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クックの『ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密』

翻訳小説

『ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密』トマス・H. クック ハヤカワ・ポケット・ミステリ

最近のクックは名前シリーズなのですね。キャサリン・カー、ローラ・フェイ、ジュリアン・ウェルズと続きます。ジュリアンの前に、アン・クラインがあるようなのですが、残念ながら翻訳本は未だ出ていないようです。

クックの本はいつも暗く辛いのですが文章が気品に満ちていて、じっくり読みたくなります。ここ最近は記者や小説家のようなライターを主人公にすることが多いようです。今回の作品でもジュリアンは作家、親友のフィリップは文芸評論家という設定です。

過去を辿りひも解いていくといういつものスタイルです。本書ではいろいろな場所に連れていってもらいました。スペインのクエンカ、パリ、オラドゥール、ロンドン、ブダペストハンガリーのチェイテ、ロシアのロストフ、そしてブエノスアイレスへと。もうそれだけでもため息ものです。

最後まで読んでから、もう一度読み直してみたのですが、1度目に読んだときとはまた違ってジュリアンの気高さ、一言一句が身に染みます。長い間暗闇で苦しみもがいていたのだと感じることしきり。二度読みをおすすめします。