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小説『虎狼』モー・ヘイダー

翻訳小説

『虎狼』モー・ヘイダー 

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

キャフェリー警部シリーズの7作目にあたります。キャフェリーは仕事の傍ら、幼い頃に行方不明になった兄の消息を突き止めようとしている刑事です。今作品でわかったのは、彼はジョージ・クルーニー似ということ。ちょっと私の想像とは違っていたんですが、まぁいいでしょう。ハンサムなことに変わりはありません。

今回の事件は、村から離れた邸宅に、2人の男が侵入し、そこに住むオリヴァー老夫婦とその娘が囚われてしまうことから始まります。そんな折、偶然にもキャフェリーのもとへ、オリヴァー家の飼い犬が姿を現します。

そして、『喪失』のウォーキングマンが、再びキーマンとして登場。キャフェリーは彼に示唆されて、犬の飼い主を探すことになるんですが、この捜索は意外な方向へと進んでいきます。

メインの事件に関しては、イヤミスと言ってもいいと思うので、好き嫌いがはっきりわかれるかもね、と思います。が、事件の真相を知ったからといって、そのまま本を閉じてはいけません。そのあとに、ウォーキングマンがキャフェリーの兄の死の真相について語るシーンがあるのでお見逃しなく。

ほかのモー・ヘイダー作品についてはここに書いています。

 

『邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課) 』キャンディス・フォックス 

邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課) (創元推理文庫)

邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課) (創元推理文庫)

 

こちらは、オーストラリアのキャンディス・フォックスによるデビュー小説です。警察小説というにはかなり異色です。原題にもなっているハデスの存在感が大きく、冒頭、彼の身に起きたことから一気に引き込まれました。

シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきたという刑事フランクがこの小説の主人公だと思うのですが、灰汁の強いキャラクターばかりの中で、この人はいたって普通っぽい。コントラストがきいているとも言えます。

彼の相棒となった美人刑事エデンとその兄エリック。海底から遺体の入ったボックスが20も見つかったという事件の捜査と平行して、兄妹の生い立ちについても明らかになっていきます。

 

『棺の女』リサ・ガードナー

棺の女 (小学館文庫)

棺の女 (小学館文庫)

 

この著者の本を読んだことがありませんでした。リサ・ガードナーで検索すると、ラブ・サスペンスの新女王などと書いてあったりするので、ちょっと敬遠していました。

ですが、本書は面白かったです。主人公は20代の女性、フローラ。ある夜、飲んでいた店のバーテンダーにさらわれてしまいます。フローラはガレージに監禁されたものの、自分の身を守るために犯人を殺してしまいます。

現場に駆けつけた女性刑事は、フローラの素人離れした身の守り方に不信感を抱く一方で、犯人と3人の女性失踪事件との関連を捜査することに。そして、フローラは過去に起きた拐監禁事件の被害者だと知ります。ところがその矢先、フローラがまたもや失踪してしまいます。 

 

少し前の記事『ザ・ミッシング』を見ている間、何度もこの小説のことを思い出しました。

 

海外ドラマ Hulu『The Knick/ザ・ニック』

海外ドラマ

以前の記事で、アメドラの『The Knick』が見たいと書いたのですが、遅まきながらHuluで見れると知りました。

このドラマの舞台になるのは、1900年代のNY、ニッカボッカ病院です。この病院は「ニック」と呼ばれています(「ニック」は人の名前ではなかったんですね)。ここで働く革新的な医療を進める天才外科医ジョン・サッカリーをクライブ・オーウェンが熱演しています。

スティーブン・ソダーバーグが監督をしていて、その映像はビンテージ写真のようにセピア色で美しいです。建物、家具、小物や登場人物のファッションに至るまで、すべてにこだわりが感じられます。1シーズンは10エピソードで構成、以下ネタバレ含みます。 

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http://www.cinemax.com/the-knick/

 

