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小説『特捜部Q―吊された少女―』ユッシ エーズラ・オールスン

翻訳小説

『特捜部Q 吊された少女』ユッシ エーズラ・オールスン

特捜部Q―吊された少女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

特捜部Q―吊された少女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

待っていました。コペンハーゲン警察の特捜部Qの最新作です。

カール・マーク警部補が率いるQに舞いこんだのは、17年前に起こった少女轢き逃げ事件。撥ね飛ばされた少女が、木に逆さ吊りになったまま絶命したもので、有力な手がかりもなく放置されていました。やがて、新興宗教の影がちらつく男が容疑者として浮上します。

プロットは最後までねじれ続けて、最後の最後まで楽しめます。いつものようにユーモアとシリアスが慎重にバランスをとりながら進行します。

今回カールとアサドの絆がより強まるエピソードがあり、アサドの多くは語られていない過去について、ほんの少しですが明らかにされます。

また、ハーディのサブプロットもあります。次回へ続くための伏線なのだと勝手に想像していますがどうなんでしょう。いつか仕事へ復帰できる日がくることを期待したいです。

 

『街への鍵』ルース・レンデル

街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

昨年亡くなったルース・レンデルの1996年刊行の作品です。20年前の作品でも色褪せることもなく、古さも感じませんでした。レンデルはたくさんの作品を世に送り出していますが、私は初めてです。

骨髄移植のドナーになったメアリ。素性もよくわからぬ骨髄の提供相手に会うと決めます。そして彼女はそのレオという優しく繊細な彼に惹かれていきます。まったく関連がないような、近隣で起こる殺人事件と交差し、思いもかけないラストが待っていました。

ジェマ・アータートン主演で映画化されるとかされないとか。もし映画になったら見てみたいです。

 

『偽りの楽園』トム・ロブ・スミス

偽りの楽園(上) (新潮文庫)

偽りの楽園(上) (新潮文庫)

 

トム・ロブ・スミスはイギリスの小説家で、スターリン体制下のソ連での連続殺人事件を描いた『チャイルド44』でデビューし、日本では2009年度『このミス』海外部門で1位になりました。続く同シリーズの『グラーグ57 』『エージェント6』も読みごたえのあるエンタメ作品になっていました。今年の夏には『チャイルド44』の映画化も公開(ここに書きました)されました。

彼の最新作ということで楽しみに読みました。読んでみたら、前3作品とは全く異なるタイプの小説でした。

主人公はイギリスの青年ダニエル、両親はスウェーデンで幸せな老後を送っていると思っていたのですが、ある日父親から母親が精神病院から脱走したという連絡が入ります。一方で彼の前に現れた母親は「私は狂ってなんかいない」と言うのです。ダニエルはとまどいながらも母親の独白を聞くことに。

前作の44・57・6のような小説を期待していたせいでしょうか。なかなかギャップについていけず、母親にも感情移入出来ませんでした。次回作を期待しています。