2021年3月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説のこと
2月に続き、3月に見たドラマなどを忘れないよう書こうと思う。3月は見たいドラマが少なくて、映画やドキュメンタリーを観ることが多かった。どこにも行かず、友人と飲むこともなく、会社と自宅の往復という生活にも慣れてきた。ほしいものはほぼオンラインで入手できるが、つい不要なものまで買っていしまい反省も。
海外ドラマ
Vienna Blood/ヴィエナ・ブラッド(Hulu)
Hulu(フールー): 人気映画、ドラマ、アニメが見放題!【お試し無料】
1906年のウィーンを舞台にしたイギリスBBC2によるのミステリードラマ。3つのパートがあり、1パートは前半と後半に分かれているので全6話となっている。
フロイトに傾倒する研修医マックスが、ウィーン警察の警部とタッグを組み、殺人事件の捜査に挑む。脚本は英ドラ『SHERLOCK』などのヒット作も手がけているスティーヴ・トンプソン。マックス役のマシュー・ビアードがカンバーバッチのように人気が出るかどうかは?だけれど・・。殺人事件は起きるも、ライトな仕上がりで、疲れたときでも気軽に見れるのがいい。シーズン2もぜひ観たい。
リンカーン 殺人鬼ボーン・コレクターを追え!(WOWOW)
ジェフリー・ディーバーの小説リンカーン・ライム シリーズのドラマ化。これは別の日記で書きたいと思う。
LAW & ORDER: 性犯罪特捜班 シーズン21(FOX/Hulu)
先月から引き続き、週一で鑑賞。第12話『警官の自殺』でエド・タッカーが登場。タッカーの引退パーティにベンソンが参加するというもの。悲しい結末に驚いたが、久しぶりにロバート・ジョン・バークが見れて嬉しかった。
映画
映画館には久しく行っていないので、動画配信サイトで鑑賞。適当にサーフィンしながら選んでいるので、古い映画も含みます。
COLD WAR あの歌、2つの心(Amazon)2018
舞台はポーランド。粒子の粗い淡々とした映像が流れる最初のシーケンスを観てドキュメンタリーかと思っていたら、恋愛映画だった。1949年、歌手をめざして音楽舞踏学校のオーディションを受けた若きズーラがピアニスト、ウィクトルと出会い、2人は次第に恋に落ちる。スターリン主義政権に悩まされているウィクトルは、自由を求め亡命。その後、15年以上に渡って二人のロマンスが描かれる。二人は(ありがちな)くっついたり離れたりを繰り返すのだけれど、白黒のスナップショットは美しく、演奏される音楽がなにもかも素晴らしい。ズーラが歌う曲がいつまでも心に残る。
監督パベウ・パブリコフスキの両親の物語がベースになっているというのだから、驚き!
ゴールデン・リバー(Netflix)2018
映画『ゴールデン・リバー』公式サイト
何げなく見始めたら、演技派俳優4人が勢ぞろい!これはもう見るしかないでしょう。
1851年のオレゴン州。名うての殺し屋シスターズ兄弟。
兄イーライ(ジョン・C・ライリー)と弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は似ても似つかないキャスティングだが、設定では同じ両親から生まれた正真正銘の兄弟ということになっている。二人とも大の大人であることに間違いはないが、殺し屋の腕がいいことを除けばやることなすこと全て子どものよう。
ゴールドラッシュに沸く1851年。兄弟は黄金を探す化学式を発見したという化学者(リズ・アーメッド)を追う。先発の連絡係(ジェイク・ギレンホール)は殺すはずの化学者と意気投合。その後、4人は合流し、いつしか友情が芽生えていく。何度でも観たい。
私は、マリア・カラス(Amazon)2018
マリア・カラスのドキュメンタリー自伝映画。M・カラスの貴重な舞台映像で美しい歌声を堪能した。その才能とエクゾチックな美貌で皆を虜にしたが、スター故の苦悩と孤独。早すぎる死を残念に思った。ジャコメッティ 最後の肖像(Hulu)2018
1964年、パリへの短い旅行中に、アメリカの作家ジェームズ・ロードはの友人である世界的に有名な芸術家アルベルト・ジャコメッティから肖像画のモデルを依頼される。ロードはジャコメッティの頼みを喜んで引き受ける(そうでしょうよ)が、すぐに終わると思われた肖像画の制作作業は、終わりが見えなくなる。実話をベースにした映画。
ロードは真っ白なシャツにネクタイを締め、誂えたスーツを着て、ウキウキ気分でジャコメッティのスタジオに向かう。しかし、ジャコメッティはロードが訪れても一向に描く気配がない。わたしならこの時点でキレそうだが、相手はアーティストである。ガマン、ガマン。
ようやく描き始めたと思ったら、ジャコメッティはロード(アーミー・ハマー)の顔を凝視し、「冷酷な顔だ、凶悪犯に見える」などと嘯く。「どこが?」と突っ込みたくなるが、当の本人ロードは、何を言われても「サンキュー」と返す。見よ、この自信よ!