確かにスタイリッシュな映像は素晴らしく、手術のシーンも凝っていて(グロテスクともいいます、血が苦手な人には不向きでしょうね)目を見張るものが多くありました。が、ストーリーラインは最初、これといって面白くなかったです。これは私が勝手に、『Dr.House』のような医療ものだと思いこんでいたせいもあります。けれども、ガマンが必要なのは少しだけ。シーズンの途中からは加速して面白くなっていきます。あの控えめなBGMも、今では大好きに。

 

最初につまらないと思ったのには理由があります。主役のサッカリーに共感できなかったからです。彼は、不愛想で自滅的、そして性差別と人種差別主義者です。この時代の白人にとって、後者は当たり前だったのかもしれませんが。よく見かけるアンチ・ヒーローとは言い難いです。

意欲的な新入り、アルジャーノン・エドワーズ医師を、サッカリーは彼が黒人だという理由だけで拒絶します。差別で手術をさせてもらえないエドワーズは、地下でこっそり病気や怪我を負った黒人たちを診るようになります。が、白人のサッカリーがダメ人間で、黒人のエドワーズが清廉潔白というような、ありきたりな描き方にはなっていません。

サッカリーは薬物にどっぷり依存(彼のモデルになっている実在する医師はコカインとモルヒネ中毒だったらしいですけれど)しています。ですが、結局のところ、彼は患者を救いたい、医療をもっと良くしたいと思っています。自らに薬を打っては、寝食を忘れて実験に没頭します。そう、彼のプライオリティは常に研究にあるようでした。彼が発見するものが、今後多くの人々を救うのだとしたら、わたしたちは彼に感謝することになるでしょう。

試行錯誤の時代なので、ある意味、手術台に乗った患者はそのまま実験台になるわけです。ドラマで描かれる手術はどこまでがフィクションで、どこからが真実なのかは、私にはわかりませんでした。大学の講堂のようなところで、観衆に囲まれて行われる手術。梅毒で鼻を失った女性に腕からそのまま皮膚を移植したり、別の少女には、執刀しているサッカリーの腕から直接患者に輸血したりと、「それあり?」という驚きの連続です。

つまるところ、この時代は生き長らえるのが困難だったということは間違いありません。 ペニシリンが発見されるまでは、あと何十年も待たねばならないでしょう。移民の間で結核が流行ると、隔離することしかできなかったでしょう。また腸チフスや梅毒など、この時代には救えなかった病気がどれほどあったでしょうか。

 

海外ドラマ WOWOW『ザ・ミッシング~囚われた少女~』

海外ドラマ

WOWOWプレミアで放送されたばかりです。土日に4話ずつ、計8話のドラマを一気に見ました。昨年放送された『ザ・ミッシング~消えた少年 ~』に続くシリーズです。以前、シーズン2が制作されると聞き、どんな展開になるのか気になっていました。

といっても、こちらは、その「消えた少年」の行方を追うものではなく、全く別の家族の話です。前シーズンから引き続き登場したのは、フランス人の元警部ジュリアン・バティストと妻セリアのみ。セリアが前作で起きたことについて、少しだけ触れるシーンがありました。(が、前作を知らなくても楽しめます。)

行方不明になった娘アリスの父親をデヴィッド・モリッシー(『ウォーキング・デッド』のガバナー)、母親をキーリー・ホーズ(『MI-5 英国機密諜報部』)が演じています。どちらもさすがベテランという貫禄で、そのパフォーマンスは高いです。以下ネタバレ含みます。

 

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http://www.bbc.co.uk/programmes/b07zhfsb

ストーリーはかなり複雑です。 まずロケーションなんですが、BBC制作ということで、イギリスが舞台かと思いきや、主人公の夫妻が住んでいるのは、ドイツ・エックハウゼンにある英国軍駐留基地なんですね。そういえば、前作もイギリスが舞台ではありませんでした。そして、今回はさらに、ロケ地がイラク、スイスへと広がります。

 

ドラマの冒頭に、行方不明になる直前のアリスが描かれます。それが2003年。そして、アリスが誘拐犯から逃亡し、瀕死の状態で発見されるのが2014年です。このとき既に11年が経過していました。

