misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ドラマ『サウスランド』

ドキュメンタリー風にLAPDの警官と刑事たちの群像劇を描いた『サウスランド』を、AXNで見ていました。といっても、終了したのは6月くらいなので、ずいぶん時間が経ってしまいました。でも、ここに残したくて書いています。

NBCはこのドラマを「あまりに暗い」として、すぐに打ち切りにしたんだそうです。その後TNTで継続したものの、シーズン5で終了になりました。「暗くて何が悪いの」と個人的には思いますが、視聴率が伸びなかったのでしょうね。

ハンディカメラを使った映像に酔ってしまいそうになりながら、それでも毎週楽しみに見ていました。AXNがシーズンをまたいで連続放送してくれたのも良かったです。以下ネタバレ含みます。

 

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http://axn.co.jp/programs/southland

このドラマでは、バッジと銃を持つ彼らを、しばしば誇大視される英雄として、そして心に傷を持つ個人として描写していました。確かに映像もストーリーも暗いかもしれませんが、お気に入りのドラマでした。

 

最終シーズンでは、ベン・シャーマン巡査(ベン・マッケンジー)の道徳観は浸食されているようでした。彼は最初のシーズンでは新人警官でしたが、次第に利己的で非情な警官へと変わってゆきました。

#ベンはドラマ『The O.C.』のライアン役として有名になりました。私は見ていないのですけれど、この『サウスランド』では、ライアンとは違う役どころで、俳優としても成熟したのではないでしょうか。彼はこの後『ゴッサム』で主演を獲得します。

最初の頃のシーズンでは、指導警官ジョン・クーパー(マイケル・カドリッツ)のもと、先輩との間に多少の確執はあったけれど真面目でまっすぐな警官として働いていました。なので、彼の変化は意外でした。

 

クーパーはずっと腰痛(薬物中毒)と闘っていました。彼はこのショーを通して変わらない人でした。偏屈で気難しいけれど、道徳的指標になっていたと思います。ショーを牽引した控えめなパフォーマンスは素晴らしかったです。

#マイケル・カドリッツは、このドラマの後『ウォーキング・デッド』にエイブラハムとしてメンバーに加わります。わたしはTWDの方を先に見ていたので、(赤毛でない)ブロンドの彼が新鮮でした。

 

ベンがクーパーのパートナーを卒業したあとは、クーパーは何人かの警官と組むことになります。S4ではルーシー・リューが巡査として彼のパートナーを務め、存在感を発揮していました。癖のある役どころが似合います。

ルーシー・リューは、現在『エレメンタリー』のワトソン役でブレイク中。ワトソンが女性ということで、一時話題になりました。私はS1のみ視聴しました。

 

私生活で不幸続きのサミー・ブライアント(ショーン・ハトシー)は、元々は刑事でしたが、懇親のパートナーが殉職すると、自らの希望で警官になり、ベンとパトロールするようになります。彼の不幸の始まりは、ガールフレンドがタミーだったということです。

#わたしはこのショーが終わったあと、ショーン・ハトシーが『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』や『ボッシュ』に出ているのを見ました。現在はリメイクドラマ『アニマル・キングダム』に出演しているようです。

 

リディア・アダムズ刑事(レジナ・キング)は、独身ですが、悩んだ末に母親になる決心をしました。彼女は刑事としては有能でしたが、私生活では(特に女性としては)そうとはいえませんでした。わたしはキングの筋肉質の身体が放つしなやかな感じが好きでした。

アダムズの仕事のパートナーが、頻繁に変わるので、最初の頃は「この脚本大丈夫?」と要らぬ心配までしました。S4からは、冷静沈着なルーベン・ロビンソン刑事(ドリアン・ミシック)がアダムズのベスト・パートナーとなりました。今考えてみると、彼こそが私たちが考える理想の刑事だったように思えます。

アダムズの最初のパートナーについては、ぜひ書かかなくてはなりません。その人はクラーク刑事(トム・エヴェレット・スコット)で、後に刑事を辞めるのですが、この人がなんとも不思議なキャラで、私は注目していました。最初の頃は熱血捜査をするアダムズの横で、被害にあった女性をひたすら慰めるような人でした。

彼が警察を辞めた後、アダムズとロマンスのような関係になったのにはびっくりしました。そんな伏線がどこかにありましたか。またまた「この脚本どうなってるの?」と思ってしまいました。

けれども、彼はアダムズのお腹の子の父親ではありません(そもそもフィジカルな関係はなかったような)でした。クラークは見た目もそうなんですが、掴みどころがなくてまるでまさに風来坊のような人です。何に逆らうこともなく、吹かれるまま存在しているようでした。

#ゾンビドラマ『Zネーション』でトム・エヴェレット・スコットを見ました。こちらは風のようなキャラクタではありませんでした。ちょっと残念。

 

もう一人のサブキャラで、印象的なのはデューイ・デューデック刑事(C・トーマス・ハウエル)です。警官としては問題だらけなんですが、私生活では美しい妻子がいて、温かい家庭を築いているようでした。周囲を引っ掻き回す彼は『サウスランド』には欠かせない存在でした。

#以前、ここに書いたんですけれど、トーマス・ハウエルは『クリマイ』や『グリム』での悪役でもお馴染みです。両ドラマでは既に殺されてしまっていますが。

 

このドラマではLAPDのプロの仕事と私生活に焦点が当たり、登場人物たちはその2つを区別しようともがいているようでした。が、実際には、その境界線上でグレーです。職務の延長戦上に個人の仇討ちがあったり、独りよがりの先入観による意思決定が間違いだったりします。

まぁ、確かに深くて暗いドラマです。でも、私はこのドラマを見ずにはいられませんでした。