海外ドラマ 『ザ・テラー 極北の恐怖 / The Terror』

Amazon プライムビデオで見ました。ある日、作品リストにインパクトのあるサムネイル画像が追加されて、気にはなっていたんですが、ジャンルがホラーだったので、見ようかどうしようかとしばらく逡巡するも、結局は見てみることにしました。 そして意外にも強く引き込まれました。見る人によってとらえ方は様々だと思いますが、私はホラーというよりはむしろ遭難した男たちのサバイバル物語として見ました。

 

19世紀に129人全員が行方を絶った英国のフランクリン探検隊のことを知っている人もいると思います。英国艦のテラー号とエレバス号は、北極探検で北西航路を探索するために航海に出発します。しかし、その船は1845年に出発してから再び姿を見せることはありませんでした。2隻の難破船は、2014年と2016年まで発見されず、1世紀半の間、さまざまな憶測を生みました。

19世紀に消えた北極探検船テラー号ついに発見 | ナショナルジオグラフィック

 

このドラマは、このフランクリン遠征にインスパイアされたダン・シモンズの小説をベースにした10話完結のAMCミニシリーズです。実在の人物に基づいているキャラクタは登場しますが、プロットは脚色されています。

#AMCといえば『ウォーキング・デッド』ですよね。最近シーズン8の後半をFOXで放送していましたが、途中から見ていません。面白いですか?見続けることに忍耐を強いられているような気がしてならないのですが。

以下、ネタバレ含みます。

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The Terror Season, Episode and Cast Information - AMC

エレバス号には遠征隊を率いる隊長ジョン・フランクリン(キーラン・ハインズ)と副官のジェームズ・フィッツジェームズ(トビアス・メンジーズ)が乗船しています。一方のテラー号の艦長はアイルランド人のフランシス・クロージャー(ジャレッド・ハリス)です。航海に出てから、すでに1年以上が経過しており、リーダーミーティングのたびに上官たちはボートに乗って片方の船に移動します。

隊長らを招いたテラー号での会食の様子で、陽気で若いフィッツジェームズと暗いクロージャーの間には深い溝があることがわかります。職場ではよくあることです。ジェームズがクロージャの陰口をたたくと、フランクリンはそれを柔らかく窘め、クロージャーの名誉を傷つけないようにします。

クロージャーは酒飲みで、依存しているのは明らかです。そして、何かに傷ついているようでした。けれども、誇り高くあろうと努力しています。また、遭難する可能性を鋭敏に感じ取り、氷点下で孤立することを本気で心配している唯一の人でもあります。

 

会食の日と同じくして、シリーズ最初の犠牲者が出ます。若い船員デビット・ヤングが血を吐いて突発的に倒れます。外科医 "グッドサー"は、患者を治療し慰めますが、彼が亡くなると解剖し死因を究明しようします。彼こそは、このシリーズで最初から最後までぶれない他人のことに心配れる人でした。

紺碧の海に囲まれた船のシーンは美しいですが、海上ではすぐに次の犠牲者が出ます。偶然起きた災難ですが、不穏な空気が漂い、緊張は悪化します。

 

その後、クロージャーが代替ルートを取るように勧めたとき、フランクリンはそれを一蹴します。それは、組織トップの人にありがちな傲慢からくるというよりは、楽観主義に由来したものだったように思います。

ヤングが隊長のことをまるで父親のように慕っているようだったことから、フランクリンはクルーたちから信頼されているのだと想像できます。

また、テラー号で倒れたヤングをエレバスに運ぶように言ったのは、死因が特定したときに自分が先に知る責任があると考えたからかもしれません。その頃、船内では壊血病にナーバスになっていました。

彼は常にリーダーとして、クルー達の士気が下がらないように努めていました。明るく前向きなトップ像を実践しようとしていたのではないでしょうか。

 

しかし、ついに、彼らは立ち往生しています。彼らは寒さ、飢え、病気に晒され、さらにはもっと恐ろしい影に怯えるようになります。どこまでも続く北の空、白く凍った海、そして不気味な静けさの壮大なショットは、ドラマの域を超えて驚異的です。そのような自然の中では何が起きてもおかしくないような気さえしてきます。

けれども、私はエスキモーの神話に出てくるような「トゥンバク」よりも、もっと恐いものがありました。この物語の本当の恐怖は、文明化された男性の内側にあるものではなかったでしょうか。

 

このドラマにキャスティングされているのは、何人かのスターとあまり知られていない英国俳優たちです。実際、薄暗い中で、白肌に赤く焼けた頬、髪も髭も伸び放題の隊員たちは、誰が誰だかわからなくなってしまうことも。ですが、物語に必要な場面ではちゃんとわかるようになっています。