アリスが見つかった2014年とその翌年の2015年、そして現在と時間軸が交錯して物語は進みます。ですので、視聴者が過去シーンなのか現在なのかすぐにわかるよう、主要人物たちに変化を持たせています。(これがなかったら、混乱したことでしょうね。)

まず犯人を追うジュリアンは、白髪と髭を生やした2014年から、現在は髭を剃り、頭もスキンヘッドに。アリスの父は、2014年にアリスを救うために負った火傷が顔の半分に残っています。そして母のヘアスタイルはロングから、ボブへと変化します。

  

各話、少しずつ新事実が浮かび上がります。次に続く伏線の張り方が良くできていて、次回まで待ちきれなくなることでしょう。(なので、連続で見てしまったんですけれどもね。)

私はこのドラマに集中するあまり、実際に鳥肌が立った瞬間が2回ありました。それは、事件を捜査しているストーン准将(これが『新米刑事モース』のサーズディ役のロジャー・アラムなんです、声優は同じ方?)がアリスに童話を例にとって聞かせるシーンがあるのですが、その話しがどこに向っているのか、何を示唆しているのかがわかったとき、そしてもう一つは、犯人が逃走中に買ったシンバルモンキー(シンバルを叩くサルのぬいぐるみ)が、誰のためのものだったかを知ったときです。

正確には、そのぬいぐるみは購入したものではなさそうです。彼は店に入る直前、財布を忘れたことに気付きます。ポケットを叩いて確認しているところで、そのシーンは終了するのですが、さて、どうやってぬいぐるみを手に入れたのでしょう。彼はモンスター・ドリルですよ。彼が店主にしたことは明白でしょう。

 

前シーズンは、視聴者が期待した結果にはならず、父親の声にならない悲痛な叫びだけが残りました。 リアリティのある終わり方ともとれますが、どこか不完全燃焼でいつまでも尾を引きました。

が、今作は最終エピソードでカタルシスを感じることができました。それもリアリティを持って。ずっと謎だったものが、やがて一本の線へと繋がって、胸にストンと落ちました。

最後はジュリアンのオペシーンでした。手術が成功し、再び彼を見れる日が来るかもしれません。 シーズン3、あると思いますか?

 

関連日記:

海外ドラマ『ノー・セカンドチャンス~身代金の罠~』 - misasa104の日記

海外ドラマ Hulu『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン6

海外ドラマ

実はシーズン5を見終わったとき、もう次を見るのはやめようと思っていたのですが、今年に入って気がかわり、ゲーム・オブ・スローンズ(以下GOT)の視聴をHuluで再開することにしました。

自分の中でGOT熱が冷めたと思っていたのですが、見始めたら、やっぱり面白くて、あっという間に見てしまいました。ただ、シーズン5から時間が空いていたので、途中でしばしば「あなた、どちらさま?」という状態に。登場人物が多いので思い出すのに一苦労です。以下ネタバレ含みます。

 

復活

まずは、これでしょうね。もうこのことについては、ほとんどの人が知っていると思うから、書いていいでしょう。

GOTでは過去、主役級の人物でも次々に殺されていきました。素敵!かっこいい!なんて思っているのも束の間、彼らはあっけなく逝ってしまうのです。そのたびに呆然とするのですが、そんな私も、シーズンを重ね、GOTのやり方にだいぶ慣れてきたところでした。

が、しかし、シーズン5の最後でジョン・スノーが殺されたときは、やはりショックでした。「マジか」とウチの子らが使うような台詞が飛び出したくらいですから(それがシーズン6の視聴をやめようかと思った原因の1つです)。

でもですよ、ジョン・スノーまで失ったら、スターク家はどうなってしまうのでしょう。やきもきしていたら、やっとエピソード2(2まで、待たねばならなかったんですよね)で、彼はばっちり息を吹き返しました。あー、安心しました。(ま、見る前からちらほらと噂は耳にしていたんですけれどもね)