しかし、アーティストの自己不信は止まらない。納得いくものが描けない。「ファッック!」と何度も吠え、キャンバスの前で頭を抱えては苦悩する。「またなのね」「またそれなのね」と見ているほう(わたしです)も呆れて、もう笑うしかなくなってしまう。
本物の絵はこちらで見ることができます。
Christies - Alberto Giacomettis Portrait of James Lord | Christie's
ジュゼップ (Josep)(Amazon)2020
サムネイルの絵に惹かれて鑑賞。1910年にバルセロナで生まれ、95年にニューヨークで没した実在の画家ジュゼップ・バルトリの人生を描いた長編アニメーション。非常に好み。
ジョーンの秘密(Amazon)2020
イギリス史上最も意外なスパイとされたメリタ・ノーウッドの話しを実話を基に映画化。80代のジョアン・スタンリーは郊外で静かな生活を送っている。ある日、英国シークレットサービスが家にやってきて反逆の罪で彼女を逮捕する。しかし、彼女は本当にそれらの犯罪を犯し、1930年代にKGBスパイとしてロシア人に英国の秘密を明かしたのか?
フラッシュバック・シーンで、若くて初心なジョアンは友人のいとこであるロシア系ユダヤ人のレオと出会い、政治的にも性的にもこのマルクス主義者に夢中になっていく。これがねー、ジョアンを誘惑するレオを演じているのがトム・ヒューズなのだ。彼以外は考えられないはまり役ではないか。
ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(WOWOW)2020
作者の署名なき一枚の肖像画にふと目を奪われた老美術商が、人生最後の大勝負に打って出ることに。フィンランド映画。スキャンダル(WOWOW)2019
アメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動をシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演で映画化。シャーリーズ・セロンってこんな顔だったっけ?と思って見ていたが、特殊メイクだと後で知る。
事実ベースだからか仕方ないのかかなり退屈だった。どういう人を対象に作った映画なのか。そして、あのエンディングだ。苦々しい気持ちで終了ー。見どころはカズ・ヒロのメイクだけか?
小説
ラスト・トライアル
アラバマ大学ロースクールの老教授トムを主人公にした『ザ・プロフェッサー』『黒と白のはざま』に続く第3弾。ミステリーという点でも十分楽しめるが、このシリーズはやはり人間ドラマに重点を置いていると思う。続く4作目があるらしいので、楽しみに待ちたい。
平凡すぎる犠牲者
平凡すぎる犠牲者 〈ベックストレーム警部シリーズ〉 (創元推理文庫)
- 作者:レイフ・GW・ペーション
- 発売日: 2021/01/09
- メディア: Kindle版
ランナウェイ: RUN AWAY
- 作者:コーベン,ハーラン
- 発売日: 2020/12/08
- メディア: 文庫
父親が薬漬けになった娘を追う物語としてスタートし、その結末は意外なものだった。これもドラマになるでしょうか。
その他
先々月、目が疲れるので、Audible会員になったと書いたが、今では毎日聴いている。
歴史が苦手なので、歴史ものを聴いたり、ミステリーでは古典、アガサ・クリスティーや、私が海外ミステリーを好きになるきっかけになったフィリップ・マーロウ・シリーズなど。紙で買うよりは値段が高いが、先にまとめてコインを買っておきコインで購入するといい。
また、海外旅行に行けないので、以下のような本も購入。これが素敵なので紹介したい。
・ウェス・アンダーソンの風景
ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson 世界で見つけたノスタルジックでかわいい場所
- 発売日: 2020/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
2021年2月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説のこと
1月に続き、2月に見たドラマなどを忘れないよう書こうと思う。今月は見たいと思うようなドラマが少なく、映画を観ることのほうが多かった。
海外ドラマ
LAW & ORDER: 性犯罪特捜班 シーズン21(FOX、Hulu)
https://www.hulu.jp/law-and-order-special-victims-unit
今、毎週見ているシリーズ。6話目を見ている途中、『プリズン・ブレイク』のウェントワース・ミラーを見つけ、声をあげてしまった。様々な俳優がゲスト出演することでも有名なシリーズだが、W・ミラーは嬉しい。今なお放つハンサム・オーラにひととき酔う。新しくSVUに仲間入りした刑事カトリーナ・タミンや主任クリスチャン・ガーランド、検事補になったカリシ、すべてがいいー!
