misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

海外ミステリー小説:シリーズものを愉しむ

久々に本のこと。ドラマの好みと同じで主に海外ミステリー小説を読んでいますが、あるとき、読みたい新刊がなくなったので、今まで読んでいなかったシリーズを最初から読み始めたら、これがすごく良かった。
シリーズの最新刊が出たとき、前作をなかなか思い出せないことがあったり、シリーズによっては物語のシーケンス通りに出版されないこともあるので、順を追って続けて読めるのはストレスフリーで、シリーズの醍醐味を存分に堪能できます。

そこで、おすすめシリーズの本(映像があればそれも)を紹介したいと思います。海外ミステリーのシリーズものは、過去を遡れば有名どころがたくさんありますが、今回は現在進行形のものを中心にします。

アメリカ>
● C・J・ボックス:ジョー・ピケットシリーズ

夏ごろに読む本がなくなり、何気なく1巻目を読んだらその面白さにはまってしまった。それで今年刊行された最新刊(13巻目)の『発火点』まで一気に読了。
ワイオミング州の州猟区管理官ジョー・ピケットを主人公にしたシリーズ。猟区管理官とは、広大な土地をパトロールし、野生生物を保護、管理し、密猟者を逮捕する権限を持つ法執行官で、実はこの本を読むまでは知らなかった。ジョーは、ミステリ界では珍しく(!)幸せな結婚生活を送り、特別な才能があるわけでも、過剰な暗い過去があるわけでもなく、ヒーロー像からはほど遠いが、「正しいこと」を貫くべく全力で仕事に向き合う。ジョーの相棒で、野性的な魅力が溢れるネイト・ロマノウスキがさらにこのシリーズを盛り上げる。
昔好きだったディック・フランシスの競馬シリーズと比較されることも多いよう。このシリーズが何年にも渡りいくつもの賞をもらっているのも納得。

テキサス猟区管理官の日常 – Discovery Channel Japan | ディスカバリーチャンネル
本とは直接関係ないが、Dplayで無料公開されている『テキサス猟区管理官の日常』で、猟区管理官の仕事を垣間見ることができる。
ボックスの別シリーズ本『ハイウエイ』は、ABCでドラマ(タイトルは『Big Sky』)化されて現在本国で放映中。


ジェフリー・ディーヴァーリンカーン・ライムシリーズ

四股麻痺で法医学の天才リンカ―ン・ライムが難題を次々と解決し、犯人を追い詰めるシリーズ。昨年刊行された『カッティング・エッジ』が14作目。新刊が出版されたら、迷いなく買うシリーズの1つ。
他にもライムシリーズに登場した人間嘘発見機キャサリン・ダンスを主人公に添えた魅力的なシリーズもあるが、今年出版された本はまったく異なるものだった。

懸賞金ハンターで、行方不明者を探すことを仕事にしているコルター・ショー。彼がその仕事を選んだ背景には家族の物語が起因していた。
重いハードカバーの本を仕事用のリュックに入れ、電車内と昼休みにずっと読んでいた。こちらもシリーズとなり本国では2作目が出版されている。

ボーン・コレクター (字幕版)(2000)
日本で2000年に公開されたシリーズ1作目の映画化。本ではリンカーン・ライムは白人だが、映画ではデンゼル・ワシントンが演じている。アメリアはアンジェリーナ・ジョリー
Lincoln Rhyme: Hunt for the Bone Collector - NBC.com
今年、NBCでドラマ化されたが、残念ながら1シーズンで終了のよう。アメリアやロン・セリットー介護士トムなどのお馴染みの登場人物が映像で見れるのは嬉しいので、日本で公開されたら見てみたい。


マイクル・コナリーハリー・ボッシュシリーズ

最新刊『汚名』はシリーズ20作目なんですね、すごい。ハリーはもう60代半ば。この本を読んでいる最中、何だか既視感を覚えると思ったら、Amazonのドラマで見ていたのだ。そして、こちらはロス市警ハリウッド分署深夜勤務女性刑事レネイ・バラードの新シリーズ。今年出た2作目の『素晴らしき世界』では何とボッシュと共演。といってもちらっと登場するだけなんでしょう、と思っていたら、最初からガッツリ登場。今後の展開が気になるー。

BOSCH / ボッシュ オフィシャル トレーラー シーズン1
Amazonオリジナルの代表ドラマと言ってもいいでしょう?


● J・D バーカー:四猿シリーズ

帯にジェフリー・ディーヴァー大絶賛!と書いてあったので読み始めたら、これがまぁ面白かった。今秋刊行された『猿の罰』でシリーズは完結。3部作なので、長編ミステリとして一気に読むと面白さが倍増するのでは。


● カリン・スローター:ウィル・トレントシリーズ

破滅のループ (ハーパーBOOKS)

破滅のループ (ハーパーBOOKS)

Amazon
スラム街にある養護施設で育ち、読み書き障害(ディスレクシア)がある、ジョージア州捜査局特別捜査官ウィル・トレントが主人公。カリン・スローターの本は中毒性が高い。
昨年『贖いのリミット』を読んだことをきっかけに今年、翻訳されている本を順に全て読んだ。もし映像化するならウィル・トレントを誰にキャスティングすべきか。ハンサムで、壮絶な過去を持つ男が似合うのは、、、と妄想が広がるー。