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それからもう一つ、これは私にとって何よりも嬉しかったことです。それはサンダー・クレゲイン(ハウンド)の復活でした。彼のことは、以前の記事にも書きましたけれど、ジョフリーの護衛をしていた最初の頃こそ、冷酷無比なイメージでしたが、その後、サンサやアリアに対してとった行動で、多くの視聴者が彼の生い立ちに同情し、彼を好きになりました(と思ってます)。

前シーズンでアリアがハウンドを見捨てたとき、私は彼女を非難したい気持ちになりましたが、こんなサプライズが待っていたとはー。嬉しい限りです。

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チーム

女性でブライエニーが好き、という人は多いのではないでしょうか。何を隠そう、私もその一人です。何が素敵って、その心身の強さと一点の曇りもない忠誠心です。サンサとシオンが絶体絶命のときに現れたブライエニーに、私は実際、拍手喝采を送りましたよ。これでドリーム・チームの結成となったわけです。

ブライエニーといえば、ジェイミー・ラニスターの絡みが前シーズンに続き描かれていましたね。彼らの距離感がとてもいいです。今後、敵となって戦わなくてはならない状況になったとしても、二人の間にできた個人的な絆は壊れることはないのだろうと思います。

また、ブライエニーとトアマンド(髭がボーボーの野人)が、視線を交わしてイチャイチャしているシーンも良かったです。戦いで忙しく異性を意識する暇なんてなかったであろう二人がカップルになったら楽しいのにね、と思いますが、まぁ、無理でしょうか。

 

今シーズン、ティリオン・ラニスターは猛獣使い、もとい、ドラゴン使いになりました。彼が2匹のドラゴンを解放したとき、ファンは大喜びしたことでしょう。もちろん、私もです。

小さな身体で、国を渡り歩き、幾度となくピンチを乗り越えてきた彼は、誰よりも処世術に長けていると言っていいでしょう。それが今度の相手は人間ではなくドラゴンなんですから超人的です。そんなティリオンとデナーリス・ターガリエンがタッグを組めば、もう怖いものなしという気がします。次シーズンで大きく飛躍しそうなチームに間違いありません。

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再会

ジョン・スノーとサンサとの再会シーンは、今シーズン最も感動的なシーンではなかったでしょうか。考えてみれば、スターク家の子どもたちは離散し、これまでに再会を果たしたことはありませんでした。かつて、スターク家次男のブランとジョン・スノーがニアミスしたことはありましたけれど。

今でこそ納得できますが、これまでだったら、誰がナイツ・ウォッチのジョン・スノーとサンサが再会できると思ったでしょうか。

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そして、シオンと姉ヤーラの再会もありました。かつて、ラムジーに囚われていた弟シオンを救うために、遠征したヤーラでしたが、既に心身が崩壊していたシオンに拒絶されるという苦い過去がありました。なので、こちらの再会は諸手を挙げて喜ぶというものにはなりませんでした。

シオンは裏切り者の存在でしたが、その後彼が置かれた悲惨な境遇を考えると、その代償を払ったといえるのではないでしょうか。今後は精力的に姉をサポートしていってほしいです。

 

それと、今シーズンで最も個人的に驚いたのが、ベンジェン・スタークの登場です。彼はエダー・スタークの弟で、ナイツ・ウォッチの隊長でしたが、長いこと行方不明になっていました。ブランがホワイト・ウォーカーに追いかけられて危機一髪になったときに救ってくれたのが彼でした。

これはブランというよりは視聴者とベンジェンの再会といった方が正しいでしょう。シーズン1でちらっと登場して以来ですもの。今回も1シーンのみでしたが、今後、彼を慕っていたジョン・スノーと再会する日は来るのでしょうか?

