misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

2021年12月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

先月、クロスバイクのことを書きました。その後、少しの時間でも毎日Zwiftするようにしています。わたしの場合はトレーニング目的ではないので平坦なコースをゆっくり走っていますが、普段は汗をかかないわたしでも20分くらい走ると汗だくになります。プロみたいなライダーがたくさん参加しているよう(すごい勢いで抜かれます!)ですが、もっと素人向けのコースが増えると嬉しいなと思います。

海外ドラマ

以下、ネタバレ含みます。

DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機(Disney+)2021

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1990年代から2000年代にかけて実際に起こった実話を元にし、ニューヨーク・タイムズのベストセラーにもなったベス・メイシーの本を原作にした社会派ドラマ。マイケル・キートンが主演・製作総指揮を務めています。

ここ数年、「オピオイド危機」という言葉を聞くようになりました。Netflix『ザ・ファーマシスト: オピオイド危機の真相に迫る』やHBO『巨大製薬会社の陰謀』のようなドキュメンタリーも制作されているので、観た人もいると思います。

1990年代半ば、サックラー家が所有するパーデュー・ファーマは強力なオピオイド鎮痛剤であるオキシコンチンをリリースします。モルヒネよりも強力なこの薬は極度の痛みにのみ使用することを目的としていますが、FDAが承認したラベルには中毒性がないと書かれ、パーデューの詐欺まがいのマーケティング・キャンペーンにより、オキシコンチンアメリカで最も人気のある薬の1つになりました。オキシコンチンを乱用する人だけでなく、処方された通りにそれを使用した人々でさえ中毒になり、多くの人が亡くなりました。

脚本は秀逸で、わたしは1話目を見ただけで、良く出来たドラマだと感心し、次の配信日が待ち遠しくなりました。ケイトリン・デヴァー(下記の『ディア・エヴァン・ハンセン』にも出演、最近すごい活躍ですね)は鉱山で負傷し、マイケル・キートン演じる町医者によってオキシコンチンを処方され、後に依存症になってしまう石炭鉱山労働者として優れたパフォーマンスを発揮しています。レイ・マッキノンとメア・ウィニンガムが演じる彼女の両親は、必死に彼女を救おうとします。

パーデュー・ファーマの営業担当者としてウィル・ポールター(『ミッドサマー』)とフィリッパ・スー(『ハミルトン』での素晴らしい歌と演技)は、許容できるものが違うようでした。司法省の検事補のピーター・サースガードとジョン・フージナッカーは、パーデューの幹部を告発するために何年にも渡って仕事をする必要がありました。二人の地道な調査はすぐには結果に結びつかず、一進一退をする様子がリアルに描かれます。そして、オキシコンチンを開発したリチャード・サックラー役のマイケル・スタールバーグは、わたしたちを不安にさせ、怖がらせます。

VIGIL 原潜ヴィジル 水面下の陰謀(スターチャンネル)2021

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原潜ヴィジル 水面下の陰謀公式サイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]

イギリス海軍原子力潜水艦ヴィジルの艦内で、異常事態が感知される。一人の乗組員が浮上することを上官に進言するが聞き入れられず、間もなくその乗組員が死体で発見される。捜査の依頼を受けてスコットランド警察の主任警部シルヴァは、潜水艦に乗り込み、密閉された空間で捜査を進めることに。

スタチャンで週一回(毎週水曜日の夜10時)配信されていました。『ライン・オブ・デューティ』などのヒット作を送り出したチームが新作ドラマを作るらしいと知ってから、日本で公開されるのをずっと待っていました。

マーティン・コンプストン(アーノットではなくクレイグ・バークとして)が出てきたーと思ったら、すぐに死んでしまった。公式には薬物の過剰摂取で死亡したことになっています。DCIエイミー・シルヴァ(『女医フォスター』のサラン・ジョーンズ)は3日間、それを調査するために艦内に派遣されます。そして地上から彼女を支援するのは彼女の元恋人で同僚のカーステン(『ゲーム・オブ・スローンズ』ローズ・レスリー)。待望のショーン・エヴァンス(『刑事モース』)はシルヴァを助ける乗組員のキーパーソン、グローヴァー准尉を演じています。

捜査を始めたシルヴァは、バークは殺されたのだと告げます。その後、第2の殺人事件も発生し、シルヴァも事件に巻き込まれてゆきます。

事件とは別に、過去の事故が原因でPTSDになったシルヴァのフラッシュバック・シーンが並行して描かれるわけですが、それが主にはカーステンのことなんですね。ここでも同姓同士のカップル事情が描かれます。そのぐらい、普通になってきたということでしょうか。

わたしは、艦内でシルヴァやグローヴァーが着ていた私服のスエットにこれ見よがしなヴィヴィアン・ウエストウッドのロゴがついていたのを目ざとく見つけ、懐かしくて(若いとき好きだった)お揃いの服を買おうか迷ったのですが、高いので断念しました(^_^)