映画
映画館には久しく行っていないので、動画配信サイトで鑑賞。適当にサーフィンしながら選んでいるので、古い映画も含みます。
この茫漠たる荒野で(Netflix)2020
www.youtube.comトム・ハンクス主演、南北戦争後のアメリカを舞台にした西部劇。
退役軍人キッドは News Readerで、町から町へと移動し、地元の人々にニュースを読み、報酬を得ている。旅の途中、キッドはジョハンナという10歳の少女と出会う。6年前に両親は殺され、ネイティブ・アメリカンに育てられたジョハンナは、英語もわからず見知らぬ外の世界に困惑していた。見かねたキッドは、彼女を親族のもとへ送り届ける役目を引き受ける。2人は厳しい自然や人間たちによってもたらされる試練に直面しながらも、荒野を進んでいく。
T・ハンクスならでは味わい深い演技、月並みだけれども大自然の厳しさと素晴らしさ。旅行に行けない昨今、せめてロード・ムービーで世界を楽しみたい。
ハングリー・ハーツ(Hulu)2014
2014年公開の映画。ジュードとミナが出会うオープニング・シーンは、まるでラブコメのよう。結婚式のシーンに時間を使い、『ディア・ハンター』を想起させるも、そのタイミングでまさかのハンターが登場。これはミナの夢の中での話しということになるのだが。子を授かったことで、今までは見過ごしてきたことが気になってしまうミナは、流通している食物は毒として、息子には自家栽培した野菜を使った最小限の食事しか与えなくなってしまう。ミナのパラノイアに対し、何とか立ち向かおうとするジュードだったが・・。
リアリティのあるストーリーが怖いし痛い。『スター・ウォーズ』にまだ出る前の若いアダム・ドライバーの成熟した演技を堪能できたのは良かった。この映画の5年後のNetflix『マリッジ・ストーリー』(2019)のA・ドライバーもまたいい!
天国でまた会おう(Hulu・Amazon)2017
『その女アレックス』を書いたピエール・ルメートルの小説の映画化。2015年に読んだときの感想はここに。映画のサムネイルの写真だけでは見ようと思わなかったが、あの本の映画化だと気付き、見てみることに。戦後のパリを舞台にした人間ドラマで、テーマは重いがクスっと笑えるようなエスプリの利かせ方はやはりおフランスならでは、か。タイトルの意味するところがわかる展開は、原作と映画で異なっているが、どちからというと映画のほうが好み。
マイ・ブックショップ(Amazon)2019
イギリスの美しい田舎町を期待して鑑賞。1959年、イギリスの海辺の小さな町で、戦争未亡人のフローレンスは町に一軒もなかった本屋をオープンさせる。しかし保守的な町ではそれを快く思わない人も少なくなかった。ということで、地元の有力者ガマート夫人から嫌がらせを受けるというもの。映画の結末に驚いた。それ問題ありでしょう!という気持ちが残り、消化不良に。
オペレーション・フィナーレ(Netflix)2018
史実に基づくドラマ。1960年、イスラエル諜報特務庁の諜報員たちは悪名高いナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンを捕らえるため、アルゼンチンへ向かう。
映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』でゴーギャンを演じたオスカー・アイザックが正統派なイメージで好演。アイヒマンの「命令に従っただけ。なぜ国を代表して罪に問われるのか」という言葉が残る。
ザ・ゴールドフィンチ(Netflix)2019
原作はピューリツァー賞受賞の小説で、アンセル・エルゴートとニコール・キッドマンが競演ということで話題になったが、酷評されて失敗に終わったとされる映画。冗長で散漫と感じたが、自宅でゆっくり見る分にはいいのでは?
