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『誘拐の知らせ』G・ガルシア=マルケス

Netflixのドラマ『ナルコス』(Narcos)を見たのを機に、この本を読みました。 著者ガブリエル・ガルシア=マルケスは、1982年にノーベル文学賞を受賞したコロンビアの作家です。

ドラマの感想:
海外ドラマ Netflix 『ナルコス』 - misasa104の日記

 

政府との交渉に行き詰まったエスコパールが、誘拐に手を染めるエピソードがドラマで描かれていました。この本は、その誘拐の被害者とその家族から追ったノンフィクションです。

誘拐の知らせ (ちくま文庫)

誘拐の知らせ (ちくま文庫)

 

南米コロンビアで、ある誘拐事件が起こります。やがて事件は、政府・マスコミの要人を狙って麻薬カルテルが起こした、十件もの誘拐事件の一端であったことが判明します。この麻薬カルテルを率いていたのがパブロ・エスコパール、Narcosの主人公です。

この事件の背景には、大量のコカイン密輸に苦悩していたアメリカ政府が「犯罪者引渡し条約の裁判をアメリカで行う」とする協定をコロンビアと結んだことがあります。

アメリカに引き渡される可能性を前にしたカルテル側は大きな不安と恐怖心を持つことになりました。なぜなら、引き渡されればアメリカで裁判が行われ、とんでもない刑を科せられることになるからです。どれだけ、コロンビアは犯罪者に甘いのよ、と思いますよね。

コロンビア以上に安全な場所がないことを知った彼らは、自国の保護下に入るしかないという皮肉な現実にぶち当たります。容赦ない無差別テロをひろげる一方で、政府には引き渡さないことを無条件で確約するよう要求していたのです。

 

この本は、著者が実際に誘拐された被害者にインタビューし、まとめられたものです。ドラマ『ナルコス』は、DEAの捜査官目線でしたが、こちらは被害者とその家族が中心です。

誘拐されたのは4グループ10名。スペイン語圏の名前は長くて難しいです。油断すると誰と誰が夫婦なのか、わからなくなってしまうので、人物相関図を作成しながら読みました。また、時系列順にはなっていなく、あとから紹介される被害者が実は先の被害者よりも1ヶ月も前に誘拐されていたりもするので、誘拐の順番や日付などもメモしました。

人質はまとめて2~3人て監禁されていました。狭い自由のない生活が長く続くと、当然ながら浮き沈みがあったり、環境のせいで病気になったり様々なことが起こります。監視グループもたびたび交代するのですが、彼らも言わば閉じ込められているわけで、人質と交流し心を通わせることもありました。

読み書きを習っても何の役にも立たない、まっとうな仕事につくよりも犯罪者になったほうが安定したいい暮らしが送れるといった考えが蔓延している中で、彼らのようにな若者がたくさんいました。そんな彼らの言動に、人質は次は自分が殺されるのではないかと怯えていました。

 

人質の様子が身につまされて、ちょっと油断をすると涙が出てきます。私はメモしたり、泣いたりして、時間をかけてこの本を読みました。この著者の本は今まで読んだことがなかったけれど、他の本も読んでみたくなりました。