misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ『シェトランド』シーズン3

AXNミステリーで一挙放送していたのを録画して見ました。2015年にAXNで放送されてから、ずっと見ています。AXNではシーズン3としていますが、本国ではシーズン4です。

こちらは『ヴェラ~信念の女警部~』のアン・クリーヴスが書いたミステリー小説をドラマ化したものです。ヨハン・テオリンのエーランド島シリーズは好きでしたが、このドラマを見るまでは本のことも、シェトランドのことも知りませんでした。シェトランドとはイギリス最北端の諸島だったんですねー。行ってみたくなります。

私のドラマカテゴリーには、英国絶景シリーズというのがあるのですが、その中に『ブロードチャーチ』やウェールズを舞台にした『ヒンターランド』、そしてこの『シェトランド』があります。穏やかな美しい景色なんだけれども、小さな町の閉塞感のようなものが漂い、暗い影を落とします。

以下、ネタバレ含みます。
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シェトランド|AXNミステリー
BBC One - Shetland, Series 4

若い女性リジーを絞殺した容疑で終身刑の有罪判決を受け、収監されていたトマス・マローン。証拠に残っていたDNAとの不一致が問題視され裁判は無効、再審請求が認められ23年ぶりに釈放されます。事件の再捜査を迫られたペレス警部(ダグラス・ヘンシュオール)たちは証拠の洗い直しや新たな証言の確認を始めます。

釈放されたマローンは、シェトランドの小さなコミュニティに戻ってきます。誰もが彼のことを色眼鏡で見るのに対し、リジーの双子の姉妹ケイトだけが彼の無実を信じ、同情を寄せます。彼は島をうろつき、フォーク・フェスティバルの会場を横切って走ります。彼にとって不幸なことに、フェスティバルの参加者に、当時彼を逮捕した上級捜査官の娘サリーがいました。そして、そのあとサリーは石灰窯で死体となって発見されます。


23年前に殺されたリジーとサリーの犯人を追うことになるわけですが、今回は捜査がノルウェーのベルゲンにまで及んだことからわかるように、犯人探しは、広範囲で多層的になりました。終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しは見応え十分で、最後まで犯人がわかりませんでした。シリーズの中で最も集中して見ましたー。

2月にはシーズン2の放送がAXNミステリーで予定されているようです。

海外ドラマ 『プレス 事件と欲望の現場』Press

AXNミステリーで1/6(日)に先行一挙放送をしていたのを録画して毎日見ていました。『女医フォスター』のバートレットが書いた話題作で、昨年秋にBBCで放送されました。2つの新聞社を舞台にジャーナリストの奮闘や葛藤を描いた全6話のミニシリーズです。

主演は、AXNミステリーで昨年放送していた、やはりBBCの『アップル・ツリー・ヤード』で謎多きミスターXを演じたベン・チャップリン。灰汁の強い役どころで素晴らしいパフォーマンスを披露しています。もう一人はシャーロット・ライリー(下の写真の右)、日本では俳優としてより、トム・ハーディの奥様としてのほうが有名でしょうか。

以下ネタバレ含みます。
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プレス 事件と欲望の現場 | AXNミステリー
BBC One - Press

このシリーズは、対立している2つの新聞社、リベラル紙「ヘラルド」とタブロイド紙の「ポスト」が舞台になっています。それぞれのオフィスは広場を挟んで向かいにあり、ビルの窓から相手の会社が見れるんですね。ヘラルドは高潔だけれども慢性的に財政難になっており、オフィスは古くて地味、社員もカジュアルな格好で日々奮闘しています。もう一方のポストはゴシップや中傷記事もなんのその、発行部数が多く、売れているのでオフィスもきれいでスタイリッシュ、社員もビシッとしたスーツを着ています。とても対照的に描かれます。

優秀で勤勉な記者ホリー・エヴァンズ(シャーロット・ライリー)は、ヘラルドの副編集長で、現在、個人的な理由もあり、ひき逃げ事件を追っています。その証拠映像をポストが入手したことを知り編集長のダンカンに掛け合うことに。その頃、ポストの新人記者エド(パーパ・ エシエデュ)は、自殺した人気サッカー選手の実家に押しかけインタビュー取材を試みます。記者がはじめて取材のためにドアをノックすることを、デス・ノックと呼ぶらしい。あぁ、怖い。

