misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ 『シカゴ・メッド』シーズン3 感想

シーズン3がHuluで公開されたので、観ていました。シーズン1,2はNHKで見たと思うのですが、3はやっていたのかしら?
シカゴシリーズはファイアとPDは同期をとってAXNで放送してくれていますが、MEDはNHKで放送されていたせいか、別扱いになっていました。

さて、シーズン2からしばらく間が空いていたのですが、シーズン3はすごいことになっていました。

今シーズンを振り返ります。以下、ネタバレを含みます。
海外ドラマ「シカゴ・メッド」公式サイト

コナー・ローズとエヴァ・ベッカー

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シーズン2で登場した外科医のエヴァは、コナーと執刀することが多いようです。手術の結果を見れば二人の相性は素晴らしいのですが、エヴァはコナーをライバル視しているためか何かにつけて噛みつき、手術中にする二人の会話はバチバチと火花を散らしていました。

アスペルガー症候群で共感性を欠いている(と本人も自覚)レイサム医師でさえ、彼らのただならぬ様子に気付いて、コナーに大丈夫かと訊ねるほど。

けれども、ロビンがコナーの元を去ると、二人は親密な関係になります。手術中の会話も、お互いを認め合うようになり、オペ室のスタッフはその変化に驚きを隠せません。

結合双生児の手術でコナーの実力が認められるとヨーク・クリニック(たぶん格上の病院)からスカウトされます。そのことを知ったエヴァは「行くんでしょ?」とコナーに食ってかかります。「君ならどうする?」「もちろん行くわ」というやりとりがありましたが、次シーズンに彼がヨークに行くかどうかは言及されずに終わりました。

エヴァは一人になると泣き崩れますが、これは単なるくやし涙だったのでしょうか。

今シーズン、二人が親密になったのはなるべくしてなったという気がします。仕事では、誰よりも相手を理解できる立場にいて、人の生死に関わる手術を通して一体感や特別な感情が生まれるのは当然のことだったのではないでしょうか。

思えば、エヴァはコナーに憎まれ口をたたきながらも、彼が付き合う女性に対するいやみが多かったように思います。好きな男の子にいじわるをする女の子みたいな。
とはいえ、彼らの仕事上の関係をみれば、この関係を継続させるのは難しいでしょう。

わたしはエヴァ役のノーマ・クーリングの話し方と声が好きで、彼女を観るのが好きでした。今後も長くMEDで活躍してほしいです。

サラ・リースとダニエル・チャールズ

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サラ・リースは、シーズン2でメンターであるチャールズが患者に撃たれると、そのことがトラウマになりました。精神科だから、いろいろな患者がいます。

彼女は患者が怖くなり、催涙スプレーを白衣のポケットにしのばせます。実際それを患者に向けて使ってしまった後は、チャールズからは離れ、別の医師の指導下になるのですが、ある日、リースはチャールズに「自分を先生の指導下に戻してほしい」と訴えます。サラにとって、チャールズは指導医であると同時に父親のような存在でした。

けれども、サラの長い間不在だった父親ロバートが、チャールズの患者の一人として彼女の人生に戻ったとき、事態は悪化します。感情的に人を操作するその患者はすぐに精神病質者と診断され、さらに悪いことにチャールズはロバートのことを、彼が大学で教えていた女子学生が行方不明になった事件の殺人犯ではないかと疑っています。

心臓移植のあとリハビリをしているサラの父親の部屋を訪れたチャールズは、ずばり本人にそのことを切り出します。会話の途中で発作を起こし倒れるロバートが最後にチャールズに言い放った言葉は「あきらめろ」でした。

チャールズは心臓マッサージをしようとしますが、手を止めます。そこへサラが入ってきて自分の恩師が父親にしていることを目にしてしまうというのが、シーズンラストのシーンでした。

今シーズンは、ほとんど硬い顔をしていたサラ。やっとPTSDから立ち直ったと思ったのも束の間、畳みかけるように試練が次々に襲いかかり、彼女を見ているのが辛かったです。

ウィル・ハルステッドとナタリー・マニング

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いつかはそうなるだろうと思っていましたが、ウィルとナタリーはお互いが好きだと告白します。けれども、二人に問題が起きるのも、そんなに時間はかかりません。

ウィルは無認可の薬を使ったことを咎められると、ナタリーを庇い自分の判断だったと言ってしまいます。それを知ったナタリーはウィルが自分を過度に保護していると言い、それは自分が女性だからでしょう?と激怒します。

それにしても今シーズンのナタリーはどうしちゃったのでしょう。息子に予防接種を受けさせなかった親を大声で叱責したり、患者が望まない治療を受けさせたり。治療をめぐって激しくウィルと対立することも少なくありません。

ウィルは、ナタリーに「距離を置こう」と告げられて、一人でバーで飲んでいるところにやってきた小児科医とキスをしてしまい(何でよ?)、それがまたナタリーの怒りを買ってしまいます。

ウィルも脇が甘いと思いますが、わたしはナタリーの情緒の起伏に少し引いてしまいました。最後にウィルは指輪を差し出しプロポーズをしますが、その答えは次シーズンまで持ち越されました。

イーサン・チョイとエイプリル・セクストン

シーズン2の最後で熱いキスを交わしたイーサンとエイプリルの関係は、ONでもOFFでも順調そう。イーサンの自宅で、二人で水鉄砲を持ち戦闘ごっこをしている姿は微笑ましいものでした。

が、これまた、イーサンの妹エミリーが登場することで、暗雲がたちこめてきました。

イーサンは、嘘をつくことが平気で病院から薬を盗んだ妹と一緒に住むことを決めたようでした。「エミリーを変えるのは不可能よ」というエイプリルの言葉は彼の心には届きませんでした。であれば、エイプリルはもうイーサンと住むことはできないでしょう。


印象に残った患者や病気のケースもありましたが、実際にはER内の人間関係のほうがずっと気になってしまいました。問題を抱えた家族が多く、私生活に比重がずいぶん置かれているように感じました。シカゴ・シリーズの中でも、飛び抜けているのではないでしょうか。


映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』感想

シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイン』が、『007 スペクター』から6年の時を経て、10月1日より日本で公開されました。前作からもう6年も経っていたんですねー。

ダニエル・クレイグジェームズ・ボンド、最後にして集大成となっている映画です。もうたくさんの人がレビューを書いているでしょうけれど、わたしも少しだけ書きたいと思います。

以下ネタバレ含みます。

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The Official James Bond 007 Website | No Time To Die JP

本作品の脚本・監督はキャリー・ジョージ・フクナガが担当しています。前二作がサム・メンデスだったので、彼のプレッシャーは相当なものだったに違いありません。
しかし、それをはねのけ素晴らしい作品になっていたと思います。映像の切り取り方や色使い、すべて綿密に計算されていたように感じました。そして日本要素がふんだんに取り込まれていたのも、フクナガ監督ならではでしょう。

わたしは映画が公開された翌日10/2(土)に映画館に行きました。その日は台風一過で10月とは思えぬ猛暑だったこともあり、後先も考えず映画館に着いた途端、アイスコーヒーをガブ飲みし、案の定、途中トイレに行きたくなり離席するはめに。もちろん、急いで席に戻り最後まで見ましたが、やはり気になって翌週も観に行きました。

