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映画『FRANK フランク』

遅ればせながらDVDになって見ました。見る前は、張りぼてのお面を常に被ったバンドのボーカルの話しで、顔を一切出さないその役を演じたのはあのマイケル・ファスベンダーということだけしか知りませんでした。

先入観なしで見たこの映画は、前半と後半ではまったく違った印象がありました。最初のほうではコメディタッチの作風に何度も笑い「そんなことあるわけないじゃないの」なんてお気楽に見ていたのですが、見終わった後は切ない気持ちでいっぱいになりました。

 

フランク(M.ファスベンダー)は、寝るときもシャワーを浴びるときもかぶりものを外すことはありません。食事はお面の隙間からストローで流動食を飲むという徹底振り。バンドのメンバーもフランクの顔を知りません。

音楽に関しては、よくわからないジャンルなので、途中加入したジョン(ドーナル・グリーソン、映画『アバウト・タイム 』でタイムトラベルする彼です、「不思議」が似合います)がフランクに憧れるのか理解できませんでした。ただ、ジョンは裕福な家庭で育ち、苦労もなく生活の起伏もないんだろうなと、彼が作る歌詞で推測はついてしまうので、奇抜なフランクの存在自体がもうリスペクトに値するのかもしれません。

とはいえ、実際フランクは天才なのかも。レコーディング合宿での練習方法に「マジで?」と思えるのも、マギー・ギレンホール演じるサブカル女について理解不能で感情移入できないのも、私が平凡過ぎるせいなのかもしれません。

彼らはテキサスの音楽コンベンションに参加することになるのですが、そこでメンバー同士が揉めたり、フランクが情緒不安定になったりと挙句の果てにバンドは空中分解してしまいます。メンバーがバラバラになったあとも、ジョンはフランクの行方をTwitterを使って探し出し、実家に帰っていたフランクと再会するんですね。このとき、ジョンも私たちもフランクの素顔を知ることになります。

最初からフランク役がM.ファスベンダーと知らなければ、彼だと気づかなかったかもしれません。ファスベンダーのオーラ(どんなんですか)ゼロです。そこで彼の家庭環境(子ども思いの両親がいるごくごく普通の家庭だった)や、お面を被った理由を知ります。そして、フランクの顔や頭に、長年被りものをしてきた痕跡を残す傷を見つけて、彼が痛々しくも愛おしい存在だと気づくのです。

 

FRANK フランク [DVD]

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