小説
つけ狙う者
前作から、その後が気になっていたヨーナ・リンナシリーズ最新刊。今回はシリーズ1作目に(そして映画化にも)登場した精神科医エリックに焦点があたる。エリックは、自宅に帰ると妻が殺されていた夫の精神状態を診るため警察に協力することに。
わたしは読みながら、エリックに「なぜそれを先延ばしにする?早く警察に報告しなくちゃ」と何度も忠告したくなり、少々イライラしながら読み進めた。とは言いつつも、最後まで読ませるストーリーになっている。
最後の巡礼者
- 作者:スヴェン,ガード
- 発売日: 2020/10/01
- メディア: 文庫
2003年、老人の死体が自宅で発見された。その2週間前に発掘された、戦時中に殺されたとみられる三体の白骨死体に関連性を見出したトミー・バーグマン刑事は事件の真相を掴むため執拗に捜査を進める。物語は現在(2003年)と1939年~のイギリス籍ノルウェー人アグネス・ガーナーによるスパイ活動の様子が並行して進む。後半には先が読めてしまったが、バーグマン・シリーズの次作が翻訳されればまた読みたい。
見習い警官殺し
- 作者:レイフ・GW・ペーション
- 発売日: 2020/01/22
- メディア: 文庫
海外ドラマ 意外にも楽しい『ミセス・アメリカ~時代に挑んだ女たち~』感想
このドラマを見始めたときは、70年代のフェミニズム運動の話し?くらいの情報しか持ち合わせてなかったので、政治色が強かったり、小難しそうだったらスキップしようと思っていました。けれど、見始めたら、なんとも楽しく面白く、オープニング曲を聴くだけでノリノリな気分に。
このシリーズは、米国の男女平等憲法修正条項(ERA)をめぐって対立した1970年代の著名な人物をモデルにしたアンサンブル・ドラマになっています。なんと主人公は男女平等に強く反対するケイト・ブランシェット演ずるフィリス・シュラフリー。主人公は反対派の人なんかい?と衝撃を受けました。6人の子を持ち、“家庭で子を育てることが女性の幸せ”という信条のフィリスはERAに反対する活動を始めるんですねー。
ミセス・アメリカ~時代に挑んだ女たち~ | ドラマ | WOWOWオンライン
まずですね、オープニングの音楽が素晴らしい!「ジャジャジャジャーン」のベートーベンの交響曲第5番「運命」のディスコ・バージョンで、ファンキーなテイクになっています。これが楽観的でエネルギッシュなこのシリーズにピッタリはまっています。
シリーズは主にフィリス・シュラフリーに焦点を当てていますが、各エピソードは新しい法律に賛成するキャラクターを紹介しています。1話目のタイトルは「フィリス」、2話目は「グロリア」3話目「シャーリー」というように。
フィリスは、どんなときでも、髪をまとめ、ちゃんと化粧をし、パステルカラーの服と上品なアクセサリーで理想的な妻・母親のイメージそのまま。どこかの誰かのように、テレワークの日や週末は朝から晩までジャージ、なんてことはあるはずもなく、いつもパーフェクトなわけ。スタイル維持のため、腹筋運動も欠かしません。
けれども、自分は”STOP ERA”の活動が忙しいので、食事や子育てはメイドや、結婚の機を逃した義姉に任せています。そんなフィリスの演説はめっぽう流暢で説得力はあるのですが、ときどき「えっ?それ本当?」みたいなことも言ってしまうので、法律家からは突っ込まれることも。少しくらいなら、誇張するためにウソをついたっていいでしょう!くらいの勢いなのだ。
上左からアリス・マックレイ、ベラ・アプツーグ
下左からシャーリー・チザム、ベティ・フリーダン、グロリア・スタイネム
アリス以外は実在する人物で、ERA賛成の立場の女性たちです。
2話目のタイトルになっているグロリアはジャーナリストで魅力的なキャリア・ウーマンです。サングラスのつるで長い髪を挟み込み、ヒップなファッションセンスに、見た目も可愛いので若い女性の憧れでカリスマ的な存在ですが、本人はいたってマイペース。冷静でダルそうな声、額に寄った皺の表情のR・バーンが見事に演じています。
4話目はベティ・フリーダン。フェミニズムの運動の創設者ですが、「10年前に本を書いたかもしれないけれど、もう時代遅れなのよ、同性愛者や有色の女性に関する偏見ってどうなの?」などと思われています。率直さからかすぐに感情的になってしまう中年女性に冷ややかな目を向けてしまう人も多いよう。娘がいて、元夫は若い女性と結婚。久しぶりのデートに何か着ていこうかと、かつて出演したテレビのトークショーで着たドレスに手を伸ばしている様子はリアル過ぎて悲哀を感じてしまうのですが、最後のシーンではしみじみと温かい気持ちに。