強い女性たち

オープニングで、ジェームズとマドレーヌが訪れたのは、南イタリアのマテーラ。いつかは行ってみたいと思っていた街です。ここにジェームズがかつて愛したヴェスパーのお墓があったんですね。ジェームズが一人で墓参りに行き、墓前で自然と出た言葉は ”I miss you.” でした。

ジェームズ・ボンドの「すぐに戻るよ」ほど当てにならないものはないですが、その後の怒涛の展開、アクションに釘付けに。クルマのことはほぼわからない私でも、あらゆるガジェットを使ってのアクションシーンはもう素晴らしくて。

スペクターのエージェントらが自分を暗殺しようとしたのは、マドレーヌがスペクターと内通していたせいだと思い込んだボンドは、マドレーヌの必死の無実の声には耳を貸さずにマドレーヌを電車に乗せ、もう二度と会うことはないと告げます。突然の別れにマドレーヌは困惑し、電車から離れてゆくボンドを目で追いながら、手を自分のお腹に当てていました。

マドレーヌはボンドがヴェスパーと決別できたら、自分の過去を洗いざらい告白し、妊娠したことを伝えたかったのではないでしょうか。

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わたしは、マドレーヌと別れたボンドがジャマイカで穏やかな隠居生活をしている束の間の映像が好きです。彼のボートも住まいもボンドらしさが溢れ、溜息が出るほどの美しさに酔いしれました。

ボンドはCIAの友人フェリックスに協力を頼まれて、キューバで行われるスペクターのパーティーに乗り込むことになります。そこに彗星のごとく現れたのは、CIA諜報員のパロマ

美しさと可愛らしさを兼ね備え、その華奢な身体からは想像できないくらい強い。パロマのボンドに対する接し方は、まるで取引相手の担当者に接するビジネスマンのようでもあり、現代らしくて良かったです。どんな女性もボンドの前では「女」になってしまうと新007のノーミが愚痴っていましたが、パルマはボンドのモテ男ぶりをよそに、自分の仕事だけに集中し、任務が完了したあとは「わたしはここまで、お疲れ様でしたー!」と、引き際もあっぱれなんですよねー。

それにしても、あの胸の開いたドレスとヒールサンダルで戦うのは大変なことだったでしょう。

ボンドガールではないけれど、ほかにも強い女性が登場します。新しい007のノーミです。007になったことからもわかる通り、プロ意識もスキルも高い(そして少々態度も大きい)諜報員です。彼女もボンドのことは、007という「ただの数字」をめぐって、気になる存在であるものの、男性としての関心は持っていません。

ジェームズが自分の古巣MI6のオフィスに入るときにゲストカードが必要だったり、ボンドが007に復帰すると、ノーミは「自分は00何になるの?」とMになんども確認したり、マニペニーとの会話で「ボンドを撃ったんですってね」「一度は撃ちたくなるのよ」など、クスっと笑えるシーンもあって楽しかったです。誰がMの部屋に入れるか、入れないのかを気にするのも、さもありなんという感じで、笑いました。

悪役について

前作に続いて、悪の親玉、ブロフェルドが登場しました。彼は捕らえられて監獄に入っていたのですね。ボンドとブロフェルドの再開シーンはハンニバル・レクターを想起させました。彼はそこで、意図せずボンドに殺されてしまいます。

わたしは、ブロフェルドはジェームズの義兄と思っていたのですが、ブロフェルドの家族がジェームズを養子に迎えたということで、ブロフェルドとは血のつながりがなかったのですね。そうでなければ、ボンドも死んでしまったことでしょう。

ブロフェルドを殺した黒幕はサフィンでした。サフィンは自分の家族を殺したスペクターの一味をすべて抹消した後、彼の島の基地で、より多くのナノボットを作り、大量破壊兵器として使いたい(売却したい)と考えていました。

サフィンは今までの強力な悪役とは違い、控えめで礼儀正しくどこか不気味な印象でした。まさにラミ・マレックのために用意されたキャラクターだったのでは?

マドレーヌと娘マチルダが、サフィンに捕らえられますが、サフィンは最初からマチルダのことは殺すつもりはなかったように思います。過去にマドレーヌを殺せなかったのと同じ理由で。

ジェームズ・ボンド

ダニエル・クレイグが主演するようになってからの007のフランチャイズは、今までのシリーズとは一線を画したと思っています。シリアス路線になり、感傷的で美しい映像の作品として、わたしの中でもお気に入りのシリーズとなりました。

今作でクレイグが引退することは知っていましたが、映画のタイトルに逆らい、あのエンディングは想像していませんでした。クレイグのジェームズ・ボンドが本当に最後なのだと実感させられて、しばらくは喪失感で胸がいっぱいになりました。


Amazon Primeで『ジェームズ・ボンドとして』を、今日発見して観ました。

クレイグがジェームズ・ボンドとしての15年間の軌跡を振り返っています。彼が次のボンドに決まったときに受けたバッシングがどれほどひどかったのか、怪我を押して撮影をこなしていたことなどが明かされています。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の撮了直後の映像では、チームの皆に感謝の言葉を述べて感極まる彼の様子に感動しました。
最初から最後までダニエル・クレイグを満喫できる、夢のような50分です。


今はまだ次のボンドのことを考えられませんが、わたしとしてはあまりメジャーではない俳優がボンドの役をつかみ、ボンドとして魅力を発揮してほしい気がします。ダニエル・クレイグみたいに。


#はじめに「少しだけ」と書いたのに、なんだかんだ書いてしまいました。読んでもらえたら嬉しいです。


2021年9月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

9月のシニアウィークを使って、一昨年までは旅行に行っていましたが、今年はどこもいけませんでした。来年に行けるでしょうか?

海外ドラマ

以下、ネタバレ含みます。

メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実(U-NEXT)2021

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『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』U-NEXTにて見放題で独占配信!

ケイト・ウィンスレット主演・製作総指揮のHBOドラマで、先日発表されたエミー賞では、リミテッドシリーズ部門で主演女優賞と助演男優・女優賞を受賞。
全員が顔見知りという平穏な町で、ある日突然シングルマザーの少女の死体が発見され、地元の刑事メア・シーアン(ウィンスレット)が事件の捜査に当たることに。一体犯人は誰なのか?

