2021年9月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想
9月のシニアウィークを使って、一昨年までは旅行に行っていましたが、今年はどこもいけませんでした。来年に行けるでしょうか?
海外ドラマ
以下、ネタバレ含みます。
メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実(U-NEXT)2021
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ケイト・ウィンスレット主演・製作総指揮のHBOドラマで、先日発表されたエミー賞では、リミテッドシリーズ部門で主演女優賞と助演男優・女優賞を受賞。
全員が顔見知りという平穏な町で、ある日突然シングルマザーの少女の死体が発見され、地元の刑事メア・シーアン(ウィンスレット)が事件の捜査に当たることに。一体犯人は誰なのか?
HBOの犯罪ドラマというと豪邸に住むセレブママが主人公の『ビッグ・リトル・ライズ』や『フレイザー家の秘密』などが浮かびますが、このドラマはペンシルバニア州郊外の田舎町イーストタウンが舞台です。
ケイト・ウィンスレットが自身のオーラを消して、コンパクトなコミュニティで暮らす刑事を熱演。ガサツで感情がすぐ表に出る中年女性だがなぜかモテる(^_^)
このドラマはウィンスレットのショーであることは間違いないですが、他のキャスティングも素晴らしいです。
このドラマでジュリアン・ニコルソンを見つけたときには嬉しくなりました。ニコルソンはメア・シーアンの親友ロリとして登場します。ロリはメアとは対照的で、地に足のついた穏やかな主婦ですが、後半になると彼女の足元は崩れ始めます。
それと、シーアンとタッグを組む刑事コリン・ゼイベルを演じたエヴァン・ピーターズもまた良かったです。彼は殺人事件の捜査を手伝うためにイーストタウンにやってきた郡の刑事です。今まではどちからというと色物キャラのイメージが強かったピーターズですが、今回はそれとはほど遠い役で見事な演技を見せています。
このシリーズを観ているときに英ドラマ『ハッピー・バレー 』を思い出しました。主人公のバックグランドが良く似ていると思った人は多いのではないでしょうか。
フォロー・ザ・マネー 詐欺対策班(WOWOW)
北欧サスペンス「フォロー・ザ・マネー 詐欺対策班」 | ドラマ | WOWOWオンライン
デンマークの金融サスペンス・ドラマ。再生可能エネルギー企業の大手エナグリーンの発電所近くの海岸で作業員の遺体が見つかり、それをきっかけに大企業に隠された巨大な闇が浮かび上がっていく。
デンマークといえばこの人、『特捜部Q』シリーズのニコライ・リー・カースがエナグリーン社のCEOソーダグレンとして出演しています。会社はソーダグレンの指示のもと、インサイダー取引や風力タービン先物市場での違法な投機に手を出しているんですね。
このシリーズはいくつかのプロットが絡み合い、いろんなタイプの人物が登場するのですが、ほとんどの人は利己的なので、好感が持てる人物はほぼ見つからないという、観るのが少々しんどいドラマです。
事件を追う刑事マッツは、ドラマの定番、私生活に問題を抱えているのですが、これも同情できず。
このシリーズは全部で10話あり、最後までなんとか観ました。果たしてこの話数は必要だったのか、その長さのためにより複雑なストーリーになってしまったように思います。
そして、あのエンディング。どれだけ、視聴者に忍耐強さを求めるのでしょう。シーズン2・3と放送されるようですが、次は期待してもいいのかしら?観ても大丈夫なのかしら?という気持ちになります。
グッド・ドクター4 名医の条件(WOWOW)
グッド・ドクター4 名医の条件 | ドラマ | WOWOWオンライン
シーズン4に突入。最初のエピソードはコロナ感染で緊張感がみなぎる病院の様子が描かれていました。新しいレジデントが追加されましたが、やほりメレンデスを失った穴は大きいです。
シカゴファイア シーズン8(AXN)
ついに、クルーズが結婚。結婚式で純白のドレスを着た花嫁が本当に美しかったです。
わたしはファイアのこれ見よがしに涙を誘うようなスクリプトが少々苦手なんすが、結局毎回泣いてしまう。
少し前に、最近はキャップの出番が増えて嬉しいと書いたのですが、今シーズンのファイナルではついにキャップにスポットが当たりました。
映画
オールド(2021)
M・ナイト・シャマランが監督。異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。
シャマランの全作品を観ているわけではないけれど、なんとなくこれは観てもいいかと。メインの家族の父親役は『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』のガエル・ガルシア・ベルナルが、母親役を、以前ここに書いた『Uボート ザ・シリーズ』のヴィッキー・クリープスが演じています。
シャマランも出演していて、この映画を最も愉しんでいるのは監督なのでは?なんて思いながら観ていました。ツッコミどころは多々あるけれど、それらを気にしないで観るのが楽しむコツかと。
ある画家の数奇な運命 (WOWOW)2020
ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画。
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母エリザベスの影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われてしまう。
終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋におちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人だったが、誰もそのことに気づかぬまま二人は結婚し、その後エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。
3時間という気が遠くなるような時間をかけて、一人の画家の半生を追います。長いですが、長すぎるというわけではありません。時代背景など前情報なしに観始めたのですが、ドイツの優生政策によって、20代の美しいエリザベスが犠牲になるシーンでは言葉を失いました。
この監督の独特な映像の切り取り方のせいなのか、舞台を観ているような感覚になりました。芸術と歴史を融合させる叙事詩として、強く印象に残る映画でした。
おもかげ(WOWOW)2020
映画『おもかげ』公式サイト|2021/2/17(水)先行デジタル配信開始&2021/3/3(水)DVD発売&レンタル開始
愛するわが子の突然の失踪から10年。失意の母親は希望の光を見いだせるのか?
イタリア人のエレナは、元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から掛かってきた電話が、息子の声を聞いた最後だった。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。そして、ある日、息子の面影を宿したフランス人の少年ジャンと出会う。
息子からの電話のシーンは、想像するだけで恐ろしいシチュエーションです。悪夢だし、ホラーです。
エレナが息子を失った海岸で働いていたのは、紛れもなく、息子はどこかで生きていて再会できるかもしれないという一縷の望みから。10年が過ぎた今も息子の「おもかげ」を探しています。
息子に似ているジャンに出合ってからの、エレナの行動については良し悪しはあるかもしれませんが、わたしはエレナに寄り添いたい気持ちになりました。
潜水服は蝶の夢を見る』(Amazon)2007
ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、脳梗塞で左目のまぶた以外が不自由になってしまった男の実話が元になっている。
小説
今月読んだ本は全部はずれなし。どれもこれも面白くて、仕事より本を読んでいたくなりました。
狩られる者たち アルネ・ダール/田口俊樹, 矢島真理
前作『時計仕掛けの歪んだ罠』を再読し、残酷な最後を思い出してからこの本を読み始めた。タイトルの「狩られる者たち」は元警察官のぺリエルと元公安警察のモリーでしょうか。解決したこともあったけれど、いよいよ複雑になってきた感じ。本を読んでいて「そういうこと?」と声をあげた。その後が気になるので、次も翻訳されますように。
スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ ジョセフ・ノックス/池田 真紀子 訳
待ってました。マンチェスター市警 エイダン・ウェイツのシリーズ。今作で完結だったのか。けれど、わたしは信じたい。きっと復活するに違いない。BBCかドラマ化した際にはぜひ日本で放送してほしい。