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翻訳小説 2015夏秋

翻訳小説

先々週から風邪を引いてしまい、だいぶ良くはなってきましたが、年齢のせいなのか運動不足のせいなのか(両方ですかね)、いったん風邪を引くとなかなか治りません。ま、風邪を口実に家でダラダラしているわけで、今日も1人でAXNで放送しているエミー賞のライブを見ながら、これを書いています。

エミー賞に輝いた、以前にも書いたドラマ『オリーヴ・キタリッジ』スタチャンとかAXNとかで放送してくれないでしょうか。ぜひ見たいです。

 

ずっと書こうと思っていて、そのままになっていたミステリ小説のことを久々に書きたいと思います。ここ数か月で読んだ本を紹介します。以下、最近読んだものから。


『声』アーナルデュル・インドリダソンアイスランド

声

 

著者はアイスランドの作家で、翻訳されたのはガラスの鍵賞を2年連続で受賞した『湿地』『緑衣の女』に続く、エーレンデュル警部シリーズの最新刊です。この『声』はマルティン・ベック賞を受賞しています。

アイスランドのミステリ小説って珍しいですよね。3作目にして、ようやく聞きなれない人名にも慣れてきました。今作はクリスマスシーズンで賑わうホテルの地下室で、一人の男が殺されたことから始まります。捜査官エーレンデュルは捜査を進めるうちに、被害者の過去を知ることになります。

ストーリーのほとんどはホテルの中で進み、その閉塞感が息苦しくて喘いでしまいそうです。事件と平行して、エーレンデュルの回想によって、彼の悲しく辛い過去が明らかにされます。彼はこの事件を通して、過去から開放されたのでしょうか。


『ネメシス 復讐の女神』上下  ジョー・ネスボノルウェー

ネメシス (上) 復讐の女神 (集英社文庫)

ネメシス (上) 復讐の女神 (集英社文庫)

 

この本を読んでいる途中で気付いたのですが、これはハリー・ホーレの4作目で、前回読んだ7作目の『スノーマン』のずっと前の話しだったんですね。また昨年には1作目『ザ・バット 神話の殺人』が翻訳されていました。翻訳の順番がバラバラなので紛らわしいんですが。

『スノーマン』は読む手を止められなかったですが、こちらも冒頭からいきなりスリリングな展開で、一気に引き込まれました。オスロで起きた銀行強盗、何一つ手がかりを残していない、明らかにプロによる冷徹な犯行現場の監視ビデオをホーレは何度もチェックします。

単なる銀行強盗と思われていた事件は徐々に複雑な様相を呈し、さらにホーレ自身も別な事件の容疑者となってしまいます。シリーズ最高傑作と書いてあった通り、読み応え十分、スピーディな展開で読者を吸引します。そしてこの4作目の続きが読みたくなります。

ジョー・ネスボのサイト:Jo Nesbø | The Official Website

(2015/09/26 追記)
『スノーマン』映画化のニュースを見つけました。当初は名匠マーティン・スコセッシが監督する予定だったようですが、彼は製作側になり、スウェーデン出身のトーマス・アルフレッドソン監督するようです。そしてそして、主演のホーレ役はマイケル・ファスベンダーになるかも(今のところ、出演交渉中みたい)。楽しみ!

『悪魔の羽根』ミネット・ウォルターズ(イギリス)

悪魔の羽根 (創元推理文庫)

悪魔の羽根 (創元推理文庫)

 

文庫を読むとき、先に裏表紙にある「あらすじ」を読みますか。この本の「あらすじ」、間違ってはいないけれど、先に読んでしまうと、肩すかしを喰うかもと少々心配になります。ときどき紹介文と実際のストーリーにギャップを感じてしまう本があります。

主人公の女性記者コニーは、バグダッド拉致監禁されてしまい、その後開放されるもトラウマを抱えたまま、イギリスの農村に身を隠しひっそりと生活しようとします。コニーや農村で出会う登場人物たちの、多面的な人物描写が印象に残りました。


『悪女は自殺しない』ネレ・ノイハウス(ドイツ)

悪女は自殺しない (創元推理文庫)

悪女は自殺しない (創元推理文庫)

 

この著者は刑事オリヴァー&ピア・シリーズでベストセラー作家となりました。最初に翻訳された『深い疵』は、およそ60年もの時間をたどったドイツの疵を描いた推理小説で衝撃的なものでした。

今作は同シリーズの1作目にあたります。題名の「悪女」とは、自殺と思われていた被害女性を指しています。彼女は打算で人間関係を築き、周囲の人々の感情を踏みにじっていました。「深い疵」と比較してしまうとドイツらしさや、崇高さは感じられませんが、読みやすい1冊だと思います。


『偽りの果実: 警部補マルコム・フォックス』イアン ランキン(イギリス)

偽りの果実: 警部補マルコム・フォックス (新潮文庫)

偽りの果実: 警部補マルコム・フォックス (新潮文庫)

 

イアン ランキンは、安定の面白さがあって、安心して読み進めることができます。以前書いた『他人の墓の中に立ち』では、マルコム・フォックスのことを、リーバスの捜査方法についてとやかく言う邪魔な人、ぐらいにしか思っていなかったのですが、今回はフォックスが主人公です。

スポットが当たる主人公によって、その人に対する見方が大きく変わるものですね。


『沈黙の果て』上下 シャルロッテ・リンク(ドイツ)

沈黙の果て〈上〉 (創元推理文庫)

沈黙の果て〈上〉 (創元推理文庫)

 

先にドイツのネレ・ノイハウスの本を紹介していますが、こちらの著者もドイツの女流作家です。彼女は実売ナンバーワンのミステリ作家なんだそうです。

英国ヨークシャーの古い屋敷で春の休暇を過ごしていたドイツ人グループ。ある日、子どもを含めた5人が惨殺死体となって発見されます。一見裕福で幸せそうな3組の家族でしたが、読み進めるうちに各家族が抱えていた深刻な問題が明らかになってゆきます。


『デビルズ・ピーク』デオン マイヤー南アフリカ

デビルズ・ピーク (集英社文庫)

デビルズ・ピーク (集英社文庫)

 

南アフリカが舞台になります。ある日息子を殺された男が、犯罪者をターゲットにした殺人者へ変貌するストーリーです。マルティン・ベック賞、ドイツ・ミステリ大賞などの受賞歴を誇る著書の3部作ミステリの1作目です。

この3部作とは、『デビルズ・ピーク』『サーティーン・アワーズ(原題)』『7デイズ(原題)』で、これからは映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズやドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のショーン・ビーン主演で映画化される予定なんだとか。とすると、ショーンはあの役でしょうか。