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嫌われキャラの顛末

これでもか、いうほどイヤなキャラだったボルトン家の落とし子ラムジー。あなたは、ジョフリーとラムジーのどちらが嫌いですか。この二人を夫に持ったサンサはつくづく運がないとしかいいようがありません。

私は、ジョフリーは姉弟の近親交配で生まれた子どもであることから、先天的に問題があったのでは?などと分析し、ラムジーの性格のゆがみは後天的(と勝手に推測)という点から、ラムジーの方が1枚も2枚も上手の嫌われキャラと思っています。

なので、サンサがラムジーに最終的にとった行為は残酷ではありましたけれど、これまでの仕打ちを考えると仕方がなかった(と言ってしまいましょう)かもしれません。

 

しかし、私は彼らよりも嫌いなキャラがいました。それはハイスパローです。彼は〈雀〉として知られる狂信家の指導者なんですが、もうこれは何というか、生理的にダメでした。彼が何を言っても、耳をふさぎたくなるから困ります。このおじいさん、自分が信じた神の元へ行けたのでしょうか。

 

それから(結構いますね)、こちらは嫌われキャラという枠組みがふさわしいかどうかわかりませんが、メリサンドル(紅の女)について。彼女はこれまでスタニスを翻弄してきました。前シーズンで最も悲痛だった、スタニスの娘シリーンが火あぶりにされるシーンは見るに堪えませんでした。メリサンドルを筆頭に、スタニスとその妻セリーヌにも激しい憤りを感じました。

シリーンを娘のように可愛がっていたダヴォス・シーワース(スタニスの元側近)は、彼女の身に降りかかった災難を知って、メリサンドルを責めましたね。よくぞ、気付いてくれました(少しだけ溜飲が下がりました)。そして、そのことを知ったジョン・スノーは、彼女に自分たちの前に二度と姿を現さないように告げるのです。えらい!

それにしても、今シーズン、紅の女の本当の姿には驚きました。まるでディズニーのアニメ映画に出てくる魔女のおばあさんのようではありませんか。よく撮れていました。

 

関連日記:

海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン4まで - misasa104の日記

 

海外ミステリ小説2016 秋から冬まとめて

翻訳小説

秋から最近までに読んだ本を一気に紹介します。少々ネタバレ含みます。

 

<フランス>

『傷だらけのカミーユ』ピエール・ルメートル 

傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)

傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)

 

カミーユ・ヴェルーベン警部シリーズは、『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス」そして本作『傷だらけのカミーユ』と3部作になっています。つまり、これで終了なんですね。寂しいです。

今作品を読みながら、ヴェルーベン班の発足当時のメンバーを思い出しました。どのメンバーも個性的でしたね。そして時間の経過とともに様々な変化をとげていました。私のお気に入りのハンサムはルイはあまり変わってはいないようでしたが。

どこまでも幸せにはなれないカミーユ。心中お察しするも、私がどう思おうがおかいなく彼はどこまでも突っ走ります。タイトルの「傷だらけ」は、実際に暴行を受けたカミーユの恋人アンヌではなく、カミーユなのです。

私はルメートルのキャラクタの描写がどこか文学的でとても気に入っていました。別のシリーズが出たら、必ず読みたいです。

 

<アメリカ>

『煽動者』ジェフリー・ディーバー

煽動者

煽動者

 

私自身はディーバーといえば、リンカーン・ライム派なんですけれど、今回のキャサリンダンスシリーズのこの本は読みやすくて面白かったです。彼女が女性としてやり過ごさなくてはいけないことや、女性だからこそ奮闘する姿に、思わず応援したくなりました。ディーバーという人はつくづく女性の心理が良くわかっているなぁと感心しきり。

ディーバーには珍しくハーレクイン風のロマンス(とってもベタベタではありませんよ)も楽しめるというおまけもあります。それなのに、この邦題、少し硬いような気がしませんか。


『転落の街 上下』マイクル・コナリー

ハリー・ボッシュ・シリーズの前作『ナイトドラゴン』には、がっかりさせられたので、あまり期待せずに読みました。しかし、これが久々(!)のヒット。ボッシュらしさが復活しています。いつまでも現役で頑張ってほしいと思えた一冊です。

Amazonドラマ『BOSH』を見ているので、以来、私はこのシリーズを読むときはタイタス・ウェリヴァーを思い浮かべながら読んでいます。来年にはシーズン3が、配信される予定です。そしてもうシーズン4の製作も決まっているんですね。こちらも楽しみ。

 

