読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル

翻訳小説

『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

 

ミステリを読んでいて、ストーリーの途中でガマンできず、最後の方のページをペラペラとめくり、犯人を探してしまうことはありませんか。正直に言いましょう。私は今までに数回そうやって先に犯人を知ってしまうことがありました。

この作品も途中でずっと先にあるページをめくりたい衝動に駆られました。連続殺人犯を追う地道な捜査が続き、その焦燥感が私にも乗り移ったかのようでした。が、そうしなくて良かった。この作品はそんなことをしてはいけませんでした。

この本は、昨年ブレイクしたフランス・ミステリー『その女アレックス』の著者のデビュー作で、同作品の主人公カミーユ・ヴェルーヴェン警部のデビューともいえます。「アレックス」では各章でのサプライズが高い評価につながりましたが、この「イレーヌ」にも衝撃的なサプライズが用意されています。私は驚いて、何度も前のページを行ったり来たりしました。

事件は凄惨で暴力的なんですけれども、著者の人物描画が魅力に溢れていて読ませます。残念なのは、原題(日本語にすると『丁寧な仕事』)とは違うタイトル。なぜ結末を想像してしまうようなタイトルを敢えてつけたのでしょうか。

もしどちらも読んでいないのでしたら、こちらから読むことをお勧めします。

 

『天国でまた会おう』ピエール・ルメートル

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

たまたま、ルメートルの作品を続けて読みました。こちらは「アレックス」や「イレーヌ」とは全く赴きの異なる作品で、フランス最高の文学賞ゴンクール賞を受賞しています。

第一次世界大戦後のフランスを舞台に、2人の男性の数奇な運命を描きます。少し前に書いた『アルファベット・ハウス』を思い出しますね。こちらは戦後の話しが中心になっています。

ミステリーでなく、人間ドラマを書いた文学作品という感じです。ルメートルが描く悲劇は容赦がありません。読んでいる間は切なく、運命に翻弄される2人を応援したい気持ちになりました。

 

『Ker 死神の刻印』エメリー シェップ

Ker 死神の刻印 (集英社文庫)

Ker 死神の刻印 (集英社文庫)

 

スウェーデン・ミステリーということで読んでみました。

主人公は女性検事のヤナ。彼女は幼い頃の記憶がなく、あるのはうなじに刻まれたKer(ケール)の文字だけ。自分が担当した事件を通して、過去と対峙することになります。

異色のミステリーで、今までにはないようなヒロインを描いたエンタメ作品でした。続編もあるらしいです。