misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ『刑事カーディナル』 S1, S2

スパドラで、放送していたカナダのサスペンスドラマ・シリーズです。帯番組を久々に楽しんで見ていました。シーズン1とシーズン2が連続で放送されたのも良かったです。

原作はカナダ人作家ジャイルズ・ブラント(Giles Blunt)の小説なんだそう。調べてみると、S1の原作「悲しみの四十語」は邦訳されていました。制作は『オーファン・ブラック』のオーブリー・ニーロン。これは期待できそうでしょう?主役カーディナル役はビリー・キャンベル(Billy Campbell)で、カナダ人俳優と思っていたら、彼は『THE KILLING』にも出演していた米国の俳優でした。一方カーディナルとコンビを組むデローナ役のカリーヌ・ヴァナッス(Karine Vanasse)はカナダ人俳優です。

オープニングはその曲と雪に覆われた風景が相まって、どこか北欧ドラマ『THE BRIDGE』を想起させます。

以下ネタバレあります。
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刑事カーディナル 悲しみの四十語

タイトルにもなっているカーディナルは地元警察の刑事で、双極性障害で入退院を繰り返す妻キャサリンと、トロントの高校に通う17歳の娘がいます。彼の心配事は常にキャサリンにあるようした。

悲しみの四十語

シーズン1で扱うのは、カナダの田舎町で起きた、ティーンエイジャーを狙った連続殺人事件。カーディナルと新しく相棒となったデローナは捜査を開始します。デローナは金融犯罪課から異動してきたのですが、実は警察内の不正を調べる特別捜査室に所属し、カーディナルにかけられたある嫌疑を調査しています。まぁちょっと「ライン・オブ・デューティ」風な要素が盛り込まれています。

メインの殺人事件は途中で犯人が登場するので、私たちは彼らの言動を知ることになるのですが、これがかなり怖い。拉致された青年の様子に、手に汗握り、緊張感が加速して見ていられなかったです。いや、実際には見ていたんですけれども。

事件と並行し、カーディナルが数年前に潜入捜査した際に不正をしたのではないかという疑いについても真相がわかってきます。彼は限りなくクロに近いようでしたが、後に彼が何を守ろうとしていたかがわかります。

記憶に巣喰う虫

シーズン2はシーズン1から数か月後、季節は変わり、初夏になった町はすっかり明るい雰囲気になりました。カーディナルへの内部調査は終了、入院していた妻キャサリンは自宅に戻り、二人は落ち着いた日々を送っているようでした。

そんなある日、頭に銃弾を抱えた若い女性が発見されます。赤毛の女性は生きていますが、どうやってそこへ来たのか、誰に撃たれたのか、思い出すことができません。カーディナルとデローナは彼女を襲った容疑者を突き止めます。

事件解決後、カーディナルが自宅に戻ると、「夕日を撮ってくる」という妻のメモを見つけます。妻を迎えに町に向かったカーディナルは、想像だにしなかった恐ろしい光景を目にすることになります。そして、絶望のどん底に突き落とされます。なんだかイヤな予感がしました。


S1では、言葉は少なくとも、情景や表情からその人の複雑な心情を映し出し、登場人物の怒りや悲しみに触れることができるような気がしました。ところがS2は明るい季節のせいかなのか、単に脚本のせいなのか、人の描き方が表面的になってしまったよう。人物造形に奥行きを持たすことよりも、メインの事件のほうに時間を割こうと決めたのかもしれません。

S2で、デローナと特別捜査室のボスの会話シーンで、元ボスの発言からデローナがカーディナルに想いを寄せていることを示唆するようなものがありました。そんなシーンはあったのかしら。私が見落としただけかもしれませんが。それが本当だったとしてもデローナの性格から、それを匂わすようなことはしないでしょう。カーディナルが妻を失った今後も、二人はロマンチックな関係にはならず、仕事上のベストパートナーになってくれそうな気がします。

それから、不本意にもキャサリンの死は次シーズンまでのクリフハンガーになってしまいました。キャサリンは果たして自殺だったのでしょうか。彼女が何に苦しんでいたか知っていたし、精神疾患がそうさせたのかもしれませんが、前夜に彼女が夫に見せた優しい寛いだ様子はとても自殺するようには見えませんでした。事件性があるように思えるし、むしろそちらのほうがしっくりくる気がします。

カナダでは高視聴率を獲得し、シーズン4までが決まっています。シーズン3の放送を待ちたいと思います。