HBOの犯罪ドラマというと豪邸に住むセレブママが主人公の『ビッグ・リトル・ライズ』や『フレイザー家の秘密』などが浮かびますが、このドラマはペンシルバニア州郊外の田舎町イーストタウンが舞台です。

ケイト・ウィンスレットが自身のオーラを消して、コンパクトなコミュニティで暮らす刑事を熱演。ガサツで感情がすぐ表に出る中年女性だがなぜかモテる(^_^)
このドラマはウィンスレットのショーであることは間違いないですが、他のキャスティングも素晴らしいです。

このドラマでジュリアン・ニコルソンを見つけたときには嬉しくなりました。ニコルソンはメア・シーアンの親友ロリとして登場します。ロリはメアとは対照的で、地に足のついた穏やかな主婦ですが、後半になると彼女の足元は崩れ始めます。

それと、シーアンとタッグを組む刑事コリン・ゼイベルを演じたエヴァン・ピーターズもまた良かったです。彼は殺人事件の捜査を手伝うためにイーストタウンにやってきた郡の刑事です。今まではどちからというと色物キャラのイメージが強かったピーターズですが、今回はそれとはほど遠い役で見事な演技を見せています。

このシリーズを観ているときに英ドラマ『ハッピー・バレー 』を思い出しました。主人公のバックグランドが良く似ていると思った人は多いのではないでしょうか。

フォロー・ザ・マネー 詐欺対策班(WOWOW

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北欧サスペンス「フォロー・ザ・マネー 詐欺対策班」 | ドラマ | WOWOWオンライン

デンマークの金融サスペンス・ドラマ。再生可能エネルギー企業の大手エナグリーンの発電所近くの海岸で作業員の遺体が見つかり、それをきっかけに大企業に隠された巨大な闇が浮かび上がっていく。

デンマークといえばこの人、『特捜部Q』シリーズのニコライ・リー・カースがエナグリーン社のCEOソーダグレンとして出演しています。会社はソーダグレンの指示のもと、インサイダー取引や風力タービン先物市場での違法な投機に手を出しているんですね。

このシリーズはいくつかのプロットが絡み合い、いろんなタイプの人物が登場するのですが、ほとんどの人は利己的なので、好感が持てる人物はほぼ見つからないという、観るのが少々しんどいドラマです。

事件を追う刑事マッツは、ドラマの定番、私生活に問題を抱えているのですが、これも同情できず。

このシリーズは全部で10話あり、最後までなんとか観ました。果たしてこの話数は必要だったのか、その長さのためにより複雑なストーリーになってしまったように思います。

そして、あのエンディング。どれだけ、視聴者に忍耐強さを求めるのでしょう。シーズン2・3と放送されるようですが、次は期待してもいいのかしら?観ても大丈夫なのかしら?という気持ちになります。

グッド・ドクター4 名医の条件(WOWOW

グッド・ドクター4 名医の条件 | ドラマ | WOWOWオンライン

シーズン4に突入。最初のエピソードはコロナ感染で緊張感がみなぎる病院の様子が描かれていました。新しいレジデントが追加されましたが、やほりメレンデスを失った穴は大きいです。

シカゴファイア シーズン8(AXN)

シカゴ・ファイア | AXNジャパン

ついに、クルーズが結婚。結婚式で純白のドレスを着た花嫁が本当に美しかったです。
わたしはファイアのこれ見よがしに涙を誘うようなスクリプトが少々苦手なんすが、結局毎回泣いてしまう。
少し前に、最近はキャップの出番が増えて嬉しいと書いたのですが、今シーズンのファイナルではついにキャップにスポットが当たりました。

シカゴ P.D. シーズン7(AXN)

シカゴ P.D. | AXNジャパン

先月の日記で、CBSの『FBI:特別捜査班』とNBCの『シカゴ P.D.』のコラボのことを書いたのですが、EP18「一線を超えて」を観て、なぜアプトンがNYに行くことになったのかがわかりました。NYに行ったアプトンとジェイが電話で話すシーンでは、「もうシカゴに帰りたいわ」「俺がいなくて寂しいとか?」「もう電話切らないと」。この二人、お似合いのカップルになりそうな気がします。

映画

オールド(2021)

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映画『オールド』公式サイト

M・ナイト・シャマランが監督。異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。

シャマランの全作品を観ているわけではないけれど、なんとなくこれは観てもいいかと。メインの家族の父親役は『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』のガエル・ガルシア・ベルナルが、母親役を、以前ここに書いた『Uボート ザ・シリーズ』のヴィッキー・クリープスが演じています。

シャマランも出演していて、この映画を最も愉しんでいるのは監督なのでは?なんて思いながら観ていました。ツッコミどころは多々あるけれど、それらを気にしないで観るのが楽しむコツかと。

ある画家の数奇な運命 (WOWOW)2020

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映画『ある画家の数奇な運命』公式サイト

ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画。
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母エリザベスの影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われてしまう。

終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋におちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人だったが、誰もそのことに気づかぬまま二人は結婚し、その後エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。

3時間という気が遠くなるような時間をかけて、一人の画家の半生を追います。長いですが、長すぎるというわけではありません。時代背景など前情報なしに観始めたのですが、ドイツの優生政策によって、20代の美しいエリザベスが犠牲になるシーンでは言葉を失いました。

この監督の独特な映像の切り取り方のせいなのか、舞台を観ているような感覚になりました。芸術と歴史を融合させる叙事詩として、強く印象に残る映画でした。

おもかげ(WOWOW)2020

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映画『おもかげ』公式サイト|2021/2/17(水)先行デジタル配信開始&2021/3/3(水)DVD発売&レンタル開始

愛するわが子の突然の失踪から10年。失意の母親は希望の光を見いだせるのか? 

イタリア人のエレナは、元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から掛かってきた電話が、息子の声を聞いた最後だった。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。そして、ある日、息子の面影を宿したフランス人の少年ジャンと出会う。

息子からの電話のシーンは、想像するだけで恐ろしいシチュエーションです。悪夢だし、ホラーです。

エレナが息子を失った海岸で働いていたのは、紛れもなく、息子はどこかで生きていて再会できるかもしれないという一縷の望みから。10年が過ぎた今も息子の「おもかげ」を探しています。

息子に似ているジャンに出合ってからの、エレナの行動については良し悪しはあるかもしれませんが、わたしはエレナに寄り添いたい気持ちになりました。

潜水服は蝶の夢を見る』(Amazon)2007

ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、脳梗塞で左目のまぶた以外が不自由になってしまった男の実話が元になっている。

雪の峰(Netflix)2021

雪山で遭難した息子を捜索するために奮闘する父親の描くNetflixオリジナルのルーマニアの映画。

小説

今月読んだ本は全部はずれなし。どれもこれも面白くて、仕事より本を読んでいたくなりました。

狩られる者たち アルネ・ダール/田口俊樹, 矢島真理

前作『時計仕掛けの歪んだ罠』を再読し、残酷な最後を思い出してからこの本を読み始めた。タイトルの「狩られる者たち」は元警察官のぺリエルと元公安警察モリーでしょうか。
解決したこともあったけれど、いよいよ複雑になってきた感じ。本を読んでいて「そういうこと?」と声をあげた。その後が気になるので、次も翻訳されますように。

スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ  ジョセフ・ノックス/池田 真紀子 訳

待ってました。マンチェスター市警 エイダン・ウェイツのシリーズ。今作で完結だったのか。
けれど、わたしは信じたい。きっと復活するに違いない。BBCかドラマ化した際にはぜひ日本で放送してほしい。

狼たちの城 アレックス・ベール/小津 薫 訳

第二次世界大戦の末期、ニュルンベルクユダヤ古書店イザークは、生き延びるために身分を偽ることに。葛藤しながらもゲシュタポの特別犯罪捜査官として女優殺人事件の捜査に臨む。本当の身元がバレないかとヒヤヒヤするも面白くて一気読み。続編も楽しみに。

鬼火 マイクル・コナリー古沢嘉通

ハリー・ボッシュとバラード、それにミッキー・ハラーも登場し、3つの事件が平行して描かれる。ボッシュ・シリーズからもう何作目?と数えられなくなっているけれど、ずっと面白い。すごいことです。

評決の代償 グレアム・ムーア/吉野弘人訳

誘拐殺人事件の判決は「無罪」だった。それから10年後、新たな証拠が見つかったということで、当時の陪審員がホテルに集まると、そこで殺人が起きてしまう。事件の真相にたどり着くことができるのか。面白い視点のミステリーでさくさく読めた。結末は意外なものだった。


2021年8月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

ようやく新型コロナウイルス・ワクチンの2回目接種が終了しました。家族や友人の中には2回目の接種後に発熱した人が少なくなかったので、翌日は何も予定を入れないようにしていたのですが、何の副反応もありませんでした。これで一安心ですが、今の感染者数の状況を見ると、油断は禁物ですね。

海外ドラマ

U-NEXTの無料お試し期間を多いに堪能することに。

CITY ON A HILL / 罪におぼれた街(U-NEXT)2019

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「CITY ON THE HILL / 罪におぼれた街」日本初上陸&U-NEXT独占配信中!

