海外ドラマ『ザ・ナイト・オブ/The Night Of』
アップするのが久しぶりになりました。ここ数か月の間に見たドラマの感想を少しずつ書きたいと思っています。まずはHBOが2016年に製作したこちら。
最初はAmazonビデオで1話300円くらいでレンタルして見ていたんですが、途中からHuluで配信が始まったのでそちらを見ていました。ちなみに、Huluの邦題は『ナイト・オブ・キリング 失われた記憶』となっています。
少々ネタバレ含みます。
http://www.hbo.com/the-night-of
ひょんなことから出会った女性が殺され、情況証拠からパキスタン系アメリカ人の若者が起訴されます。差別、冤罪、司法制度に焦点を当てたクライム・サスペンスで、全編通して暗いです。自分自身が気が滅入っているときは見ないほうが賢明かもー。
NYで起こる事件ということで『Law&Order』が浮かびますが、L&Oでは1時間で解決するところを、このドラマは8時間という時間を割いて、丁寧に描いています。
主人公ナズ(リズ・アーメッド)が収監される刑務所(拘置所)は、私が今までにドラマや映画で見たものとはかなり違っていました。個室に入っている囚人もいるんですが、1階は広いスペースにベッドがずらっと置いてあるだけ。その一角がナズの場所です。刑が確定していない人はこちらなんでしょうか。
セリフが極端に少なく静的なイメージのナズですが、その表情から十分過ぎる恐怖が伝わってきます。拘束された後は、もっとジタバタしても良さそうなんですけれどもね。そして驚いたことに、収監されてからは、彼はかなり早い段階で自己憐憫に浸ることよりも、実利主義を選択します。
ナズのことを主人公と書きましたが、実際にこのストーリーをけん引していたのは、彼の弁護士ジャック・ストーン (ジョン・タトゥーロ)、上の写真の人です。彼は白髪が交じる中年で、アレルギー持ち、軟膏塗布で処理した慢性湿疹の足を丁寧にもラップで覆い、サンダル履きを常としています。
私の彼に対する印象はエピソードを重ねるごとに変わっていきました。彼は何度も匙を投げることができたんですけれど、そうはしませんでした。殺された少女が残した猫さえも放っておけませんでした。
このドラマに登場する男性陣は、どこか胡散臭いんですが、強迫の下で、もがきながらも自分にできることをしているようでした。ナズを逮捕後に定年退職した刑事も、元ボクシングチャンプの受刑者も。その一方で女性人は・・。
最後はどこに落ち着くのかとハラハラとして見ていました。今考えると、このドラマに相応しいエンディングだったと思います。