映画『グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの』

先週末にたまたま借りた映画のDVDが良かったので、ちょっとだけ感想を書いてみたいと思います。いつもレンタル店に行き、目も留まったDVDを借りてくるんですが、家に帰ってから見ようとするタイミング(大抵借りた数日後)では、もう何を借りたのか忘れてしまっています。なので、この映画も何の話しなのか何のジャンルなのか全くわからない状態で見始めました。

グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの [DVD]

グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの [DVD]

 

主人公は24歳の無名のミュージシャン、青年ジェフ・バックリー。1991年のある日、NYのブルックリン教会で開催される、ジェフの父親の追悼コンサートへ招待されます。彼の父は、28才でオーバードースによって早世した60年代フォークロックの伝説的ミュージシャン、ティム・バックリィだったのです。ですが、彼自身は父親との面識はほとんどなく、思い出はありませんでした。

ジェフがリハーサルのためにNYに到着すると、彼の父親と演奏したことがある音楽家は「まるでティムを見ているようだ。ティムのゴーストかと思った」などと言います。ジェフは父親と比較されることにもう慣れっこになっているようでしたが、そこに喜びはありません。

当然のことながら、ジェフが本当にそこにいたくないならば、彼は参加するためにLAからNYへ飛び出さなかったでしょうし、その反面、ティムが本当に息子の成長を見たかったならば、彼は1966年にコンサートのために、別のガールフレンドと飛び出したりしなかったでしょう。

この映画は、ジェフがNYにいる間と60年代後期の父親の数日間を行き来します。お互いは知ることはありませんでしたが、二人の類似点と分離が描かれます。二人とも若く、未熟です。そしてジェフのほうはいつも落ち着かないように見えます。父親に対する無関心の表層の下には、死によってファンに聖人扱いされる不在の父に対する怒りがべったりと貼りつき、痛いくらいの孤独を抱えていました。

映画のクライマックス、彼はコンサートで父親の曲を歌います。これは彼にとって単なるセレモニアルなことではありませんでした。彼が音楽を通して、父と対話できた瞬間でもありました。ジェフ・バックリーは、父の音楽の成功と豊富な才能を引継ぎましたが、彼の悲劇の運命をもこのあと共有することになります。


主人公を演じているのはペン・バッジリー、ドラマ『ゴシップガール』に出演していたそうですが、見ていないので、最初に画面に登場したときは『クリミナルマインド』のリードかと思ってしまいました。顔立ちが似ているのと、その細さが際立っていたからなんですが。

彼は無気力な足取りとボサボサの髪で、自然体な演技を見せます。不安定でアドリブのようなパフォーマンスは説得力がありました。ブリックリンのレコード店での彼のそれは、もし自分の連れだったらかなり引いてしまいそうです。

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父親ティムを演じたのはベン・ローゼンフィールド、彼もこの作品で歌声を披露しています。アン・ハサウェイが製作・主演の『ブルックリンの恋人たち』では、アンの弟役でオープニングで歌っているとか。ドラマではHBO製作の『ボードウォーク・エンパイア』のシーズン4にも出演しています。

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そろそろ夜も涼しくなってきて、秋らしくなってきました。秋の夜長に鑑賞する映画は、大作でなくても、劇的なクライマックスがなくても良いように感じます。しみじみできて、そっと寄り添えるような映画が見たくなります。そんな映画をもう一つ紹介します。

サンバ [DVD]

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2011年に大ヒットした映画『最強のふたり』の監督と主演俳優(オマール・シー)が再タッグを組んだフランス映画『サンバ』。フランスに10年滞在していたセネガルの青年が、夢を掴む目前で、突然国外退去を命じられてしまいます。彼は移民団体に駆け込み、そこで働く女性との間で絆を築いていくという話しです。

オマール・シーのキラー・スマイルは健在、あの瞳にやられてしまいます。移民団体で働く情緒不安定な女性アリスはシャルロット・ゲンズブールが演じています。『なまいきシャルロット』からずいぶん経ちました。ジェーン・バーキンの娘とあって、普段のさりげないファッションが本当に素敵です。

そして、『最強のふたり』のときと同じルドヴィコ・エイナウディの音楽が染み入ります。普段から聴いていて大好きです。彼のピアノに癒されています。最近少々疲れているのでなおさら。