1990年代、犯罪が頻発し人種差別の色濃く残るボストンで、強引な捜査と悪評判で知られるベテランFBI捜査官のジャッキー・ロアと、理想を抱く若い黒人の地方検事捕のデコーシー・ワードがタッグを組み、強盗事件に迫る。

ベン・アフレックマット・デイモンが製作総指揮をした、Showtimeのオリジナル・シリーズ。米国ではシーズン1は2019年に放送、シーズン2も放送済み。

人を前にするとひたすら話す、しゃべらないと死んでしまうのか?優秀かもしれないけれど、人間としてはかなり「クズ」なFBI捜査官を楽しそうに演じている(ようにみえる)ケヴィン・ベーコンがいい!犯罪ファミリーのライアン兄弟、特に弟ジミーの謎の思考回路(とドラマ内でも言われていた)がショーを盛り上げる。

関係ないけれど、ジャッキー・ロアの義母が草笛光子に見えてしまう。そう思った人いませんか?

フレイザー家の秘密(U-NEXT)2020

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The Undoing - Official Website for the HBO Series

マンハッタンで医師の夫と名門私立校に通う息子とともに、幸せなセレブ生活を送る臨床心理士のグレイス。
ある日、息子の学校に通う生徒の母親が殺害される事件が起き、時を同じくして夫が姿を消す。それから夫にまつわる彼女の知らなかった事実が次々と明らかになり、事件はニューヨーク中が注目する裁判へと発展する。

ヒュー・グラントニコール・キッドマンが初共演したHBOのドラマ。

フーダニットのミステリードラマと言えると思うけれど、凝ったひねりはなく、それよりは家族の物語に重点が置かれているように感じた。見どころは、ヒュー・グラントのダメ夫ぶりとリッチなオーラ全開のドナルド・サザーランドでしょうか。個人的には、刑事役のエドガー・ラミレスが渋くて完全に好み。

TABOO / タブー(U-NEXT)2017

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BBC One - Taboo

1814年のイギリス。アフリカに渡り、死んだと思われていたジェームズ・ディレイニーが、父親ホーレスの葬式に参列するためにイギリスに戻ってきた。ジェームズは父が築いた海運会社の遺産受取人だったが、その遺産をめぐって、強大な力を誇る東インド会社と、真っ向から対立する。

トム・ハーディ初のテレビシリース出演作となり、制作総指揮はリドリー・スコット。歴史ドラマかと思っていたら、どちらかというとゴシック・ロマンスだった。雰囲気は『ペニー・ドレッドフル』に似ている感じも。

背景は暗いけれど、登場するキャラクタはなんともカラフルで楽し嬉しい。ジョナサン・プライス、デビッド・ヘイマン、トム・ホランダー、スティーブン・グラハム、女性陣ではウーナ・チャップリンジェシー・バックレイなど多彩な面々が名を連ねている。

タイトルの「タブー」はそういう意味だったのか!とハッとした。シーズン2はあるのでしょうか?

クリックベイト(Netflix)2021

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クリックベイト | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

ある日突然、謎の失踪を遂げたニック。その後、彼の姿はインターネットに出回ったビデオで発見され、ひどく暴行を受けたニックは「私は女を虐待してる」「視聴回数500万で死ぬ」と書かれたカードを掲げていた。妹と妻がニックを探し助け出そうと急ぐ中、想像もしなかった彼の一面が明らかになっていく。

久々!Netflixで中毒性の高いドラマを観た。あまり期待しないで見始めたけれど、これは一気見したくなる良く出来たリミテッドシリーズだった。

エピソードごとのタイトルが「妹」「刑事」「妻」のようにスポットが当たるキャラクターが変化し、展開が二転三転していくので、すっかりハマってしまう。
途中から、この人が犯人では?と怪しんでいたけれど、実際には意外な人物だった。まんまとミスリードさせられていましたー。

Uボート ザ・シリーズ 深海の狼 シーズン1(Hulu)2(WOWOW

前の日記に書きました。現代版「Uボート」のドイツ・ドラマです。夏休みにひたすら見ていたドラマ。

シカゴ・ファイア シーズン8/シカゴ P.D. シーズン7(AXN)

ファイアとPDのクロスオーバーエピソードで元・シカゴ警察の警官ショーン・ローマンがゲスト出演。ひゃー懐かしい。

ところで。ローマン役のブライアン・ジェラティは、C・J・ボックス原作のドラマ『The Big Sky』(ここにも書きました)に出演しているそう。主演は『ヴァイキング』で6シーズンにわたりラグナルの妻ラゲルサ役を演じたキャサリン・ウィニック。日本での放送を心待ちにしています。

FBI シーズン2/シカゴ P.D. (WOWOW

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こちらは、CBSの『FBI:特別捜査班』とNBCの『シカゴ P.D.』が放送局の枠を超えて撮ったクロスオーバー・エピソード。

シカゴ P.D.のヘイリー・アプトンがFBIニューヨーク支局に派遣され、FBIエージェントのOAとコンビを組み、捜査するというもの。ツーショットの写真がなんとも微笑ましい。
ここで、明らかになったのは、どこにいってもアプトンは優秀だということと、FBIには最新式のマシンが導入されているということでしょうか。

ドキュメンタリー

事実は小説よりも奇なり。海外ドラマ以外にドキュメンタリーもよく観ていますが、以下は驚きの連続でした。

無罪か有罪か 犯罪の核心に迫る シーズン1,2(STARZPLAY)

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STARZ

何十年も投獄されているが無実を主張する受刑者たちのために事件を再調査するドキュメンタリー。1シーズン、3つの事件の調査をそれぞれ2話形式で紹介する。現時点でシーズン2まで公開されている。

調査チームは各分野の専門家で、公民権弁護士、元検察官、引退したNSICの捜査官、デトロイトの殺人課の敏腕刑事で構成される。そこに事件の起こった地域の私立探偵も加わり、新しい証拠を探し、目撃者を見つけ出し、話をしたがらない警察官や受刑者の親近者にインタビューをする。

事件のあらましや推測を述べるだけに止まらず、見逃されていた事実や矛盾を掘り下げ、その道の専門家を雇い意見を聞く。すると想像もしなかったような新事実が見えてくる。他のクライム・ドキュメンタリーよりも一歩踏み込んだシリーズになっていると思う。