私は4話が終わったところで、続きを見るのはやめようかしらと思い、しばらく放っていました。ホリーの行動にがっかりし、その先を想像したら見る気がなくなってしまったんです。けれども、先日HDDに残っていた続きを見たら、これがかなり面白い!勝手に推測したようなスクリプトにはなっていませんでした。話しがどちらに転ぶかわからず、はらはらし通しでした。

新人のエドは、最初こそ可愛かったんですが、後に私は彼に向って何度も「コラー!」と叫んでしまいました。ダンカンに対しては、何度も「きも!」(失礼)と思いましたが、ベン・チャップリンは好きになりました。ポストのオーナーがデヴィッド・スーシェなので、新聞社にポアロがいるような気がしてしまうのですが、存在感は抜群でした。


納期が近づくと毎度大変な思いをしている私としては、毎日ニュースを発信し続けるなんて想像しただけでもぞっとしてしまいます。英国では、ヘラルド vs ポストは、Guardian vs Sun だという見方が多いようです。シーズン2はあるのかしら。続きを見たいです。

海外ドラマ 『KIZU-傷-』SHARP OBJECTS

HBOの新作はほぼスタチャンが独占放送しているので、契約をしていない私は見ることができませんでしたが、最近『スターチャンネルEX 』というサービスを知りました。月額900円で、Amazonプライムスタチャンの海外ドラマ(映画も)が見れるようになるサービスです。
Prime Video チャンネル | スターチャンネルEX

このサービスを申し込み、早速視聴したのが『KIZU-傷-』です。これは、イヤミスの傑作『ゴーン・ガール』の著者ギリアン・フリンのデビュー作をHBOがドラマ化したものです。原作の小説は2007年度にCWA(英国推理作家協会賞)最優秀新人賞と最優秀スリラー賞をダブル受賞しています。ドラマは『ビッグ・リトル・ライズ』のジャン=マルク・ヴァレが全8話を監督、今回も短いシャープなフラッシュバックを効果的に使っています。

以下ネタバレ含みます。
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Sharp Objects | Trailers, Characters, Behind the Scenes & More | HBO

ミズーリ州の小さな町ウインド・ギャップ(架空の町)で、昨年に続き少女の失踪事件が起きます。その町の出身という理由で、セントルイスの新聞記者カミール(エイミー・アダムス)は、編集長フランクから取材をしてくるように命じられます。仕事のため帰郷し、母と継父と異父妹アマが暮らす御殿のような実家に寝泊りすることになった彼女は、否が応でも⺟との⻑年の確執や亡くなった実の妹のことなど、過去のトラウマがよみがえります。

アルコールや過度な自傷行為で、精神科病院から退院し現場復帰した記者カミール、養豚場を経営する地元の名士で外向けには社交的だけれども子どもには支配的な母アドーラ(パトリシア・クラークソン)、地元の警察署長、都市から派遣された刑事、そして情緒不安定な義理の妹のアマ(エリザ・スカンレン)など、南部ゴシックを彩るキャラクターがたくさん登場します。

ベテラン俳優パトリシア・クラークソンや演技派女優のエイミー・アダムスに負けずとも劣らないのは、新人のオーストラリア出身のエリザ・スカンレン。最終話でエンドロールが出てきても、続きがあるので注意!最後までお見逃しなく。


www.youtube.comメリル・ストリープエイミー・アダムスが主演した2009年の映画『ジュリー&ジュリア』のトレイラーです。当時観たときは、料理に使うバターの量に驚きました。今見てみると、エイミー・アダムスが可愛いー。それに夫役は、『KIZU-傷-』でカミールと関係を持つ刑事役のクリス・メッシーナだったですね。今回のキャスティングは偶然でしょうか。