8話目は、フィリスを信奉するママ友、アリスの物語です。
このエピソードは良くも悪くもドラマチック。アリスは架空の人物なので、思いきり好きなように脚本が書けたんじゃないかと・・。
タイトルは「ヒューストン」。ヒューストンで開催された全米女性会議でのこと。思うようにスピーチができず落ち込んだアリスは一人会場のバーへ。やはり一人で飲みに来た隣席の女性と話しに花が咲き、「気が楽になるわよ」と勧められた薬を飲みます。そして、サイケなセカイへ入り込んだアリスは、次第に視覚的に混乱していき、、。
気付けば、フェミニストたちの仲間に入り込み、一緒に歌っているではないですか。アリスは、今までと違った目線で物事を見るようになっていきます。
C・ブランシェットは年齢がいっても美しく、パフォーマンスは優雅で洗練されています。フィリスの胸の内を顔のアップだけで表現する様はさすがです。フィリス含め、他のキャラクターも、実際の人物によく似た俳優がキャスティングされているようです。といっても、実在する人たちを知らないわたしでも十分楽しめました。
仲間内の諍い、分裂、さらには裏切りなども描かれますが、完全な英雄的存在とか悪人とかはいません。脚本が秀逸なのだと思います。
それにしても、日本では最近、公的な人の女性蔑視の発言が問題になり、ジェンダーに対しでまだまだ後進国であることが海外に露呈してしまったということがありましたね。
2021年1月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説のこと
もともとこのブログは自分の備忘録として開始したんだっけ、ということで、1月に見たドラマなどを忘れないよう書こうと思う。
海外ドラマ
別日記に書いたけれども、今年はじめにAmazon経由でSTARZPLAYを見てみた。
ギャング・オブ・ロンドン(STARZPLAY)
20年にわたりロンドンで最も強い力を持つ犯罪者として君臨してきたフィン・ウォレスの死をきっかけに巻き起こる混乱を描く。
ヴァイオレンス全開、血みどろの殺戮、殺すか殺されるかの犯罪スリラー・シリーズで、映像は暗くてスタイリッシュ。今後の展開が気になり、早くシーズン2が見たい。
ダブリン殺人課(STARZPLAY)
エドガー賞をはじめ数々の文学賞を受賞し注目を浴びたタナ・フレンチのドラマ化。
デビュー作『悪意の森』と『道化の館』の2つの小説を合体したストーリーになっており、少々複雑で長いと感じた。フーダニットの部分よりも、主人公の男性刑事の過去とキャラのインパクトが強くて、そちらに目がいってしまう。とはいえ、陰湿なクライム・ドラマ好きとしては次シーズンが出たらまた見たいと思う。
2月7日からAXNミステリーでも放送予定。
ダブリン 悪意の森 | AXNミステリー
刑事モース~オックスフォード事件簿~シーズン7(WOWOW)
シーズン7(WOWOWではcase28~30)は3つのエピソードに跨るストーリーになっていたので、気を緩ませることなく観る必要があった。途中でうたた寝でもしようものなら、よくわからないことになってしまう。
今シーズンは、モースが休暇をとって行ったベネチアで出会った美しい女性とベッドインするところからスタート。まぁそんな出会いがオープニングになっているので、きっとこの女性には何かあるに違いないと思っていたら、案の定、モースの学生時代の友人の妻だった。そして、その夫婦には秘密があったという落ちに。わかりやすい。
モースはつくづく空気が読めないということが露呈したシーズンでもあった。
Lupin/ルパン (Netflix)
この1つ前の日記に書いたけれど、まだ1月であっても、今年最高のドラマの1つになることは間違いない、そんな風に思える期待のドラマ。
映画
映画館には久しく行っていないので、動画配信サイトで鑑賞。適当にサーフィンしながら選んでいるので、古い映画も含みます。
15年後のラブソング(Amazon)
イギリスの人気作家ニック・ホーンビィの同名小説を実写映画化。長年一緒に暮らす腐れ縁の恋人ダンカンと平穏な毎日を送っていたアニーは、ある日、ダンカンが心酔するミュージシャンで、90年代に表舞台から姿を消した伝説のロックスターのタッカー・クロウからメールを受け取る。そして、タッカーが実際目の前に現れて、、。アニーは米ドラマ『ダメージ』のローズ・バーン、タッカー・クロウはイーサン・ホークが演じている。髪ボサボサで冴えない中年男も、イーサン・ホークがやれば魅力的に?他の男はもう勝ち目がなくなってしまうよねー!と思いながら見た。
アニーが住んでいる家のインテリアがセンス良くて溜息もの。ダンカンの部屋も味があっていい。あぁ、こんな家に住みたい。
