2021年8月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想
ようやく新型コロナウイルス・ワクチンの2回目接種が終了しました。家族や友人の中には2回目の接種後に発熱した人が少なくなかったので、翌日は何も予定を入れないようにしていたのですが、何の副反応もありませんでした。これで一安心ですが、今の感染者数の状況を見ると、油断は禁物ですね。
海外ドラマ
U-NEXTの無料お試し期間を多いに堪能することに。
CITY ON A HILL / 罪におぼれた街(U-NEXT)2019
「CITY ON THE HILL / 罪におぼれた街」日本初上陸&U-NEXT独占配信中!
1990年代、犯罪が頻発し人種差別の色濃く残るボストンで、強引な捜査と悪評判で知られるベテランFBI捜査官のジャッキー・ロアと、理想を抱く若い黒人の地方検事捕のデコーシー・ワードがタッグを組み、強盗事件に迫る。
ベン・アフレックとマット・デイモンが製作総指揮をした、Showtimeのオリジナル・シリーズ。米国ではシーズン1は2019年に放送、シーズン2も放送済み。
人を前にするとひたすら話す、しゃべらないと死んでしまうのか?優秀かもしれないけれど、人間としてはかなり「クズ」なFBI捜査官を楽しそうに演じている(ようにみえる)ケヴィン・ベーコンがいい!犯罪ファミリーのライアン兄弟、特に弟ジミーの謎の思考回路(とドラマ内でも言われていた)がショーを盛り上げる。
関係ないけれど、ジャッキー・ロアの義母が草笛光子に見えてしまう。そう思った人いませんか?
フレイザー家の秘密(U-NEXT)2020
The Undoing - Official Website for the HBO Series
マンハッタンで医師の夫と名門私立校に通う息子とともに、幸せなセレブ生活を送る臨床心理士のグレイス。
ある日、息子の学校に通う生徒の母親が殺害される事件が起き、時を同じくして夫が姿を消す。それから夫にまつわる彼女の知らなかった事実が次々と明らかになり、事件はニューヨーク中が注目する裁判へと発展する。
ヒュー・グラントとニコール・キッドマンが初共演したHBOのドラマ。
フーダニットのミステリードラマと言えると思うけれど、凝ったひねりはなく、それよりは家族の物語に重点が置かれているように感じた。見どころは、ヒュー・グラントのダメ夫ぶりとリッチなオーラ全開のドナルド・サザーランドでしょうか。個人的には、刑事役のエドガー・ラミレスが渋くて完全に好み。
TABOO / タブー(U-NEXT)2017
1814年のイギリス。アフリカに渡り、死んだと思われていたジェームズ・ディレイニーが、父親ホーレスの葬式に参列するためにイギリスに戻ってきた。ジェームズは父が築いた海運会社の遺産受取人だったが、その遺産をめぐって、強大な力を誇る東インド会社と、真っ向から対立する。
トム・ハーディ初のテレビシリース出演作となり、制作総指揮はリドリー・スコット。歴史ドラマかと思っていたら、どちらかというとゴシック・ロマンスだった。雰囲気は『ペニー・ドレッドフル』に似ている感じも。
背景は暗いけれど、登場するキャラクタはなんともカラフルで楽し嬉しい。ジョナサン・プライス、デビッド・ヘイマン、トム・ホランダー、スティーブン・グラハム、女性陣ではウーナ・チャップリンやジェシー・バックレイなど多彩な面々が名を連ねている。
タイトルの「タブー」はそういう意味だったのか!とハッとした。シーズン2はあるのでしょうか?