海外ドラマ『コンドル~狙われたCIA分析官~』

元日と2日にWOWOWで一挙放送していたアメドラです。ジェームズ・グレイディの小説「コンドルの六日間」をドラマ化したもので、1975年にはロバート・レッドフォード主演で映画化もされていますが、さすがにこれは見ていないですね。主演は英俳優のマックス・アイアンズ、ジェレミー・アイアンズの次男です。父親にはあまり似ていないように思います。
見逃した方は、WOWOWオンデマンドでオンラインでも見れますし、これから帯放送も予定されています。

以下ネタバレ含みます。
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WOWOW コンドル~狙われたCIA分析官~

主人公のジョー・ターナー(マックス・アイアンズ)は、CIAのフロント機関”IEPデータ分析センター”でアナリストとして働いています。2年前にジョーが同僚と開発した、潜在的テロリストを発見するプログラムが、今までノーマークだったサウジアラビア出身のある男について警告を発します。男はアメフトの試合が開催されているスタジアムで殺人ウイルスを散布しようとしている疑いがあり、スタジアムの駐車場で特殊部隊に射殺されます。

ジョーの叔父で、CIA職員でIEPの責任者でもあるボブ・パトリッジ(ウィリアム・ハート)は、同一ウィルスを使った次のテロを阻止するためIEPに分析を依頼します。ジョーはバイオテロと製薬会社の株価に関連を見出すのですが、そのことがきっかけでIEPが銃で武装した2人組に襲われます。

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Condor | An AT&T Original Series on AUDIENCE Network

前半はかなり面白く一気見しました。CIA・FBIのドラマとしてはリアリティに欠けるような部分もあって気になるんですが、それでも追っ手から逃げて、出会い系サイトで知り合い、一度だけそれも15分くらいデートしたキャシー・ヘイルの家に逃げ込むくらいまでは、贅肉のない効率的なストーリーでスリリングでした。

CIAの訓練を受けていないプログラマのジョー(映画ではタイトルのCondorがコードネームだったのではなかったですか)という設定のせいか、単にマックス・アイアンズが若すぎるせいか、テロを阻止するヒーローとは言い難く(少なくともファースト・シーズンでは)、アクション・シーンもほとんどありません。そしてあまりにも多くの人が死んでしまいます。

事件から1年後、ジョーはCIAを辞めて、キャシー・ヘイル似のGFとフィレンツェに住んでいるようですが、いやー、どうなんでしょう。友人が心配して、彼のために勝手に出会い系サイトに申し込むくらいGFを作らなかったジョー、大きな痛手を負ったわけですから、そこは一人暮らしで良かったのでは?などと思ってしまうのは野暮でしょうか。このドラマを楽しむためには、あくまでもジョーが中心のエンタメ作品として捉える余裕のようなものが必要かもしれませんね。

ジョーの叔父役のウィリアム・ハートは、年をとっても素敵でしたが、私はしばらくの間、英俳優のビル・ナイと勘違いして見ていました(似ていると思いませんか)。上の写真のウィリアム・ハート(右)と小柄なCIA副長官のボブ・バラバンの二人が良い味出しています。シーズン2が放送されればたぶん見ると思います。

2018年 ベスト海外ドラマ

しばらく書けていませんでしたが、やっと時間ができたので、2018年の海外ドラマをちょっとだけ振り返ってみたいと思います。かなり偏りがあるので、参考にはならないかもしれませんが、、。タイトル後ろは、私が視聴したチャネルです。

2018年の新ドラマ・ベスト5.

今年の新作海外ドラマベストです。
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1.ボディガード -守るべきもの-』Netflix
私のひいきドラマ『ライン・オブ・デューティ』のジェド・マーキュリオによる新BBCドラマ。これをきっかけにリチャード・マッデンの株は一気に上昇。次のJボンドになるかも?

2.トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン 』Amazonビデオ
トム・クランシーの小説のキャラクター、ジャック・ライアンをドラマ化した力作。主演・監督・脚本・製作総指揮の『クワイエット・プレイス』がヒットし、知名度がアップしたジョン・クラシンスキーが主演し、シーズン2が決定。

3.『ザ・テラー 極北の恐怖 / The Terror』Amazonビデオ
AMCのホラードラマ。ダン・シモンズのベストセラーが原作。19世紀中頃、英国の北西航路発見を目指した探検隊の物語。ホラーというよりは、残酷な状況に置かれた男たちの物語として視聴。次シーズンは日本人コミュニティの話しとか。見たいような見たくないような。

4.『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス:The Haunting of Hill House』Netflix
スティーヴン・キングから「ほぼ完璧」と言わしめたストーリテーリングで見ているものを惹きつけるドラマ。ただの幽霊屋敷の話しに留まらず、5人の子どもたちを含む家族の物語になっており、時空を越えたリンクが見事、エンディングも良かった。次シーズンは?