小説
ザリガニの鳴くところ
- 作者:ディーリア・オーエンズ
- 発売日: 2020/03/05
- メディア: Kindle版
今月に入り、Amazon の Audible の対象本になっているのをみつけ、すぐに購入した。最近は目が疲れて辛いので、Audibleを体験したかったのだ。
これは小説も素晴らしいが、ナレーションの池澤春菜さんが上手い!調べてみると声優さんなんですねー。
作品自体はミステリーとして読むと、腑に落ちない点もあるが、10歳から一人で生きなければならなかった「湿地の少女」カイアの成長物語として読むと感動。
レンブラントをとり返せ -ロンドン警視庁美術骨董捜査班-
レンブラントをとり返せ -ロンドン警視庁美術骨董捜査班- (新潮文庫)
- 作者:ジェフリー・アーチャー
- 発売日: 2020/11/28
- メディア: 文庫
御年80歳で新シリーズとはスゴイ、わたしもまだいろんなものを諦めなくてもいいのね、などと勇気がもらえた。続編もすぐに出るということなので、楽しみ。
海外ドラマ 2021の幕開けにふさわしい Netflix『LUPIN / ルパン』 Part 1
Netflixのオープニング動画で『最強の二人』『あしたは最高のはじまり』のオマール・シーを見つけ、すぐに見てみました。あとで調べてみたら、“怪盗ルパン”の生みの親、仏作家モーリス・ルブランによる『アルセーヌ・ルパンシリーズ』にインスパイアされたNetflixの新シリーズということでした。
イギリスが名探偵「シャーロック・ホームズ」なら、フランスは変装の達人、怪盗紳士「アルセーヌ・ルパン」でしょう?両者は幾度となく映画化されていて、日本ではルパンというと、アニメの『ルパン三世』を思い浮かべる人が多いのはないでしょうか?
全部で10話だそうで、現在はPART1として前半の5話のみが配信されています。
Lupin/ルパン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
主人公はオマール・シー演ずるアサン・ディオプ。アサンの父親はセネガルからの移民で、裕福で権力もあるヒューバート・ペレグリーニのドライバーをしていたが、ある日、ペレグリーニ家にあるマリー・アントワネットがかつて所有していたというネックレスの盗難容疑で逮捕されると、その後刑務所で自殺をしてしまう。
25年後、かつて父親が誕生日にくれた「紳士泥棒アルセーヌ・ルパン」の本に触発されたアサンは、巧妙な手口でペレグリーニに復讐しようと計画する。もちろんそれは、ネックレスを奪うことだけが目的ではなく、真実を明らかにし、父親の死の責任を負わせたいという気持ちからだった。
190㎝の大柄な身体にしなやかな身のこなし、シリアスな場面でも、どこか楽観的でキュートなオマール・シーが泥棒に扮し、あますことなく魅力を発揮する。説得力のあるストーリー、適切なキャラクター設定、ミステリー、冒険、アクションの組み合わせで展開も早い、まるでジェットコースターのよう。
アサンがまだ子どもだったときに唯一の親を失うという悲劇にもかかわらず、『ルパン』は誰もが楽しめるような明るく気楽なエンタメ作品になっています。
2021年最も楽しいドラマの1つであることは間違いないでしょう。
海外ドラマ Amazon経由でSTARTZPLAY『ふつうの人々 / Normal People』を見てみた。
年末年始はどこにも出かけず、自宅にこもっていました。正月は、長男は1日だけ、次男は帰省しませんでした。
暇を持て余し、気になっていたSTARZPLAYが昨年12月からAmazon Prime Video経由で見れるようになったので、見てみることに。初回時7日間は無料で、その後はオプション料金(月額600円)がかかります。
特にこれがみたいというタイトルがあったわけではなかったので、まずはIMDbで評価が高い『ふつうの人々』を見始め、途中でフェードアウトしそうになるも全話(30分12話)見ました。
BBC3とHuluの共同制作ということですが、見れるのはHuluではなくSTARZPLAY なんですねー!STARZPLAYの魅力はそこでしか見れない海外ドラマが他にもたくさんあることです。興味のある人はまずは無料で試してみてはどうでしょう。
以下ネタバレ含みます。
Amazon.co.jp: ノーマル・ピープル シーズン1 (字幕版)を観る | Prime Video
アイルランドの作家、サリー・ルーニーの2018年の同名小説をべースにしたドラマ。アイルランド西部の田舎町の高校でクラスメートとして出会った二人、マリアンとコネルの高校3年からトリニティ・カレッジの大学生活までをたどります。