映画

イン・ザ・ハイツ


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ミュージカル『ハミルトン』でも注目を集めるリン=マニュエル・ミランダによるブロードウェイミュージカルを映画化。変わりゆくニューヨークの片隅に取り残された街ワシントンハイツ。祖国を遠く離れた人々が多く暮らすこの街は、いつも歌とダンスであふれている。

暑い夏にピッタリの映画。 圧巻のダンスパフォーマンスは必見です。いつかブロードウェイのステージでも観てみたい。

フリー・ガイ


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ルール無用、何でもありの暴力に溢れた街で、毎日強盗に襲われる銀行窓口係のガイが、そんな日常に疑問を抱き、ある日ついに強盗に反撃。奪い取った眼鏡を掛けてみると、今まで見えていなかったアイテムやミッションがあふれていることに気付き大興奮する。

今後はサブキャラのアイコンになってしまうのでは?と思うくらい、ライアン・レイノルズが役にピッタリはまっていた。ドラマ『キリング・イヴ』のジョディ・カマーがガイの人生を変えるきかっけとなるモロトフ・ガール役に、『ストレンジャー・シングス』のジョー・キーリーがプログラマー役に抜擢されている。『ジョジョ・ラビット』の監督タイカ・ワイティティのコミカルな演技も楽しい。

まったくゲームをしない(だからよくわかっていない)私でも、十分楽しめました。

小説

エンド・オブ・オクトーバー ローレンス ライト/公手成幸 訳

アメリカCDCで感染症対策班を率いるヘンリーは、インドネシアの収容キャンプで発生した謎の出血熱の調査に向かう。彼の迅速な対応により、死亡率70%を超えるこのコンゴリウイルスは、封じ込めに成功した、と思われていたがー。

ピュリッツァー賞作家が描くウィルス感染の恐怖。新型コロナ・ウィルスが蔓延する以前に書かれたということだが、まるでノンフィクションを読んでいるような錯覚に陥る。主人公の造形にも関心しきり。

第八の探偵  アレックス パヴェージ/鈴木恵 訳

一冊の短篇集『ホワイトの殺人事件集』を刊行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。ふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていく。

短編はあまり好きじゃないんだけど、と言いつつ作中作のミステリーに意外にもハマる。最後は想像もしていなかった展開に。

越境者 C・J・ボックス/野口百合子 訳

ジョーは新たな任務として、大製薬会社の跡取りであるスコギンズ失踪事件の調査を始める。ジョーはFBIと協力し、現地へ赴く。
猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ最新作。

ジョーは、現場に復帰していたんですね。そうでなくっちゃ。ジョー自身は強いわけでも不死身なわけでもないけれど、アウェイで孤立するも、機転をきかし、事件を解決に導く様子はこのシリーズならでは。

誠実な嘘  マイケル・ロボサム/田辺千幸 訳

スーパーマーケットで働くアガサは本当の父親を知らず、15歳のときに既婚者に騙されて妊娠し、生まれた子供とは引き離され、現在はシングルである。
一方のメグはキャリア、高収入の夫、二人の子供に恵まれ、三人目を妊娠中だ。
偶然知り合ったアガサとメグは出産時期が近いことから仲よくなるが、この出会いがそれぞれの人生を変えてく。

二人の妊婦が交互に語る胸の内。起こる事件は想像できていたけれど、誰がアガサを責められようかと思ってしまう。
次に同著書の二度目のCWAゴールド・ダガー賞受賞作となった『天使と嘘』を読みたい。


海外ドラマ『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』シーズン1,2

1981年の『U・ボート』を観た人は多いと思う。もともとはテレビ・ドラマとして制作されたものを短く編集し劇場版として公開し、第55回アカデミー賞で6部門にノミネートされるなど、高評価を得たドイツ映画です。

その映画から約40年を経て、リメイクされたのがこちらの 『ザ・シリーズ』。今月、WOWOWでシーズン2が放送されました。シーズン1を観ていなかったので視聴するかどうか迷ったのですが、ちょうど良いタイミングで Hulu がシーズン1を公開したことを知り、シーズン1(Huluで)と2(WOWOWで)を続けて鑑賞することに。

シリーズの紹介文に映画の続編と書いているものもありますが、映画は観ていなくてOK。続きではなく、別物と思ったほうがいいです。
ちなみに、1981年版のテレビシリーズ全6話も Huluで公開中です。

以下ネタバレ含みます。

シーズン1(2018)

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Hulu(フールー): 人気映画、ドラマ、アニメが見放題!【お試し無料】

1942年、第二次世界大戦中、第三帝国は依然として勝利を固く信じていた。ドイツ軍に占領されたフランスの港町ラ・ロシェル。ドイツ海軍史上に名を残す英雄の息子であるホフマン海軍大尉はUボート U612 の艦長に昇進し、初めての出撃を迎える。しかしホフマンは、周囲から親の七光りで昇進したという偏見に晒されていた。先任士官(2番手の位)カール・テンシュテットの間で最初の対立が起こる。

急遽、Uボートに通信兵として乗り込むことが決まった青年フランクは、ドイツ秘密国家警察の通訳になった姉シモーヌに封筒を渡し、自分の代わりに用事を済ませるように頼む。中に入っていたのは回路図で、取引相手はドイツに抵抗するフランス側のレジスタンスだった。

基地から出航した U612 の艦長ホフマンは、司令部から極秘任務を言い渡される。このことが、彼らの運命を大きく変えることに。


映画ではクルーたちが航海に出ると、閉所恐怖で息詰まりそうな艦内とどこまでも広がる海原のシーンがほとんどだったが、新しいシリーズでは、海と陸のシーンが平行して描かれる。

陸上では秘密国家警察のフォルスターの物語にスペースが取られる。フォルスターは一目でシモーヌに好意を抱くが、シモーヌはフランス人の抵抗闘争に突然引き込まれることになってしまう。

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この時代を生きた強い女性を描き、性的なロマンスを追加した現在風アレンジで物語の幅は広がり、複雑な興味深いシリーズになったのではないでしょうか。

一方でオリジナルのファンからすると、これが邪道のように感じるかもしれないです。

潜水艦内のコンテンツも、想像の上をいく(笑)少々奇抜な内容だったかもしれませんが、シーズン1のクリフハンガーを知ってしまったら、次シーズンを観ないわけにはいかなくなります。

シーズン2(2020)

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Uボート ザ・シリーズ2 深海の狼 | ドラマ | WOWOWオンライン

ドイツ占領下のフランス、ラ・ロシェルに帰還した U822 の艦長フォン・ラインハルツは、無益な戦争にすっかり嫌気が差していた。そんなとき特命が下り、ナチスの親衛隊員を乗せてアメリカを目指し出航することに。

また、シーズン1で U612 から追い出された艦長ホフマンは、大西洋を漂っているところを救助され米国ニューヨークにたどり着く。そこで武器商人グリーンウッドと再会し、ドイツに帰国できるよう助けを求める。

ラ・ロシェルでは、シモーヌのルームメイトで看護師のマルゴはユダヤ人の家族を救うために戦っていた。

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マルゴがフォルスターに「子どもだけは助けて」と懇願したとき、一瞬でしたが彼の苦悩が垣間見えたようでした。フォルスターの道徳的アンビバレントな感情に触れたシーンでした。

水中では狂信的なヴランゲルがラインハルツを追撃し、2つの艦内では多くのドラマがありました。ラインハルツの願いは『レッド・オクトーバーを追え!』のようにはいきません。