5.『メカニズム:The Mechanism』Netflix
ブラジルの汚職スキャンダルを描いたサスペンスドラマ。実際の汚職事件に着想を得たということで、ブラジル国内では物議を醸しているそう。地味だけれど、それがまた良い。


2018/1/6追記:ベスト5の中に『マインド・ハンター』を入れていたんですが、実際に公開されたのは2017年だったのでここからははずしました。今年公開されるだろう次シーズンを楽しみに待っています。

シリーズ・ベスト5.

シリーズを通してのベストです。1.以外は今後もずっと見るつもり。

1.『THE BRIDGE/ブリッジ』Super!dramaTV
遂に終わってしまったブリッジ。始まった当初から北欧という珍しさもあり、新鮮で衝撃的な内容に釘付け。このドラマの影響で、コペンハーゲン・マルメへ旅行し実際に橋を渡ったほど。Amazon Primeでシーズン3まで視聴可。

2.『ライン・オブ・デューティ/Line of Duty 』Netflix
ここでベタ褒めした英ドラマ。脚本が秀逸。悪役をこなす側の俳優陣のパフォーマンスが見もの。AC-12による古典的な尋問シーンでは緊張がピークに。英国ドラマの底力を感じる作品。来年には次のシリーズ5が配信される予定。

3.『刑事モース~オックスフォード事件簿~』WOWOW
英ドラマの定番、主任警部モース⇒ルイス警部に続くシリーズ。主任警部モースの若かりし頃の活躍を描く。主な舞台は1960年代後半のオックスフォードで、主演のショーン・エヴァンスの演技が控えめだけれど素晴らしい。

4.BOSCH/ボッシュAmazonビデオ
マイクル・コナリーの小説「ハリー・ボッシュ・シリーズ」をテレビドラマ化。現在はシーズン4までAmazonで視聴可能。サブ的な話しが少々長く感じることもあるが、古き良き刑事ドラマとしての魅力が満載。シーズン5は2019年放送予定、シーズン6も決定。Amazonオリジナルの最長作品に。

5.『ブリティッシュ ベイクオフ / The Great British Bake Off』Dlife
たかが菓子作り、されど菓子作り。イギリス全土から集まった素人たちがベイキングの腕を競う。シーズン6が1月14日からスタート。10週かけて優秀者が選ばれたあとに審査員がお手本を作るマスタークラスもまた楽しい。

2019年の海外ドラマ

最近はWOWOWを見る機会が減っていますが、2019年1・2月は面白そうなラインナップが続きます。

1.『キリング・イブ:Killing Eve』2/6~
グレアナのサンドラ・オーがMI5の職員を演じるノンストップサスペンスドラマ。美しく一癖ある役が多いジョディ・カマーが見たい。

2.『キャッスルロック:Castle Rock』2/2~
スティーブン・キング×JJエイブラムスのヒットメーカーが送るダーク・ミステリー。架空の町、キャッスルロックで起きる事件の数々。シーズン2も決定しているのだとか。

3.『カウンターパート』2/12~
クローザーの J・K・シモンズ主演のスパイ・スリラー。国連諜報機関で働く男が、自分とうり二つの諜報員に出会い、組織が隠す秘密を知る。

4.『コンドル~狙われたCIA分析官~』1/1~
主演はジェレミー・アイアンズの次男マックス・アイアンズ。1975年ロバート・レッドフォードの「コンドル」のリメイク。

WOWOWに期待しつつも、スターチャンネルも気になります。Amazonで始まったスターチャンネルEXに加入しようか思案中です。14日間も無料体験できるようなので、まずは『KIZU-傷-』を見てみようかしら。

