misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ Netflix『アンビリーバブル たった1つの真実 / Unbelievable』

先月2週間、娘とポルトガル(少しだけパリ)に旅行(旅行記を少しずつアップしているので、良かったらこちらで見てください)してきました。それで帰ってきてから、時差ボケがひどくて夜に目が覚めてしまい、溜まっていた海外ドラマを見たあと、久しぶりにNetflixにアクセスしてみました。ここに書く時間がなかったんですが、待ちに待った『マインド・ハンター』のシーズン2は旅行前に見終わっていました。

それで、実話に基づいているというこのドラマをを見つけました。もちろん何の情報も持ち合わせていなかったんですが、2話目にメリット・ウェヴァー(Merritt Wever)、3話目にトニ・コレット(Toni Collette)が登場すると、もうこれは見るしかないでしょう?ってなりました。後から調べてみるとピューリッツァー賞に選ばれた記事『An Unbelievable Story of Rape』のドラマ化だということでした。

性犯罪被害者のストーリーだし、実話がベースだし、手放しで面白い!と言い難いですが、非常に良くできたドラマで引き込まれました。エンディングも良かったです。

以下、ネタバレ含みます。
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アンビリーバブル たった1つの真実 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

自宅アパートでマスクをした男にレイプされ、被害を訴えた18歳のマリー。最初はマリーを被害者として扱っていた警察ですが、犯人の痕跡が何も見つけられなかったことと、彼女がいくつも里親を渡り過酷な子ども時代を過ごしてきたことなどから、彼女の作り話ではないかと疑うようになります。その挙句、虚偽の証言をしたとして、マリーを起訴さえします。性犯罪の被害を受けた後、同情的だった友人たちは、それがウソだとわかると、誰もが彼女から離れていきました。それが2008年ことでした。

物語は2011年に移ります。刑事カレン・デュバル(これがメリット・ウェヴァー)はマリーのときと同じようなレイプ事件を捜査することになります。一見するとぶっきらぼうなデュバルですが、被害者の気持ちに寄り添います。犯人の手がかりがなく捜査は行き詰まります。そんなとき、やはり刑事の夫が別の管轄区域で同じような事件が起きていたことを示唆します。その事件を担当していた刑事こそがグレース・ラスムッセントニ・コレット登場)だったのです。

過去に遡り、同一犯の仕業と思われる被害者がもう一人見つかると、デュバルとラスムッセンは合同で捜査することになります。最初は互いに距離を置き、デュバルに関していえばラスムッセンの横柄な態度に対して、イライラを募らせていましたが、担当区域が異なる同姓の刑事の徹底した仕事ぶりを知ることで、お互いに信頼を置くようになります。


デュバルはラスムッセンの捜査資料から、その徹底した捜査の片鱗を垣間見ます。それはデュバル自身が高い基準で仕事を続けているからこそ、他チームの仕事についてもそれが一流かどうか見てとることができたのしょう。完璧な報告書は当たり前、3重チェックは必須と言い放つデュバルは、部下にも一切の妥協を許しません。彼女はプロとして立派ですが、友人になりたいかと聞かれれば、どうかわかりません。ラスムッセンは、デュバルに比べるとベテランなので、部下や同僚に寛容ですが、仕事に対する取組みは真剣です。

カレン・デュバルは夫に支えられながら子育てと仕事を両立させています。家事をしながら電話をかけ、ソファで小さい子どもを傍らに眠らせながら、防犯カメラの映像をチェックします。グレース・ラスムッセンは子どもはいませんが、長い一日を終えたあと、同じテーブルで夕食をとりながら相談できる夫がそばにいます。働く妻を支援する同業の夫の姿をドラマで見るのは楽しいことです。それを見ているのが夜中の3時だとしても。多忙な刑事=家庭崩壊というドラマ的なシナリオよりも、実際のところはこういう家庭が多いのでは?『ミディアム』のアリソンの夫は架空のモデルではありません。


物語は2011年の捜査とその数年前の起きたマリーの事件を行ったり来たりしますが、マリーの挿話は見るのが辛かったです。性的暴行だけでも大きなダメージなのに、大人によって嘘つきのレッテルを貼られたマリーのその後に起きたことは壮絶なものだったからです。


このドラマ、最初にも書きましたが、キャスティングが素晴らしいですねー!トニ・コレットが刑事?どうだろう、、と思ってみてましたが、見ているうちにベテラン刑事としてふさわしいと思えるようになりました。メリット・ウェヴァーは完璧、今後の活躍も楽しみです。

それからマリーが最終的に行き着いたセラピストがブルック・スミスだったにはやられました。ブルック・スミスじゃなかったら、セラピストの言葉も一人歩きしてしまったかもね、なんて思います。スミスはほんのちょっとの登場で視聴者に魔法をかけるような、そんなことができる俳優だと思います。そう、思いませんか?