マリアンは母親が弁護士で立派な家に住んでいますが、お世辞にも温かい家庭とはいえず、家では勉強・読書をし、一人で食事をとっています。
コネルの母親はマリアンの家で家政婦の仕事をしています。コネルは母親が仕事が終わる頃、マリアン宅へ車で迎えに行った際、何度かマリアンと話しをするうちに二人は少しずつお互いを意識するようになります。
コネルはスポーツマンで人気者なのに対して、マリアンは可愛いけれど、難しい性格で学校では孤立しています。そんな二人が付き合うようになるも、コネルは仲間に詮索されるのを心配し、二人の関係を秘密にしようと言います。ここで、何とまぁ利己的な、、と思うのですが、その後、彼はまたもやらかしてしまうことに。友人たちの手前、学校のプロムの相手として別の女子生徒を誘ってしまうのです。はい、マリアンはひどく傷つきます。
その後、二人は同じ大学へ進学するのですが、お金持ちのマリアンはアイラインを上手に引きクールな女子学生に変身した一方で、田舎から都会に上京したコネルは大学に馴染めずにいます。ここでちょっとした逆転劇が演じられるわけです。裕福な同級生に囲まれる中、コネルは家賃を払うのに苦労し、自分が部外者であると感じます。
マリアンはセレブな男子学生と付き合っていましたが、学内でコネルと再会したことで、結局コネルの元に戻ります。二人は(別の恋人がいたときでさえ)お互いが特別な存在だと感じ、再開と別れのサイクルに入ります。
ミレニアル世代向けのドラマでしょうか。肉体的親密なシーンは、二人の非常にプライベートな時間を除き見ているような気分に。動画配信サービスで他人の朝のルーチンを見ている分はいいけれど、これはなかなかねー。しかし、これなくしてこのドラマは成り立たないし、ここまで人気が出なかっただろうと思う。
マリアンとコネル以外は「その他登場人物」としてかなりラフに描かれていて、ほとんど印象に残らない。存在感があったのはコネルの母親くらい?このドラマに、彼らに影響を与えるような、成熟した大人の男は登場しない。
マリアンの母や兄があんな風になってしまった背景は、いくつかヒントはあったけれど、実際はよくわからなかった。もう少しだけ深堀りしても良かった気がする。
しかし、ドラマのエンディングは良かった。マリアンとコネルが感情に流されず、行くべき道を選択したことはめでたし、めでたし。これは次シーズンへの前振りなのかもしれないが。
マリアンが「美しい文章」と評したコネルの小説がドラマでは紹介されることがなく、どんな作風なのかわからなかったのはちょっと残念。彼は一体どんなことを書いていたのだろう。
サリー・ルーニーの別の本『Conversation with friends』もBBCでドラマ化が控えているようです。
STARZPLAYでは他にも『ギャング・オブ・ロンドン』や『ダブリン殺人課』を見ました。また次回に書きたいと思います。
2020 マイベスト 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説
昨年に続いて、2020マイベストを書きたいと思う。
2020海外ドラマベスト
1.『クイーンズ・ギャンビット』(アメリカ)Netflix
今年はこれしかないでしょう。ここにも書いたが、脚本が秀逸。冷戦期のチェスの天才少女が大人になり、チェス・クィーンになってゆく姿を描く。チェスが知らなくても大丈夫、見ていない人はぜひ見てみて。
2.『カリフェイト』(スウェーデン)Netflix
衝撃的という意味ではこれが一番だった。スウェーデンで暮らす難民やイスラム教徒の若者を言葉巧みにテロ集団ISISに勧誘していく物語と、シリアへ渡りISISメンバーの妻になった女性が夫に隠れて母国スウェーデンに戻る方法を模索する物語が並行して描かれる。ドキュメンタリーのようなリアルさに目が離せなくなった。
3・『ラスト・キングダム』シーズン4(イギリス)Netflix
Netflixで最も過小評価されているドラマ(と思う)。今年シーズン4が公開されて、ますます面白くなってきた。チーム・ウートレッドの今後が楽しみに。
4・『Giri/Haji』(イギリス)Netflix
主人公は刑事役の平岳大、その弟に窪塚洋介、ヤクザの親分に本木雅弘という、なんとも味のあるキャスティングで制作されたBBCのリミテッド・シリーズ。死んだと思っていた弟が、ロンドンで暴力団の抗争に関わっていると知らされた健三は、兄弟の「義理」からロンドンへ飛び、捜査に乗り出すことに。
5・『ブリーズ ~光と影~』(インド)Amazon