スウェーデン
● アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム:グレーンス警部&スンドクヴィスト警部補シリーズ

アンデシュ・ルースルンドは元々報道記者で、刑務所に関するドキュメンタリー番組を制作した際にベリエ・ヘルストレムと出会い、そこから二人の共作のこのシリーズが生まれた。『熊と踊れ』(ステファン・トゥンベリとの共著)の著者でもある。
ストックホルム市警のエーヴェルト・グレーンス警部とスヴェン・スンドクヴィスト警部補が活躍するシリーズとなっているが、最新刊『三分間の空隙』では『三秒間の死角』で同僚の内通者の運命を左右したエーヴェルトが、今度は脇役として重要な鍵を握り活躍する。

THE INFORMER/三秒間の死角(字幕版)(2019)
主人公ピート・ホフマン役はジョエル・キナマン(ドラマ『THE KILLING』や多くの映画にも出演、スェーデンを代表する俳優と言っていいでしょう)が演じている。だから、『三分間の空隙』を読んでいる間、ピートはジョエル・キナマンその人だった。いやぁ、素晴らしい。


● ラーシュ・ケプレル(スウェーデン):ヨーナ・リンナ警部シリーズ

1作目を出版した頃は、ペンネーム以外のプロフィールの不明だったため本国では正体探しに懸命だったらしいが、実はそれぞれが別分野での小説を書いているアンドリル夫妻の共著名だとわかった。今やスウェーデンでは爆発的なヒットになっているのだとか。シリーズは、現時点で4冊が翻訳済み。
主人公はフィンランド出身で、現在はスウェーデンに住んでいるヨーナ・リンナ警部である。

ヒプノティスト 催眠(字幕版)(2013)
シリーズ1作目『催眠』を映画化。かなり前にこの映画を鑑賞し、しばらく後に小説が原作だと知った。シリーズを読了してから、最近再び視聴してみたところ、小説のヨーナ・リンナとうまくリンクしなかった。それは最新刊『砂男』でヨーナの過去を知り、衝撃のラストを目撃してしまったせいなのかも。ええぃ、早く次が読みたい。


ノルウェー
ジョー・ネスボハリー・ホーレシリーズ

安定の面白さ。1作目を読んで以来、ジョー・ネスボの本は見逃さない。『ファントム』はシリーズ9作目。もっと読んでいるような気がしたのは、シリーズ外の本を読んでいたからか。今から『ファントム』を読むところ。

スノーマン 雪闇の殺人鬼(字幕版)(2017)
マイケル・ファスベンダー演ずるハリー・ホーレがいい。


<イギリス>
● アンソニーホロヴィッツホーソーンホロヴィッツシリーズ

昨年、わたしのミステリー小説ベスト1となった『メインテーマは殺人』の続編。主人公は著者その人「わたし」と元刑事ホーソーンのコンビ。二人の掛け合いがたまらなく楽しい。1作目がとても良かったので、2作目はどうかと心配したら、負けず劣らずの傑作だった。
カササギ殺人事件』『メインテーマは殺人』、そしてこの『その裁きは死』の表紙デザインがお気に入り。

アレックス・ライダー | AXNジャパン
アンソニーホロヴィッツの小説をドラマ化した『アレックス・ライダー』をAXNで見ていた。どちらかというと若い人向けという感じ。重過ぎないのがいいのか。


イアン・ランキンリーバス警部シリーズ

スコットランドエジンバラを舞台にしたシリーズ。1作目では若い刑事だったリーバスも定年になりその後にフリーで仕事をしていた。最新刊『寝た犬を起こすな』で復職するが、階級は格下げとなり元部下の配下になり微妙な関係に。また、今まで敵のような存在だった監察課のマルコム・フォックスと手を組むことで二人はお互いを認めるようになる。
はい、この日を待っていました。


● ノックス・ジョセフ:マンチェスター市警 エイダン・ウェイツシリーズ

今のところ、翻訳されているのは『堕落刑事』と『笑う死体』の2冊。2作目は前作より断然良かった。
ウェイツは若いが、既に人生はめちゃくちゃ、生きていくことすら困難な状況にも関わらず、事件を淡々と解決に導く。今後の展開から目が離せない。
本には関係ないけれど、著者がイケメン過ぎません?写真を見てみて。


<フランス>
● ソフィー・エナフ:パリ警視庁迷宮捜査班シリーズ

警視庁の落ちこぼれ、曲者ばかりを集めた捜査班の活躍を描く。フランス版<特捜部Q>シリーズと言われているようだが、こちらの班のメンバーは40人ほどいるらしい。でも安心してください。実際に稼働しているのは10人に満たないので、名前が覚えられないなんてことにはなりません。
班員の一人一人が癖が強いが生き生きと描かれている。ユーモアがあって人間愛に満ちているのだ。


今年読んだ本を中心に紹介しました。ほかにも エイドリアン マッキンティのショーン・ダフィーシリーズや、先に書いたユッシ・エーズラ・オールスンの特捜部Qシリーズなどもおすすめです。