海に出てから、すでに1年以上が経過しており、リーダーミーティングのたびに上官たちはボートに乗って片方の船に移動します。

隊長らを招いたテラー号での会食の様子で、陽気で若いフィッツジェームズと暗いクロージャーの間には深い溝があることがわかります。職場ではよくあることです。ジェームズがクロージャの陰口をたたくと、フランクリンはそれを柔らかく窘め、クロージャーの名誉を傷つけないようにします。

クロージャーは酒飲みで、依存しているのは明らかです。そして、何かに傷ついているようでした。けれども、誇り高くあろうと努力しています。また、遭難する可能性を鋭敏に感じ取り、氷点下で孤立することを本気で心配している唯一の人でもあります。

 

会食の日と同じくして、シリーズ最初の犠牲者が出ます。若い船員デビット・ヤングが血を吐いて突発的に倒れます。外科医 "グッドサー"は、患者を治療し慰めますが、彼が亡くなると解剖し死因を究明しようします。彼こそは、このシリーズで最初から最後までぶれない他人のことに心配れる人でした。

紺碧の海に囲まれた船のシーンは美しいですが、海上ではすぐに次の犠牲者が出ます。偶然起きた災難ですが、不穏な空気が漂い、緊張は悪化します。

 

その後、クロージャーが代替ルートを取るように勧めたとき、フランクリンはそれを一蹴します。それは、組織トップの人にありがちな傲慢からくるというよりは、楽観主義に由来したものだったように思います。

ヤングが隊長のことをまるで父親のように慕っているようだったことから、フランクリンはクルーたちから信頼されているのだと想像できます。

また、テラー号で倒れたヤングをエレバスに運ぶように言ったのは、死因が特定したときに自分が先に知る責任があると考えたからかもしれません。その頃、船内では壊血病にナーバスになっていました。

彼は常にリーダーとして、クルー達の士気が下がらないように努めていました。明るく前向きなトップ像を実践しようとしていたのではないでしょうか。

 

しかし、ついに、彼らは立ち往生してしまいます。彼らは寒さ、飢え、病気に晒され、さらにはもっと恐ろしい影に怯えるようになります。どこまでも続く北の空、白く凍った海、そして不気味な静けさの壮大なショットは、ドラマの域を超えて驚異的です。そのような自然の中では何が起きてもおかしくないような気さえしてきます。

けれども、私はエスキモーの神話に出てくるような「トゥンバク」よりも、もっと恐いものがありました。この物語の本当の恐怖は、文明化された男性の内側にあるものではなかったでしょうか。

 

このドラマにキャスティングされているのは、何人かのスターとあまり知られていない英国俳優たちです。実際、薄暗い中で、白肌に赤く焼けた頬、髪も髭も伸び放題の隊員たちは、誰が誰だかわからなくなってしまうことも。ですが、物語に必要な場面ではちゃんとわかるようになっています。