『生か、死か』マイケル・ロボサム 

生か、死か (ハヤカワ・ミステリ)

生か、死か (ハヤカワ・ミステリ)

 

舞台がアメリカなので、こちらのカテゴリに入れましたが、マイケル・ロボサムはオーストラリア出身の小説家です。これは、英国ゴールド・ダガー賞を受賞し、米国エドガー賞の最終候補になった作品で、スティーヴン・キングが絶賛したらしい。

現金輸送車襲撃事件の共犯として刑に服していたオーディ・パーマー。出所日前夜になってオーディは突如脱獄を果たします。後述する『ザ・サン』を先に読んでいた私は、また脱獄して復讐か、と思いつつ読み進めました。が、そこには意外な展開が待っていました。

登場するサブキャラたちがいいです。デジレー刑事の続編があったら面白そう。

  

ノルウェー

『その雪と血を』ジョー・ネスボ

40年近く前のオスロを舞台にしたパルプノワール作品。パルプノワールというのは「ザラ紙に書きなぐられた暴力と犯罪とイメージさせる”パルプ”という言葉の持つイメージを、孤独と愛憎とトラウマから屈折していく精神を描いた暗黒の文字に重ねたもの」なんだそうです。

そういわれてみれば、そうかもね、などと思います。いつものネスボとは一味違い、殺し屋の恋物語です。ハヤカワ・ポケット・ミステリとしては、例をみない薄さなので、あっという間に読めてしまいます。

帯にレオナルド・ディカプリオ主演で映画化と書いてありましたが、本当でしょうか?

 

ザ・サン 罪の息子』 ジョー・ネスボ

ザ・サン 上 罪の息子 (集英社文庫)

ザ・サン 上 罪の息子 (集英社文庫)

 

こちらはネスボらしいストーリーになっています。父親汚職警官として自殺して以来、生きる意味を見失った息子のサニー。ある日、父の死の真相を知った息子は脱獄し、父の汚名を返上するために動き出すといった、サニーの再生ストーリーです。

こちらもジェイク・ギレンホール主演で映画になるようです。ネスボは、映画界でも人気なんですねー。来年公開予定。これは見るしかないでしょう。


『湖のほとりで』カリン・フォッスム 

湖のほとりで (PHP文芸文庫)

湖のほとりで (PHP文芸文庫)

 

カリン・フォッスムはノルウェーの作家で、私は初めて読みました。この作品は、セイエル警部シリーズの2作目。リヴァートン賞、ガラスの鍵賞などの北欧圏における名誉ある賞を獲得しています。私は観ていませんが、イタリアで映画化もされています。

村の誰もが知る女子高校生アニーが小さな村で死体となって発見されます。死体には争った形跡がないことから、自殺か、あるいは顔見知りの犯行ではないかと推測され、早期解決すると思われたのですがー。

派手さはなく、地味な作品なんですけれども、丁寧な描写が好きです。セイエル警部の真摯な姿勢で臨む淡々とした捜査に引き込まれます。

 

『晴れた日の森に死す』カリン・フォッスム

晴れた日の森に死す (創元推理文庫)

晴れた日の森に死す (創元推理文庫)

 

こちらがセイエル警部シリーズの3作目です。この秋に刊行。実はこちらを先に読んで、面白かったので、前作品になる『湖のほとりで』を読みました。

ノルウェーの森の奥でおきた殺人事件の現場で精神病院に入院中の青年エリケが目撃されます。そんな折、銀行強盗が発生し、エリケは逃走する強盗犯モルガンの人質になってしまいます。

私は単細胞で素直なモルガンの言動、心の声に、何度も笑いました。彼が他人と交流するのが難しいエリケと心を通わせてゆく過程が微笑ましかったです。フォッスムの登場人物一人ひとりに寄せる眼差しが温かいです。

 

<イタリア>

『パードレはそこにいる』サンドローネ ダツィエーリ

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 ローマで起きた児童失踪事件。その裏には、幼い自分を誘拐・監禁した犯人「パードレ」が存在すると信じる失踪人コンサルタントダンテと、過去の捜査事件で心身のダメージを受けた女性刑事コロンバの二人の捜査が始まります。