インドドラマ『ブリーズ』のシーズン2。前シーズンは、ルールもモラルもない一昔前の刑事ドラマという感じだったが、シーズン2はまたちょっと趣向を凝らした物語になっている。6歳の少女が誘拐され、犯人は父親に驚くべき要求をしてくるというもの。途中で犯人がわかってしまうが、それはあまりにも意外な人物だった。
6・『THE HEAD』(スペイン・スウェーデン)Hulu
ポラリスVI南極科学研究基地では、10名の越冬隊のみが残って南極を覆う極夜を耐え忍び、研究を6ヶ月間続けるはずだったが、冬が明ける3週間前に彼らとの連絡が途絶える。心配になり駆けつけたヨハン率いる救助チームは恐ろしい光景を目にする。日本でも話題になったHuluオリジナルのミステリー・ドラマ。
7.『ザ・ストレンジャー』(イギリス)Netflix
ハーラン・コーベンの小説を基にしたリミテッドシリーズ。妻の秘密を見知らぬ女性から聞かされたことで、郊外に住む一見すると幸せそうな家族の生活にひびが入っていく。
映画(今年わたしが見たものなので、公開が今年でない作品も含んでいます)
1.『これが私の人生設計』Amazon
2016年の作品をAmazon Primeで視聴。イタリア映画なので、知っている役者は皆無だが、とにかく傑作。世界的に活躍していた有能な女性建築家が母国イタリアに戻り、男社会の壁にぶつかりながら奮闘するコメディー。
2.『キーパーある兵士の奇跡』
イギリスの国民的英雄となった元ナチス兵のサッカー選手バート・トラウトマンの実話を基に描いたヒューマンドラマ。逆境を乗り越えていく主人公の姿に勇気づけられた。
3.『家族を想うとき』
ケン・ローチの映画。泣いた。
4.『ジョナサン ふたつの顔の男』Amazon
2018年公開の映画をAmazon(吹き替え版しかなかった)で視聴。正反対の2つの人格を持つ青年を演じたサスペンス・スリラー。
5.『ダウントンアビー』
全6シーズン放送されたドラマ版の最終回から2年後のクローリー家が描かれる。BGMを聴いただけで、何とも懐かしい気持ちがこみ上げてきた。息の合ったキャストが最高。
6.『グッドライアー 偽りのゲーム』
どんでん返しに拍手。
海外ミステリー小説
1.『たとえ天が堕ちようとも』アレン・エスケンス前作『償いの雪が降る』に登場したの刑事マックス・ルパートと弁護士ボーディ・サンデンによるリーガル・ミステリー。前作の主人公ジョーは登場こそしないが、恋人ライラの口から、彼が社会人になっていること、弟のジェレミーもいっしょにいることがわかり良かった。続編も楽しみに。
2.『笑う死体』ノックス ジョセフ
日の当たる場所には出られないマンチェスター市警エイダン・ウエィツのシリーズ第2弾。前作には明かされなかったエイダンの忌まわしい過去に驚愕。ドラマ化されるのだとか。3.『三分間の空隙』アンデシュ ルースルンド , ベリエ ヘルストレム
『三秒間の死角』の続編で、前作を凌ぐスケール、アクションになっている。お馴染みのグレーンス警部が重要な役どころで登場する。次は「三時間」か?待ち遠しい。3.『グッド・ドーター』カリン スローター
母親を目の前で殺され、暴力をうけた姉妹がやがて別れ、28年ぶりに事件の真実を見いだす再生の物語。スローターの本は残酷でどこまでも痛い。痛いけれど読まずにはいられない。4.『ネヴァー・ゲーム』ジェフリー・ディーヴァー
懸賞金ハンターのコルター・ショウの活躍を描く、ディーヴァーの新シリーズ。冒頭から心を鷲掴みにされた。鉄板の面白さ、美しく伏線が回収されていく様に感動。二人の会話を今回もおおいに楽しんだ。6.『ストーンサークルの殺人』M W クレイヴン
年配男性がストーン・サークルで殺される連続殺人事件が起きた。事件は凄惨だが、捜査が進むにつれ国家犯罪対策庁のワシントン・ポーと天才分析官ティリー・ブラッドショーの友情が清涼剤に。7.『黒と白のはざま ザ・プロフェッサー』ロバート・ベイリー
親友の冤罪を晴らすべく、ロースクールの元教授トムと教え子リックが法廷に立つ。前作でトムをバックアップしたボーセフィス(ボー)の過去が明らかに。
8.『発火点』C・J・ボックス
猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ最新刊。大自然を舞台に展開される冒険サスペンス。
9.『老いた男』トマス ペリー
任務中にアメリカ政府と対立した工作員が30年を経て、襲撃されたことで平穏な生活が一変する。一気読みした。
昨年のベストはこちら。
2019年海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 ベスト10 - misasa104の海外ドラマ日記