乗組員たちは、さまざまな選択を迫られることになります。シーズン1の冒頭で、敵前逃亡した乗組員が軍法会議にかけられ、その後どうなったのかを視聴者は知っているため、その行く末を案じずにはいられませんでした。

明確な勝利はないまま、物語はどんどん広がり、ハラハラの連続で疲れますが、没入感の高いドラマ・シリーズになっています。


ドイツやフランスのキャストで知っていたのは『ゲーム・オブ・スローンズ』にジャクェン・フ=ガー役として出演していたトム・ヴラシアだけでした。

2017年の映画『ファントム・スレッド』のアルマ役に抜擢されたルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスがシモーヌ役として出演しています。まるでモデリアーニの肖像画から抜け出てきたような感じがするのですが。

それと、ホフマン役のリック・オコンが魅力的です。海外にも広くファンが増えたのではないでしょうか。

続くシーズン3を楽しみにしています。

2021年7月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

先日、一回目の新型コロナウイルスのワクチンを接種してきました。翌日、注射した部分が痛くて腕が上がらなかった以外は、特に副反応はなく一安心。会場は最寄りの公民館で、想像していたよりもスムーズで、接種後の15分の経過観察を含めても、30分もかからなかったのにはびっくり。

海外ドラマ

ひそかに抵抗を続けてきた(^_^)けれど、ついにU-NEXTにログイン。最初の1か月は無料だそう。AmazonNetflixと比べると料金が割高なので継続するかどうかはわからないけれど、海外ドラマのリストを眺めて、まずはこちらを観てみることに。

コンドル シーズン2(U-NEXT)

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EPIX | Hit Movies, TV Series and More

WOWOWプレミアで、シーズン1を観ていたのにシーズン2の放送を見逃していた。
シーズン1が2018年、シーズン2は2年後の2020年に放送された。CIAの分析官だったジョー・ターナージェレミー・アイアンズの息子、マックス・アイアンズが演じている。ドラマの元になっている映画のロバート・レッドフォードほどハンサムではないけれど、父親譲りか?色気がある俳優だと思う)はシーズン1の事件後にCIAとの関係を絶ち、ヨーロッパを転々としていた。

今シーズンの最初のエピソードの舞台はブダペストで、彼のアパートのベランダからはドナウ川が見渡せる。

ある日、ロシア対外情報庁の男が接触してきたことで、再びCIAの情報戦とスパイ同士の駆け引きに巻き込まれることに。CIAの中にロシアの二重スパイ(モグラ)がいるという。モグラが誰なのかは、ドラマ中盤で明かされるが、視聴者はもっと早くに彼が怪しいと感じでいたのではなかろうか。もちろん、わたしも彼が登場したときからそうじゃないかと思っていた。

全10話は長い気もするけれど、飽くことなく集中して鑑賞できた。とはいえ、シーズン1に比べると規模が縮小された感が否めず、どちらかというと主役のジョーよりもモグラにスポットが当たっていて、ジョーの活躍が今ひとつだった。それを払拭するように、最後の最後でジョーがある行動を取ることになるのだけれど、これがねー、まったくよろしくない。モグラの始末はCIAに任せるべきで、彼の裏切りを公にすることが必要だったはず。CIAもFBIも組織として一切機能していないのはいかがなものかと。CIAの副長官のアボットはまったく仕事をしてないようにみえるけれど?

今シーズンの最後で、ジョーはCIAに正式にカムバックしたようだったので、続くシーズン3を楽しみに待ちたい。

LAW & ORDER: 性犯罪特捜班 シーズン22(FOX/Hulu)

ついにエリオット・ステイブラー刑事が登場するエピソードが放送された。若い頃よりも渋みの増した今のエリオットがいい。彼が主演する『Organized Crime』の日本放送はいつに?

シカゴ P.D. シーズン7(AXN)

ここ少し、バージェスにスポットが当たり嬉しい。PDだけは同僚同士の恋愛もイヤな感じがしない。ルゼックとバージェス、ジェイとアプトン(まだ恋愛ではない?)を応援したい気持ちに。

リアリティ・テレビ

コンテストタイプのリアリティ・ショーを観るのがたのしい。現実こそ、一番のドラマでは?

メイキング・ザ・カット ~世界的デザイナーを目指して~(Amazon

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シーズン1を娘と見ていたので、新シーズンを待っていた。現時点でシーズン2の5話まで鑑賞済み。
世界中から集めた10人の実力あるデザイナーが次代の世界的ファッションブランドを目指して競い合う。最後まで勝ち残ったデザイナーは自身のブランドへ投資する資金として賞金100万ドルを受け取るというもの。
毎回、新しいデザインの服を見るのも、あーでもない、こーでもないと審査員になったつもりで、評価するのも楽しい。

似ている番組、Netflixネクスト イン ファッション』もおすすめ。

ブリティッシュ ベイクオフ(Hulu)

イギリス全土から選ばれた精鋭のアマチュアイカーが、全国各地の会場でベイキングの腕を競い合う。
日記に何度も書いているくらい、大好きな番組。シーズン4からしか見れていなかったけれど、最近Huluをサーフィンしていて、シーズン1~3まで公開されていることを知った。
シーズン1から見たいと思っていたので、発見した自分を褒めて、翌日から毎日観ている。シーズン1は今から10年前だけれど、古い感じは一切しない。人がスイーツやパンを作っているのを見るのがこんなにも楽しいとはね!

映画

プロミシング・ヤング・ウーマン

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映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』公式サイト | 2021年7月16日(金)公開

キャシー・カサンドラキャリー・マリガン)は毎週クラブに通い、泥酔しているふりをし、心配した(下心ありの)男性と一緒に帰宅し、彼がことに及ぼうとしたタイミングで、完全にシラフな様子で「何やってんの?」と詰め寄る。彼女は身をもって、男性らに教訓を与える使命に駆られているよう。

そして、彼女がこんなことをしている理由が、ゆっくりと明かされてゆく。

ある日、キャシーが働いているコーヒー・ショップで、元同級生で現在は小児科医であるライアンと再会し、彼との距離を縮めていくうちに彼女の復讐心は一時緩んだように見えたがー。

ポップなBGM、30歳のキャシーのファッションや小物にはパステルカラーがふんだんに散りばめられ、えさに飛びつく男性たちはナイス・ガイ。けれど、キャシーの可愛らしい顔のその裏では、どうしようもない怒りがマグマのごとくフツフツと音を立てていた。

この映画の脚本・監督は英ドラマ「Killing Eve」のエメラルド・フェネルということを後で知り、非常に納得。

小説

チェスナットマン

コペンハーゲンで若い母親を狙った凄惨な連続殺人事件が発生。被害者は身体の一部を生きたまま切断され、現場には栗で作った小さな人形「チェスナットマン」が残されていた。

本の帯で、ジェフリー・ディーヴァーが絶賛していたので即購入。ディーヴァー先生の言う通り、リアルなキャラ設定と事件の展開にのめり込み、700ページ近いボリュームある本をめくる手が止まらなくなった。


www.youtube.com

作者のセーアン スヴァイストロプは、小説はこれがデビュー作だけれど、デンマークのドラマ『THE KILLING』の制作・脚本家として知られているのだそう。
だからかどうかはわからないが、この小説もドラマ化されて、Netflixでこの秋に配信されるらしい。リマインダーの設定を忘れずに。

