『チョコレートドーナツ』

1970年代の実話をベースにした映画です。母親に捨てられたダウン症の少年と一緒に暮らすために、司法や偏見とたたかうゲイカップルの話です。

近所のいつも行く映画館で少し遅れて公開されてから、見に行こうかとどうしようかずいぶん逡巡したのですが、昨日見てきました。地味な映画ですが、映画館は結構人で埋まっていました。私が行く映画館では珍しいことです。シネスイッチ銀座では満席なんだそうです。

この映画を成功させているのは、紛れもなくそのキャスティングでしょう。歌手を目指しているショーダンサーのルディをアラン・カミングが、弁護士ポールをギャレット・ディラハントが演じています。ルディは薬物依存の母親の元にいる少年マルコを心配し愛情を注ぐことになるのですが、何が彼をそうさせるのか。

彼らがマイノリティとしてどれほどの偏見に満ちたセカイにいるのか、どれほどの孤独を感じているのかが痛いほど伝わってきます。なのでヒゲあとの濃い、髪の毛ボサボサの中年男のルディのくしゃっとした笑顔がとてもチャーミングに見えますし、ポールの健気な様子が涙を誘います。またカミングの熱唱も素晴らしい。

カミングもディラハントも、癖のある脇役俳優として活躍している二人です。二人の何気ないシーンなんだけれどもグッとくる表情をぜひ見てほしいです。私はポールの唇が震えてるような語り口にジーンときました。ただ彼を見るだけで切ない気持ちになる、そんな役者さんってなかなかいないと思うのです。