北氷洋(AXNミステリー)2021

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北氷洋 | AXNミステリー

ブッカー賞の候補作となり、ニューヨーク・タイムズの2016年度ベスト・フィクションの1冊にも選ばれたイアン・マグワイア原作のドラマ化。

19世紀、元軍の外科医であったパトリック・サムナー(『マネーモンスター』のように追いつめられる役といえばこの人、ジャック・オコンネル)は、北極海をめざす捕鯨船の船医として乗船することになります。同じ船には野蛮なモンスターのような男ヘンリー・ドラックス(コリン・ファレル)や悪意のある一等航海士のキャベンディッシュがいます。さらに悪いことに、船長のブラウンリー(LODジョン・コーベット役のスティーブン・グラハム)は、船の所有者から保険金目的のために船を沈めるよう指示されていました。

小説がベースになっているせいか、北極圏での流氷上で撮影したシーンが神がかって美しいせいか、詩的でじっくり観たくなるドラマという印象です。とはいえ、野蛮で残酷なシーンもあるんですけれどもね。それにしても、ドラマの枠を超えた壮大なスケールで制作されたことは間違いないです。

さまざまな作品で活躍するコリン・ファレルですが、呆れるほど、陰気で汚い役が似合います。2枚目の役も好きですけれど。

ライン・オブ・デューティ シーズン6(WOWOWスター)2021

1つ前の日記に書きました。相変わらずの面白さで、手に汗握って観ました。

レジデント 型破りな天才研修医 シーズン4(FOX)

移民の医師であるミーナはビザが切れてしまい、ナイジェリアに帰国してしまいましたー。現代アメリカにおけるヘルスケアで重要な課題なのだとか。
とはいえ、ミーナが抜けてしまったあと、わたしは軽いロスになりました。

映画

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 (2021)

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映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』公式サイト

環境汚染問題をめぐって1人の弁護士が十数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つマーク・ラファロの主演・プロデュースし映画化。

1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが受けた思いがけない調査依頼。それはウェストバージニア州の農場が、大手化学メーカー・デュポン社の工場からの廃棄物によって土地が汚され、190頭もの牛が病死したというものだった。

実話だというのだから、すごい!自宅に帰ってから、テフロンが剥げているフライパンがないか確認しました。ビロットの上司役のティム・ロビンスを久しぶりに堪能できて嬉しい。ビロットの執念も素晴らしいけれど、彼をクビにしなかった事務所もエラい!

ディア・エヴァン・ハンセン (2021)

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映画『ディア・エヴァン・ハンセン』| 大ヒット上映中

トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルを映画化。

親しい友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが、カウンセリングの宿題で自分宛に書いた「Dear Evan Hansen」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、コナーのポケットに手紙を見つけた両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。コナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせてしまう。

ブロードウェイで主演をしてきたベン・プラットが堂に入った演技で魅了します。歌を聴いただけでしびれます。ただし物語では、エヴァンはウソをついているわけで、どういう展開になってしまうのか、不安な気持ちで観ていました。

何度も泣いてしまったんですが、エヴァンのお母さん(ジュリアン・ムーア)の歌が一番泣けました。

小説

獣たちの葬列 スチュアート マクブライド/鍋島 啓祐 訳

猟奇殺人鬼「インサイド・マン」が、8年ぶりに凶行を再開した。犯人検挙のため協力を要請されたのは、殺人罪で服役中の元刑事アッシュ。かつて犯人を逮捕目前まで追いつめたアッシュは、仮釈放を条件に捜査を引き受ける。

ユーモアセンスもあるけれど、残酷なハードボイル小説です。約700ページもあって、3日間くらいは寝る前にテレビもPCも見ずにこの本だけを読んでいました。
小説中に食事シーンが多く、夜読んでいると食べたくなってしまう。わたしはこの本で、チップ・バティなるものを知りました。うーん、それは食べなくていいかな。

アッシュの身元引受人になった心理学者で大酒飲みのアリスをはじめ、親友のシフティ、アッシュに想いを寄せる元部下ローナ、サイバー課のサビールなど、個性が強い面々が楽しい。8年ぶりに事件は解決するのですが、意外な犯人に驚きました。

ブラックサマーの殺人 ワシントン・ポー M W クレイヴン/東野 さやか 訳

過去に手掛けた事件に冤罪疑惑が持ち上がり、刑事ポーは窮地に立たされる。

前作『ストーンサークルの殺人』に続くワシントン・ポーのシリーズです。自分が投獄した犯人が殺したはずの娘が、6年後に生きて姿を現したことから、さぁ大変!ということで、ポーは調査を勧めます。

このシリーズ(といってもこれで2作目)の好きなところは、分析官ティリー・ブラッドショー(すごく成長しました)、上司のステファニー・フリン、またフリンの上司までもが、プロフェッショナルで優秀だということ。ドラマでは、無能な上司の横やりが入ることも多いですが、チームワークが抜群なのです。読んでいて気持ちいい。

木曜殺人クラブ リチャード オスマン/羽田 詩津子 訳

未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに。

老いても、知的でチャーミングなメンバーが事件を解決する。わたしもエリザベスのようになりたい。

暗殺者の献身 マーク グリーニー/伏見 威蕃 訳

病身を押し、多発する情報員失踪の真相究明に当たるグレイマンは、やがて愛する女性の救出に赴き、世界を揺るがす陰謀の渦中に。

シリーズだったんですね。わたしは初めて読みました。病気でめちゃくちゃ調子悪そうなグレイマンですが、その活躍ぶりが素晴らしい。次作が出たら、必ず読むでしょう。