なかなか他にはないプロットで楽しみました。ただ、コロンバの粗削りさにはちょっと引いてしまうことも。

 

海外ドラマ2016 秋から冬まとめて

海外ドラマ

2016年もあと少し、あっという間ですね。今年の秋から冬にかけて見ていたドラマです。ネタバレ含みます。

 

『シカゴ・ファイア』AXN

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http://www.nbc.com/chicago-fire

シカゴ・ファイヤはシカゴ消防局51分署に所属する消防隊員と救命士たちによる救助作業や葛藤を描く人間ドラマです。

日本での放送をずっと待っていました。アメドラ『Low & Order』ファンの私としましては、ディック・ウルフの作品を見ないわけにはいきません。これは以前に書いた『サウスランド』よろしく、シーズンを続けて放送してくれるようで、ありがたいです。今は、シーズン2が始まっています。

1つだけ疑問なんですけれど、この消防署は夜勤ってないのかしら。チーム交代制でシフト勤務しているのかと思いきや、いつも同じメンバーが署にいます。しかも、夜になると皆さまそれぞれのプライベートを楽しんでいる様子。メンバーのうち、3人はバーを経営していますしね。

アメドラに見られる日本に対する雑な描き方は慣れていますが、マウチの日本語がでたらめ過ぎます。そして、日本人のペンパル(だったかな)のマリの登場シーンに唖然。どうみても日本人には見えませーん。

スピンオフの『Chicago P.D.』の放送も決まっています。この主役の刑事がまさか、あの人だと、誰も思わなかったことでしょう。そのうち、『Chicago Med』や『Chicago Justice』も日本で見れるのを楽しみにしています。

 

ブラインドスポット タトゥーの女』WOWOW

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http://www.nbc.com/blindspot

放送が始まる前から派手なCMで注目していました。 全裸で全身にタトゥーのある記憶喪失の女性が、マンハッタンの中心タイムズ・スクエアに置かれたバッグの中から現れるというものです。その身元不明の女性はFBIニューヨーク支局に保護されます。タトゥーの中にFBI特別捜査官カート・ウェラーの氏名が記されていたことから、カートは彼女に関する捜査の指揮を執るという設定です。

そして彼女のタトゥーをヒントに事件を予測し、解決へと導きます。タトゥを入れる段階でこれから先に起こる事件を知り得たのか謎ではありますが。しかもそれを伝える方法がかなり手の込んだパズルのようなタトゥとは。そしてそれがかなりアートとしても完成度が高いのです。

私はどちらかというと、彼女とカートの恋仲に注目して見ていました。お互い好きで気になるのだれど、それぞれが別の人と付き合うという、よくあるパターンに落ち着きます。それでも気になってしまうのはカートが素敵だから?このドラマの出ている男性陣って、こぞってハンサムだと思いませんか。

 

『GRIMM/グリム』シーズン4 スパドラ

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http://www.nbc.com/grimm/episodes/season-4

今シーズンは、思い切った方向転換をしたグリム。私はブルクハルトの恋人、ジュリエットが好きだっただけに、その変身ぶりには驚きました。人は力を持つとこんな風になるものでしょうか。少々行き過ぎな気もしますが。

アダリンドの妊娠はシーズン3で推測した通りに。ジュリエットが超絶イヤな女になってしまったので、そのバランスをとってか、アダリンドは力を失い普通の女性になってしまいました。なんだか一皮むけてすっかり可愛い感じになっています。

もういっそのこと、ブルクハルトとアダリンドで仲良くしちゃえば、と思ったりもしますが、そうもいかない気もします。次シーズンがファイナルらしいのですが、今後の行方が気になるところです。

 

『ヒンターランド』シーズン2 AXNミステリー

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http://www.bbc.co.uk/programmes/b03sgfbz

英国ウェールズ地方を舞台にしたシリーズです。シーズン1を見ていない人は、Netflixで鑑賞できます。本国では英語とウェールズ語バイリンガルで放送されているらしいです。