海外ドラマ ITV『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Endeavour シーズン5 Epi3(Case20)

WOWOWで見ました。最近はモースを見るためだけのWOWOWになっています。なぜか2話ずつ公開されるので、段々と何シーズン目なのかわからなくなってきました。こちらのCase20『殺意を誘う列車』(Passenger)はシーズン5のエピソード3、続くエピソード4は今年2月にロンドン旅行に行ったときにテレビで放送されていたCase21『失われた英雄』(Colours)です。そのときは眠ってしまったんですが、やっと日本で見ることができました。

通常は1シーズンに4つのエピソードですが、このシーズンはエピソードが6まであるので、ちょうど中間のエピソードになります。オックスフォード市警は他の部署と統合されてテムズ・バレー警察になっています。モースが捜査中に名乗るときに言う「テムズ・バレー警察のモース巡査部長」が、まだピンときません。そのうち慣れるでしょう。

以下、ネタバレ含みます。
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Endeavour - Watch episodes - ITV Hub

このエピソードでは2つの事件が描かれます。駅の貨物操車場でトラック運転手が何者かに殺され、積み荷が奪われる事件と、女性の失踪事件です。トラック運転手の事件は強盗課と合同捜査をすることになり、新米の刑事巡査ジョージ・ファンシーがアサインされます。強盗課から来たDIボックスとDSドーソンは、この時代背景に程よくマッチするハラスメント・コンビになっています。

一方でモースは失踪事件を担当します。失踪したのブティックの店員、フランシス・ポーター。夫と妹が心配し警察に届け出ます。失踪したその日、フランシスは店の服や靴を借り、妻子あるドンという男と会っていたことがわかりました。

モースはフランシスが最後に目撃された場所から列車のルートをたどり、閉鎖された駅を見つけました。そして、もう使われていないプラットホームの倉庫で、フランシスの死体を発見します。死体の様子から、オックスフォード・メールの編集長フレーゼルは、4年前に起きたリンダ・グレシャムの殺人事件とのリンクを疑います。


フランシスが勤めていたAlice's Marmalade Catというサイケデリックな店や女性たちが身に付けているヒッピーファッションの雰囲気と、年代ものの列車が走るシーンはいかにも対照的でした。


今回のエピソードで最も印象的だったのは、ジョアンとモースの屋上シーンです。ジョアンは新しい住まいから見える尖塔の風景をモースに一目見せようと、フラットパーティに訪れた彼を屋上へ連れ出します。「この眺めに惹かれたの」と言うジョアン。彼はジョアンとは離れた場所から彼女とその背景を見ています。「そこじゃ見えないでしょう?こっちに来て」という言葉にモースは「君がこっちに来て」と返します。

その後、ジョアンに「会わせたい人がいるの」と言われたときのモースの表情。知り合いの女性をモースにセッティングしようとするその提案は、遠まわしではあるけれど決定的な拒絶ともいえます。モースは期待し続けているけれど、ジョアンはそれに応える気はなさそう。躊躇い、ショック、悲しみに蓋をして、礼儀正しく振舞おうとするショーン・エヴァンスの繊細な演技は素晴らしいですねー。モースはパーティに来たばかりなのに、仕事を理由にその場を立ち去ります。あぁ、モース、もうジョアンのことは放っておきましょうよ。

モースの想いは悲しい結果になりましたが、新米刑事ジョージとトルラブ巡査は温かい交流を深め、さわやかカップルになりそうです。

最終シーンではロバート・ケネディが暗殺されたというニュースがラジオで流れ、タイムスタンプが付きました。この年、1968年はマーティン・ルーサー・キングが暗殺された年でもありました。

www.youtube.com


海外ドラマ『新米刑事モース~オックスフォード事件簿~』シーズン1
海外ドラマ『新米刑事モース~オックスフォード事件簿~』シーズン2
海外ドラマ『新米刑事モース~オックスフォード事件簿~』シーズン3

海外ドラマ BBC『ボディガード -守るべきもの-』

ボディガード -守るべきもの-』は、6つのエピソードからなる英国のスリラードラマで、現在Netflixで配信されています。『ライン・オブ・デューティ』(LOD)のクリエイター、ジェッド・マーキュリオの新シリーズということで、LODの1ファンとして日本で放送されるのを楽しみにしていました。

