映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』

先々週末、日比谷のみゆき座に到着したら、何と窓口にSOLD OUTの張り紙が。それで今回は前日にオンラインチケットを購入しました。いつも空いている近所の映画館に慣れてしまい、満席になることなんてないと思い込んでいました。そういえば昔は立ち見で映画を見たことが何度もありましたっけ。

さて、この映画はトム・ロブ・スミスのベストセラー小説をベースにしています。私は『チャイルド44』、続く『グラーグ57』、『エージェント6』も出版されてすぐに読んでいたのですが、詳細はすっかり忘れていました。見ながら、多少思い出したりもしたんですけれど、基本はまったく新しい映画を見ているような感じで、前のめりになって鑑賞しました。以下、ネタバレ含みます。

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スターリン体制下のソ連でMGB(国家保安省)のエリート捜査官レオ・デミドフは、副官の計略にはまり、妻ライーサともども片田舎の民警へと左遷されてしまいます。そこで発見された惨殺体が、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していたことから、レオはこれを連続殺人とし、捜査に執着してゆきます。

この連続殺人犯のモデルは1978年から1990年にかけて、ソ連で52人を殺害したアンドレイ・チカチーロだと言われています。(このチカチーロはあのトマス・H・クックの小説『ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密』にも登場しています)

レオと妻ライーサは「前門の虎、後門の狼」状態(もちろんトラはサイコバス、オオカミはユートピアを謳う全体主義)で、ハラハラし通しでした。その夫婦もはじめはレオの一方的な想いのみで、ライーサはある日告白します。プロポーズされて1週間泣き暮らしたこと、嫌でも断れなかったこと。「この国でMGB捜査官にNoと言える人がいるのか」と。しかし事件を追うレオに協力するうちに、彼に信頼を置くようになります。この時代の歴史的背景を考えると、レオの存在そのものが奇跡のような気がします。


この映画はイギリス、そして北欧の俳優が多く出演。主人公レオ役はトム・ハーディ(イギリス)、その妻にはノオミ・ラパス(スェーデン)。この二人は以前ここにも書いた映画『ザ・ドロップ』(日本未公開)でも共演済みです。ノオミ・ラパスは独特な魅力を持った女優で『ミレニアム』のヒロイン役で注目を集めてからは米英の映画にひっぱりだこになりました。

冷酷無比な副官にはジョエル・キナマン(スェーデン)、そのキレイな北欧の顔がどこまでも冷たく似合っていました。久しぶりにヒゲのないキナマンを見た気がします。最近の活躍ぶりは素晴らしいですね。『特捜部Q』のときに書いたファレス・ファレス(スェーデン)、ニコライ・リー・コス(デンマーク)も出演しています。

海外ではあまり評価されなかった作品ですが、私は好きです。個人的にはシリーズ3部作の続編も見たい、娘に手を焼く父親レオを見てみたいです。またトム・ロブ・スミスの新作の翻訳本も楽しみに待ちたいと思います。