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小説『サンドリーヌ裁判』トマス・H・クック

翻訳小説


名前シリーズが続いているようで、今度は「サンドリーヌ」です。私はトマス・H・クックのまるで詩を織るような表現力と洗練された文章が好きです。犯罪の背景にある人間性に焦点が当たり、暗い気持ちになることもありますが、彼の作品のファンです。


サミュエル・マディソンとその妻サンドリーヌはコバーンという、町と同じ名前の小さな大学の教授です。ある晩、サンドリーヌは薬の過剰摂取で突然亡くなり、死亡後のサンドリーヌの姿やサムの奇妙な行動から、彼は逮捕されてしまいます。最後の夜、サムはサンドリーヌに反社会的人間と呼ばれていたのでした。

聡明で美しく完璧なサンドリーヌは、貧乏人の家柄で、勉強はできるけれどサンドリーヌほどの知性はなく、背は高いけれど容貌は冴えないサムに出会い、彼に何かを感じ、ほどなく「あなたなのよ」と言い結婚します。そして、そのときサムの中に認めた何かがいつしか失われていくのです。

サムは、検察官のシングルトンが自分を捜査対象にしたのは「わたしはサンドリーヌの生活のなかのただひとりの男、彼女を殺す理由を―ひょっとするとひとつならず―持ち、しかも、そういうことを実行するのに必要な道徳的下劣さを併せ持つただひとりの男だった」から、と考えます。

どこか他人事のようなサムなんですが、裁判が進み日ごとに真実が明らかになるにつれ、あることに思い当たり疑惑を募らせるのでした。


リーガル・サスペンスとしても楽しめます。最後のページをお忘れなく(私は次のページがあることに気付きませんでした)。

サンドリーヌ裁判 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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