ですが、ドラマの内容やキャストについてはまったく知らずに見たので、主人公のボディガード、デイビッド役が『ゲーム・オブ・スローンズ』(GOT)でロブ・スタークを演じたリチャード・マッデンだと途中まで気付きませんでした。GOTとは全く違う顔を見せていましたねー。

LODから引き続き出演していたのは、女性政治家役のキーリー・ホーズ、警視庁のテロ対策部長役のジーナ・マッキー。LODは現在シーズン5の撮影に入っているそうですが、この二人が今後LODに登場することありません。

この「ボディガード 」の緊張を強いられる強烈なオープニングシーンは、さながらジェイソン・ボーンやボンドシリーズの映画のようでした。最初のエピソードで、視聴者の心をしっかり掴んだのではないでしょうか。

以下、ネタバレ含みます。
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ボディガード -守るべきもの- | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
BBC One - Bodyguard

アフガニスタン帰還兵にしてロンドン警視庁の巡査部長デイビッド・バッド(マッデン)は、偶然乗り合わせた列車でイスラム教徒による自爆テロを機転を利かせて防ぎます。この功績でバッドは、野心的な女性内務大臣ジュリア・モンタギュー(キーリー・ホーズ)の警護に就く仕事に任命されます。けれども、守るべきその要人は、彼のトラウマの元となった英軍の海外派兵を推進するの中心人物でした。バッドは自分がPTSDを患っていることを隠して任務に就きます。

新しい仕事は、予測もしなかったことが起こり複雑になっていきます。ディビッドとジュリアの間に起こる化学反応(私にとってこれが一番予想外)はもちろんのこと、暗殺未遂、職場での脅迫やスパイ活動など。そして、ロンドン警視庁の対テロリズムSO15のアン・サンプソン(ジーナ・マッキー)と、MI5のスティーブ・ハンター(スチュアート・ボウマン)の組織間の対立も描かれます。ジュリアが開いた会議の終わりで、サンプソンがカウンターパートに対し言い放ったのは「ファック・ユー、スティーブ」。アメリカならあり得そうですがBBCですよ。いずれにしても日本では(思うことはあっても!)あり得ないことです。


LODと同じく、このシリーズには信頼できる人が登場しませんねー。デイビッドを含む皆がグレーに見えます。もし例外を挙げるとしたら、デイビッドと別居中の妻ヴィッキーでしょうか。マーキュリオのストーリーはどれも慎重に構築されていて、登場する人物スケッチは曖昧なので、最後まで誰が黒なのかわかりません。そこかしこにフラグがあるようにも思えるし、想像だにしていない逆転があるようにも思えてしまいます。

最後のクライマックスはいささか飛ばし過ぎ感はあるものの、考えてみればここにきて時間を割かれては、見ている側はイライラしてしまいそう(少なくとも私はね)。デイビッドの爆弾解除までの描写にはしつこいくらい時間をかけていました。どのシーケンスにどのくらい時間を割くか、きっと入念に計算されているんでしょうね。


私が「ボディガード」のデイビッドと「GOT」のロブ・スタークが全くリンクしなかったのは、ある意味、彼にとっての成功だったのではないでしょうか。印象に残る彼の声と話し方は、はじめて聞いたように感じました。

デイビッドは、一見利発そうですがその一方で鈍感にもみえます。また、少年のような顔を見せたかたと思うと、いい歳のおじさんにように感じたりもしました。その掴みどころのない印象は、物語に微妙な影を落とし、謎を深めたようにも思います。絵に描いたようなハンサムでない(個人的な意見です!はい)のも、(余計なお世話ですけれど)今後幅広い役をこなせそうです。シーズン2も、もちろん製作されますよね?


このドラマに出演したことで、リチャード・マッデンは次期ジェームズ・ボンドの候補者リストのトップに上がったというニュースを見ました。それ、いいかもしれませんね。

今、私が見たいと思っているBBCドラマ:
Killing Eve – BBC1
Black Earth Rising – BBC2
Press – BBC1

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