喪われた少女

地元警察は別荘で死亡している女性を発見。レイキャヴィーク警察のリーズルは女性の父親を強引に逮捕する。10年後、殺された女性を偲び4人の仲間が絶壁の無人島・エトリザエイに集い、そのうちの1人が崖から転落死した事件を追う。

フルダ・シリーズ三部作の二作目。
前作『闇という名の娘』の衝撃のラストから遡ること15年、50歳を目前にしたフルダの仕事と私生活が描かれる。
プロローグを読んだだけで、一気に小説の中に引き込まれた。一体何があったのか。

閉じ込められた女

今回、フルダは若い女性の失踪事件を追っていた。その一方で、娘のディンマがフルダに心を閉ざしている様子なのが気がかりだった。家族の中で、思わぬ悲劇が進んでいた。

フルダ・シリーズ三部作の完結編。フルダの人生を遡る逆年代記がついに完結。
40歳のフルダに起こることを知っているので、最初からなんともいえない辛い気持ちで読み進めた。こんな気持ちで本を読むことになるとはー。

魔女の組曲

ラジオパーソナリティーのクリスティーヌに届いた1通の自殺予告。その日から彼女は何者かの悪意に運命を狂わされていく。
一体誰が何の目的のために?前作の事件で療養していたセルヴァズが追っていた事件と交差したとき、意外な事実を知ることに。

警部セルヴァズ・シリーズの最新刊『夜』を読んだことで、シリーズ1作目から読み、こちらで最後となる。ベルナール ミニエはフランスで一番人気のある小説家ともいわれているだけあって、そのおもしろさははずれなし。フランスではドラマ化もされているようなので、日本でも観れると嬉しいのだけど。

スクリーム

ウィル・トレントシリーズの最新刊。
刑務所内の殺人事件の捜査にあたるウィルは、服役中の男から犯人を教える代わりに8年前の連続強姦殺人事件を再捜査するよう取引を持ちかけられる。不正捜査によって男を逮捕したという人物は前グラント郡警察署長、ウィルもよく知る人物だった。

このシリーズも、グラント郡シリーズも結局のところはサラ・リントンの物語なんだと思わされた一冊だった。ウィルと結婚するために、サラが過去と決別する必要があったのはわかる。けれど、死んだ元夫とその部下を貶めるのはどうかと。事件の真犯人も途中でわかってしまったし。次作はどこに向かっていくのだろう。

僕が死んだあの森

母とともに小さな村に暮らす12歳の少年アントワーヌは、思いがけず隣家の6歳の男の子を殺してしまう。罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。

ルメートルの最新作ということで読んだ。この小説の落としどころはどうなるのかと気になり一気読みに。

帰らざる故郷

1972年、アメリカ。ベトナム戦争中に海兵隊を不名誉除隊させられ、ドラッグにはまり刑務所にいたジェイソンと、数年ぶりに再会した弟ギビー。出所したばかりの兄が今度は殺人容疑で逮捕されてしまう。

ジェイソンに固執するXの存在と、兄を信じて行動する18歳のギビーの行動力が、いかにもフィクションという感じがしたけれど、心の拠りどころを失くしたジェイソンにはいたく同情させられた。


2021年6月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

Amazonプライムデーの少し前にオプション・チャネルの二ヶ月間99円キャンペーンをやっていたのを見つけ、スターチャンネルEXとSTARZPLAYを申し込みました。

海外ドラマ

AXNのシカゴ・シリーズは録画していますが、まだ全部観れていないので、途中までの感想になっています。

インベスティゲーション(スターチャンネルEX)2020

2017年にスウェーデンの女性記者がコペンハーゲン近海で切断遺体となって発見された「潜水艇事件」を、捜査を担当したベテラン捜査主任の視点でドラマ化した作品。

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インベスティゲーション公式サイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]
タイトルが示す通り、捜査チームに焦点を当てたドラマ。クライムドラマとしては珍しく容疑者は一切画面上に登場しない。なのでドラマではお馴染みの犯人を追跡したり取り調べをするシーンはない。友人の話しやPCの閲覧履歴から容疑者の人となりの一部を知ることができるだけだ。
容疑者は事故を主張。殺人であることを証明するには死因の特定が必要となる。そのためには発見されていない遺体を探すしかないということで、バラバラにして投棄された遺体を海から回収する。なんとも無謀な仕事に思えるが、犬や研究者の力を借りてやってのける。実話だと知らなかったら、脚本によるものだと思ってしまうところだけれど、この作品には視聴者受けするような派手な脚色はほとんどない。そのせいで、ペースが遅く退屈だと感じる人がいるかもー。

わたしは、自分が担当する仕事をプロとしてこなす人々に感動したし、本筋とは関係ないが、北欧の風景や自宅のインテリアの美しさを堪能した。
ベテランの俳優陣による抑制のきいたパフォーマンスが素晴らしく、非常に説得力があったのも良かった。
遺族に配慮したドラマ化だったのだと思う。

ザ・キャプチャー 歪められた真実(スターチャンネルEX)2019

戦犯の無実が証明されたばかりの元兵士が、身に覚えのない監視カメラ映像により暴行拉致容疑をかけられ再び追われる身に。果たして映像は真実を捉えているのか?

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ザ・キャプチャー 歪められた真実公式サイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]
監視カメラ大国のBBCによるスリラー・ドラマ。
戦争犯罪で有罪判決を受けた英国の兵士ショーン・エメリー(カラム・ターナー)は、裁判で無罪を勝ち取り解放される。エメリーの法廷弁護士が、アフガニスタンでの殺害を描写したビデオに欠陥があったことを証明したからだ。その数日後の深夜、監視されているCCTVのライブ映像には、彼の弁護士ハンナ・ロバーツと激しく口論するエメリーが映し出されていた。そして、彼女はその後行方不明に。

もちろん、彼はすぐに捕らえられるが、証拠のビデオを見せられたショーンの反応を目の当たりにして、昇進したばかりの野心的な刑事レイチェル・キャリー(ホリデイ・グレインジャー)は、疑問を持つ。そこでエメリーの過去を掘り下げ、ビデオの証拠でさえ真実であるとは限らないということに気づく。

想像以上に大がかりで組織的な陰謀があったことはわかったけれど、ラストは予想外だった。これは次シーズンへつなげるためのものだったのでしょう。シーズン2に期待。

Lupin/ルパン(Netflix)2021

ついにパート2が配信された。パート1からの続きからスタート。

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Lupin/ルパン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
勝手にパート2で終わりかと思っていたら、パート3に続くんですね。
オマール・シーの魅力は全開だけれども、変装してもその大きな身体で彼だとわかってしまいそうなもの。もう、このドラマはファンタジーだと思うことにしましょう。次パートはどういった展開になるのか先が読めないだけに楽しみ。

BLACK SPACE/ブラックスペース(Netflix

イスラエルの高校で発生した銃乱射事件。ユニコーンのマスクをかぶった殺人者たちの正体を突き止めるため、​はみ出し者の捜査官が動き出す。

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Black Space | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
普段は学園ものはあまり見ないが、イスラエルのドラマという珍しさで観てみることに。
高校生活の描写は、喫煙、飲酒、麻薬取引と何でもあり。どこかの国とあまり差異はないようだった。女子高校生役の二人がよく似ていて途中迷子になりそうだったが、なんとかついていった。
ショーを牽引した捜査官ダビデ役のグリ・アルフィはコメディアンでもあるそう。役によってがらりとイメージが変わるのかも。