私は主人公マサイアスの眉間と額に刻まれた皺に、なんともいいようのない哀愁を感じてしまうのですが、同じように思っている人は他にもいるに違いありません。今シーズンは、彼の妻が登場することで、マサイアスの過去を知ることになります。想像はしていたけれど、それは痛ましいものでした。

このドラマは犯人捜しのほかに、ウェールズという見慣れない地方の手つかずの自然を堪能できるのもいいです。これは同じ英国の『シェトランド』も同じことが言えます。

エピソード中に登場する部屋も、赴きがあって素敵です。ローソクだけの部屋がありましたが、無造作の中にもセンスが光っていました。そういえば、マサイアスが住んでいるのは、人里離れた海辺(というかビーチの上)の手作り風の家。次シーズンは引っ越し、または立て直しを余儀なくされることになりますが。

 

『新米刑事モース』シーズン3後半 WOWOW

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https://itvstudios.com/programmes/endeavour

シーズン3の前半の放送は思いがけず早かったのですが、後半はなかなか放送されませんでした。待ちくたびれました。

今シーズン、女性の新人巡査が加わりました(とここにも書きました)。前半が終了したところで、きっとモースとの絡みがあるのでは、と想像していましたが、彼女は自分が美しいことを何かに使う気はなさそうです(今のところ)。

私が驚いたのはサーズディの余命があと少しだということです。いつの間にそんな状態になっていたのでしょう。本家『モース』を見ていた人にとっては、わかっていたことだったのでしょうか。最後はサーズディの娘に焦点が当たりますが、私は何としてもモースに彼女を引き留めてほしかったです。

やはり『主任警部モース』を見るしかないのでしょうか。

海外ドラマ Netflix『ナルコス』シーズン2

海外ドラマ

やっと、やっと終わったーという感じです。ストーリーをシーズン2まで引っ張ったことでつまらなくなるのでは?と心配していたのですが、そうはなりませんでした。充分エキサイティングな内容だったと思います。

以下、少々ネタバレ含みます。 

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https://www.netflix.com/jp/title/80025172

今シーズンもまた、スティーヴ・マーフィー(ボイド・ホルブルック)の冷めたナレーションは続きます。


マーフィーと仕事のパートナー、ハビエル(ペドロ・パスカル)は、固い結束がありましたが、少しずつずれが生じてきているようでした。長い間耐えてきたマーフィーの妻コニーは、アメリカへ戻っています。

マーフィーから離れていったのは、コニーだけではありませんでした。ハビエルは、エスコパールがなかなか捕まらないことに業を煮やし、LosPepes(エスコパールの追い落としを目的とした闇グループ)に協力したいという欲求が強くなってゆきます。そして密かに一人行動に移すことに。

このことは後に道徳的なジレンマを生み出すことになるのですがー。もともと、ハビエルの放蕩的ライフスタイルは、マーフィーとは一線を画していたようにも思います。


そして、ヴァグネル・モウラの演じるエスコパールは、プレッピー風のセーターに身を包み、優しい夫や父親の顔を見せるその一方で、偽善的で傲慢なシニシズムを持ち、残忍な行いを繰り返します。それは情け容赦のないものでした。

 

実はあまり期待しないで見ていたのですが、結局シーズン1同様、嵌ってしまいました。ドラマとしては非常に面白かったです。しかし、エピソード中に散在する色褪せたリアルなニュース映像が、これは完全なフィクションではないと訴えます。


冒頭、やっと終わった、と書いたんですけれど、シーズン3と4が制作されるらしいですね。次はカリ・カルテルを追うことになるのでしょうか。

 

http://www.tvgroove.com/special/article/ctg/225/tid/829.html

主演の二人ペドロ・パスカルとボイド・ホルブルックのインタビューが掲載されています。かれらは、自分たちが演じている人物たちと実際に会い、今でも連絡を取り合っていると書いてあります。彼らの俳優としての真摯な姿勢がうかがえます。

 

関連日記:

海外ドラマ Netflix 『ナルコス』