クリックベイト(Netflix)2021
クリックベイト | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
ある日突然、謎の失踪を遂げたニック。その後、彼の姿はインターネットに出回ったビデオで発見され、ひどく暴行を受けたニックは「私は女を虐待してる」「視聴回数500万で死ぬ」と書かれたカードを掲げていた。妹と妻がニックを探し助け出そうと急ぐ中、想像もしなかった彼の一面が明らかになっていく。
久々!Netflixで中毒性の高いドラマを観た。あまり期待しないで見始めたけれど、これは一気見したくなる良く出来たリミテッドシリーズだった。
エピソードごとのタイトルが「妹」「刑事」「妻」のようにスポットが当たるキャラクターが変化し、展開が二転三転していくので、すっかりハマってしまう。
途中から、この人が犯人では?と怪しんでいたけれど、実際には意外な人物だった。まんまとミスリードさせられていましたー。
ドキュメンタリー
事実は小説よりも奇なり。海外ドラマ以外にドキュメンタリーもよく観ていますが、以下は驚きの連続でした。
無罪か有罪か 犯罪の核心に迫る シーズン1,2(STARZPLAY)
何十年も投獄されているが無実を主張する受刑者たちのために事件を再調査するドキュメンタリー。1シーズン、3つの事件の調査をそれぞれ2話形式で紹介する。現時点でシーズン2まで公開されている。
調査チームは各分野の専門家で、公民権弁護士、元検察官、引退したNSICの捜査官、デトロイトの殺人課の敏腕刑事で構成される。そこに事件の起こった地域の私立探偵も加わり、新しい証拠を探し、目撃者を見つけ出し、話をしたがらない警察官や受刑者の親近者にインタビューをする。
事件のあらましや推測を述べるだけに止まらず、見逃されていた事実や矛盾を掘り下げ、その道の専門家を雇い意見を聞く。すると想像もしなかったような新事実が見えてくる。他のクライム・ドキュメンタリーよりも一歩踏み込んだシリーズになっていると思う。
映画
イン・ザ・ハイツ
ミュージカル『ハミルトン』でも注目を集めるリン=マニュエル・ミランダによるブロードウェイミュージカルを映画化。変わりゆくニューヨークの片隅に取り残された街ワシントンハイツ。祖国を遠く離れた人々が多く暮らすこの街は、いつも歌とダンスであふれている。
暑い夏にピッタリの映画。 圧巻のダンスパフォーマンスは必見です。いつかブロードウェイのステージでも観てみたい。
フリー・ガイ
ルール無用、何でもありの暴力に溢れた街で、毎日強盗に襲われる銀行窓口係のガイが、そんな日常に疑問を抱き、ある日ついに強盗に反撃。奪い取った眼鏡を掛けてみると、今まで見えていなかったアイテムやミッションがあふれていることに気付き大興奮する。
今後はサブキャラのアイコンになってしまうのでは?と思うくらい、ライアン・レイノルズが役にピッタリはまっていた。ドラマ『キリング・イヴ』のジョディ・カマーがガイの人生を変えるきかっけとなるモロトフ・ガール役に、『ストレンジャー・シングス』のジョー・キーリーがプログラマー役に抜擢されている。『ジョジョ・ラビット』の監督タイカ・ワイティティのコミカルな演技も楽しい。
まったくゲームをしない(だからよくわかっていない)私でも、十分楽しめました。
小説
エンド・オブ・オクトーバー ローレンス ライト/公手成幸 訳
アメリカCDCで感染症対策班を率いるヘンリーは、インドネシアの収容キャンプで発生した謎の出血熱の調査に向かう。彼の迅速な対応により、死亡率70%を超えるこのコンゴリウイルスは、封じ込めに成功した、と思われていたがー。ピュリッツァー賞作家が描くウィルス感染の恐怖。新型コロナ・ウィルスが蔓延する以前に書かれたということだが、まるでノンフィクションを読んでいるような錯覚に陥る。主人公の造形にも関心しきり。
第八の探偵 アレックス パヴェージ/鈴木恵 訳
一冊の短篇集『ホワイトの殺人事件集』を刊行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。ふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていく。短編はあまり好きじゃないんだけど、と言いつつ作中作のミステリーに意外にもハマる。最後は想像もしていなかった展開に。
越境者 C・J・ボックス/野口百合子 訳
ジョーは新たな任務として、大製薬会社の跡取りであるスコギンズ失踪事件の調査を始める。ジョーはFBIと協力し、現地へ赴く。猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ最新作。
ジョーは、現場に復帰していたんですね。そうでなくっちゃ。ジョー自身は強いわけでも不死身なわけでもないけれど、アウェイで孤立するも、機転をきかし、事件を解決に導く様子はこのシリーズならでは。
誠実な嘘 マイケル・ロボサム/田辺千幸 訳
スーパーマーケットで働くアガサは本当の父親を知らず、15歳のときに既婚者に騙されて妊娠し、生まれた子供とは引き離され、現在はシングルである。
一方のメグはキャリア、高収入の夫、二人の子供に恵まれ、三人目を妊娠中だ。
偶然知り合ったアガサとメグは出産時期が近いことから仲よくなるが、この出会いがそれぞれの人生を変えてく。
二人の妊婦が交互に語る胸の内。起こる事件は想像できていたけれど、誰がアガサを責められようかと思ってしまう。
次に同著書の二度目のCWAゴールド・ダガー賞受賞作となった『天使と嘘』を読みたい。