LAW & ORDER: 性犯罪特捜班 シーズン22(FOX/Hulu)

サプライズ・ゲストが続けて登場。第4話ではバーバが久しぶりに登場し、裁判ではカリシとの子弟対決に。第6話ではウェントワース・ミラーが戻ってきた。これが最後にはなりませんように。

シカゴ・ファイア シーズン8(AXN)

作中、オーチスの話題が出るたびに泣く、クルースのプロポーズを見ては泣く(何やっているんだか)。最初の頃はほとんど台詞がなかったキャップの出番が増えて嬉しい。

シカゴ P.D. シーズン7(AXN)

新メンバーが仲間入り。今後の成長と活躍に期待したい。

シカゴ・ジャスティス(AXN)

シカゴ・シリーズの中で、このドラマが本家に一番近い気がして、なんとも懐かしい気持ちに。

映画

Huluで『マイ・プレシャス・リスト』が公開されたので、再度観てみた。疲れているときはこのくらいハート・ウォーミングな映画じゃないとー。何がいいって、深夜の法律事務所での仕事。所員が誰一人いないオフィスで、バイトが数人いるだけという、なんとも羨ましい環境なのです。

私の知らないわたしの素顔(WOWOW

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映画の「サスペンス/ミステリー」カテゴリーにあったので観てみた。
パリに暮らす50代の大学教授クレール(ジュリエット・ビノシュ)は、ほんの出来心からFacebookで「24歳のクララ」に成りすまし、年下の元恋人の友人アレックスにコンタクトをとる。メッセージを交換するうちに、アレックスとクララは恋に落ちてしまい、事態は思わぬ方向に展開していく。
最初は、嘘をつきSNSでバーチャル恋愛にドハマりするわたしと同年代のクレールが痛々しくて目も当てられなかったのだけれど、彼女がセラピストに告白したことで、その辛い過去を知り、多少は共感もできるように。

映画後半に挿まれる彼女の空想の物語が、ビノシュが演じているせいか、然もありなんという感じがして違和感がない。この物語がメインになっていないところが、この映画の肝なのかもねー。エンディングは怖かったけれど。
ビノシュも美しいが、クレールのセラピスト役のニコール・ガルシアの美しさよ。

小説

通勤途中の電車の中でひらすら読み、仕事の休憩時間にもひたすら読む。現実逃避に走る今日この頃です。

血の葬送曲

スターリン体制下のレニングラードで、歯を抜かれ、顔の皮を剥がされた5つの死体が線路に並べられるという事件が起きる。人民警察の警部補ロッセルは、捜査を進めるうちに、連続殺人犯の正体を突き止められるのは元ヴァイオリニストの自分しかいないと気づく。
冷戦期の共産主義国家を舞台にした警察捜査小説で、ミステリーとしても面白かったが、なんといっても、この時代の様子が衝撃的だった。選択を間違えただけ、誰かに密告されただけで秘密警察に捕まり、そのまま行方不明になってしまう日常・・。こんな時代に、どういう気持ちで生きていけばいいのだろうか、、想像もつかない。
続編が出たら、必ず読みたいと思う。

三時間の導線 グレーンス警部

ストックホルムの遺体安置所に「あるはずのない」死体が置かれていた。調査を始めたグレーンス警部と捜査陣は凄惨な光景を目撃することに。そしてその場に残された指紋から割り出された人物とは。「三」シリーズの第三弾。
ポーランド・マフィア、南米ときて、今回はアフリカが舞台となる。ピート・ホフマンは西アフリカで働いていたのだ。
上巻ではグレーンス警部の無茶ぶりに腹が立ったけれど、下巻では64歳のグレンースが奔走する姿に拍手し、ピートの子どもたちの成長を知って温かい気持ちに。

闇という名の娘

アイスランドのミステリー。Amazonの紹介文の通り、「誰もが想像できない結末――読み終えてストレスがたまること請け合い」だった。なんともいえない気持ちのまま、この気持ちをどこに持っていたらいいのか。
レイキャヴィーク警察・犯罪捜査部の女性刑事フルダ・ヘルマンスドッティルは定年間近の64歳(グレーンスと同じ)。彼女は誤解していたかもしれないけれど、後に続く世代から尊敬されていたのだと思う。フルダを主人公にした小説は三部作になっていて、彼女の年齢が遡って描かれているのだそう。次を読むしかないでしょう、これは。

死ぬまでにしたい3つのこと

このタイトルから、かなり前に観た『死ぬまでにしたい10のこと』という映画を思い出した。
スウェーデンを代表する企業の社長令嬢が大量の血痕を残して失踪した。未解決のまま時が過ぎた十年後、同じタトゥーを入れた少女の死が判明する。ある事情から素性を隠し再捜査に加わったFBI捜査官ジョンが、事件解決に挑むというもの。
スウェーデンで100人に1人が読んだ話題作らしい。わかりやすいオチが万人受けしたのかしら?この邦題に期待して読むと肩透かしにあうかも。

危険な男

私立探偵を営む、海兵隊あがりの元警官ジョー・パイクは、銀行の帰りに窓口の女性イザベルの誘拐現場を目撃し、彼女を救い、二人組の犯人を警察に引き渡したのだが。
寡黙で実力派のジョー・パイクは、まさにこうあってほしいと思うような理想の探偵。ジョーが主人公の小説の邦訳は約十年ぶりという。次はもう少し早いと嬉しいけれど。

集結 (P分署捜査班)

P分署の最新刊『誘拐』を読む前に、まずはこちらのシリーズ1作目を読了。
本書はイタリア版87分署シリーズと言われているらしい。わたしはデンマークの『特捜部Q』、フランスの『パリ警視庁迷宮捜査班』シリーズに似ているかなと。
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕ききだが問題のある警官たちが送りこまれ、急造で捜査チームが結成されるというもの。
個性的で愛すべき面々が事件を解決に導く。イタリア人の名前に慣れなくて読むのが難しいけれど、ストーリーは軽妙な語り口でスピーディに展開されるのですいすい読める。読みたいシリーズがまた増えた。

寒慄【かんりつ】

アルプスの山中で開催されたスノーボード選手権で、女性選手サスキアが姿を消してから十年後、当時の関係者のミラは四人の元選手と再会する。密室状況のサスペンスを描く。
アガサ・クリスティーを彷彿させるような展開。スポーツの世界では勝つことが最も重要なんですねー。共感できる女性は登場しないけれど、真相を知りたくて最後まで読まされてしまった。

氷結

警部セルヴァズ シリーズの最新刊を先月に読んだことから、シリーズ最初から読んでみたくなった。順番は『氷結』⇒『死者の雨』⇒『魔女の組曲』で、このうち1作目と2作目を読んだ。
『夜』に登場する殺人鬼ハルトマンがなぜセルヴァズに執着するようになったのか、その過程がわかりスッキリ。それにしても、この本は作者の一作目というのだから驚き。ところどころで「おいおい!」と思ってしまうのだけれど、その面白さで一気読み必至なのだ。