misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

小説『ピルグリム』テリー・ヘイズ

・『ピルグリム』〔1〕名前のない男たち
・『ピルグリム』〔2〕ダーク・ウィンター
・『ピルグリム』〔3〕遠くの敵
読み出したら止まらなくなること間違いなしです。1巻をKindleで読んでいたのですが、読み終わったらすぐにダウンロードして(そこがKindleの良いところですね)、気がついたら3巻をあっという間に読了しました。終わりに近づくと名残惜しく、急にピッチを落として読んだりしたくらい、楽しんでいました。

アメリカ諜報機関の伝説のスパイ<ピルグリム>が、サウジアラビア出身のテロリスト、サラセンを追い詰める話しです。友人になり、その後重要な役割を果たすベン・ブラッドリー、その妻マーシー、ハッキングの天才<バトルボイ>など、個性的な人物が脇を固め、良い味を出しています。著者が脚本家だからなのか、翻訳が上手いからなのか、とにかく読みやすくサクサク進みます。

続編も期待していますし、映画化もされるそうなので、そちらも楽しみです。キャストは決まっていないみたいですが、私は読みながら、主人公は『スタートレック』のクリス・パイン、ベンは『CSI』や『ハンニバル』のローレンス・フィッシュバーンを想像していました。どうでしょうか。


・『判決破棄 リンカーン弁護士』(上)(下)マイクル・コナリー
少女殺害犯として24年間拘置されていた男がDNA判定の無効を申し立てた裁判で、あのリンカーン弁護士が特別検察官の立場で奮闘する話しです。調査官にボッシュが登場し、ミッキー・ハラーとハリー・ボッシュが共演する贅沢な作品になっています。

タイトルからもわかるようにこの作品はリンカーン・シリーズなんですね。いわばボッシュはゲストです。なので、ハラー視点は「わたし」で描かれ、ボッシュは三人称で語られています。

コナリーに対しては期待度が高いために、盛り上がりに欠けて物足りなさも感じてしまいましたが、一定の面白さはあります。J・ディーヴァーなどもそうですが、シリーズを続けていくのは大変なことですね。ファンとしてはこれからも読み続けていきたいです。


・『失踪当時の服装は』【新訳版】ヒラリー・ウォー
1952年に発表された作品の新訳で、捜査の実態をリアルに描いた警察小説の金字塔と呼ばれている小説(らしい)です。

1950年3月女子学生ローウェルが失踪し、地元警察がその捜索にあたります。事故か、他殺か、自殺か、雲をつかむような事件で、足を使った地道な聞き込み、些細なことから推論を重ねていきます。強面で大柄(と想像)の警察署長フォードは被害者の日記を何度も読み直しては仮説をたて、池の水を一晩かけてさらったり、自ら被害者に見立てた氷塊を川で流して実験したりと、部下たちは(そして私も)しだいに尊敬を念を抱いていきます。

トリックや奇抜なロジックがないことが嬉しい、地味だけれども本格ミステリの醍醐味を味わえる小説でした。


・『白の迷路』ジェイムズ トンプソン
フィンランド警察のカリ・ヴァーラのシリーズ3作目です。
読み始めて、前作のことがスーッとよみがえってきました。そうそう、カリは頭痛で苦しんでいたんだっけ、奥さんは妊娠してたんだよね、と。

しかし、メインストーリーは、警察小説からいきなりノワール小説になっていて、かなり戸惑いました。最初は読んでいてもなかなか理解できなかったです。これから先どうなっていくの、、と思っていたら、著者は昨年事故で亡くなっていたんですね。残念です。


・『オリーヴ・キタリッジの生活』エリザベス ストラウト
以前ここで、この小説がアメドラ化されて、主演がフランシス・マクドーマンなので、ぜひ見たいと書きました。それで、ミステリやクライムものばかり読んでいる私ですが、この小説も読んでみました。

これはオリーヴの周辺の出来事が時系列に描かれた短編小説です。どの話しにもオリーヴは登場しますが、必ずしも主人公でなかったりします。最初から読んでいくと、次の話では一気に何年も過ぎていたりしてちょっとびっくり、時はあっという間に流れていきます。

オリーヴには夫ヘンリーと1人息子クリストファーがいます。オリーヴは夫について「ヘンリーの大きな海の色をした目が、こっちを見ている。子供みたいな人だ。こういう人の良さで生きている」と思います。その夫が倒れてからは、もう大人になった息子の行動や発言に怒ったり動揺したりするんですが、そんなとき当の息子は常に冷静です。私はクリストファーを自分の息子たちに重ねて、共感したり、ちょっとセンチメンタルな気持ちになったりしました。

読んでみたら、オリーヴは決して無愛想でも傍若無人でもなく、素のままに生きている可愛らしい人でした。彼女を含め、周囲の人たち一人ひとりの心の機微に触れることのできる一冊です。たまにはこういうジャンルの小説もいいなと思いました。

 

ピルグリム〔1〕 名前のない男たち (ハヤカワ文庫 NV ヘ)

ピルグリム〔1〕 名前のない男たち (ハヤカワ文庫 NV ヘ)

 
白の迷路 (集英社文庫)

白の迷路 (集英社文庫)

 
オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)

オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)